労働基準法−18 (第115条)
外国人技能実習生を中心として

時 効


(時効)
第115条  この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する

 労働基準法は労働者の権利を守ることばかりでなく、その権利を行使できる期限を定めています。それが第115条に定められた時効ということになります。条文にあるように退職手当が5年間の時効でそれ以外のものについては2年間請求しなければ消滅すると定めています。技能実習生で関係することと言えば残業代未払と年次有給休暇の行使の問題が関係してきます。この辺りのことをしっかり理解しておかなければ請求できるものが出来なくなり不利益を蒙ることになりかねません。問題があれば先延ばしせずに可能な限り早く解決しておく必要があります。未払金が多くなればなるほど会社側は支払を渋り、こちらとしても100%は確保できず、どのあたりに落としどころを見つけるかということを考えます。早く問題を解決し、帰国まで支援者との連携が取れれば働き易い職場となるのではないでしょうか。ただその場合全員が同一の歩調を取らず、1人だけの問題として対処すると、逆に「仕事をやる気がない」、「安全ルールを守らない」等々の屁理屈からその人だけ残業を一切やらせないなどの意地悪を受けることもあります。
 入管法の改正によって平成22年7月から技能実習生は最初の1〜2か月を除いて労働者として研修に従事することになりました。これ以前は1年間の研修生の時代とその後2年間の労働者としての時代とに分かれており、研修生時代の未払残業代を含めて帰国直前に請求しても時効の問題は考える必要がありませんでした。しかし改正後はこの時効の問題を盾に取られて一部の残業代の支払いを拒否されることが考えられます。民法の不法行為の3年の時効を援用できればいいのかもしれませんが、交渉の中ではこれは難しいことかもしれません。
 次に年次有給休暇について技能実習生には認められていないケースや行使することを阻止することもよくみられます。ましてや残りの日数を帰国時にまとめてとることは会社にとって問題もあることは分かりますが、年休は使わせずに帰国直前まで働かせている例は少なくありません。中には買い取るという条件を提示している会社もあります。年次有給休暇での不正として、急な発熱などで休む場合など事前に連絡がなかった等のことで欠勤扱いとされたり、会社都合の休業等を年次有給休暇で処理されたりとまったく理不尽な扱いがされている現実があります。帰国時にまとめて行使されると会社の業務に支障があるかもしれませんが、計画的に行使させ、残りの日数が発生すれば買い上げる等双方のメリットがある方法の検討も必要だろうといえます。
 年次有給休暇の発生状況をみると次のようになります。来日して1〜2か月後に労働契約が結ばれそれから6か月経過後に@10日発生し、それから1年後にA11日、さらに1年後にB12日発生することになります。最初の@10日については採用から2年6か月経過後の年次有給休暇B12日が付与される前日に時効として消滅します。

      6か月目            1年6か月目            2年6か月目

→帰国

       @10日              A11日                B12日

 全く行使していなければ第3回目の年次有給休暇後の勤務期間4〜5カ月に対して23日の年次有給休暇が残っていることになります。