某水産加工会社での問題(2010年11月〜)

名 前

 10数名のフィリピン人

勤務場所

 呉市倉橋町(所属する派遣会社は広島市)

仕事の種類

 カキ養殖業での食品加工、一部養殖業

発端

 2010年11月17日スクラムユニオンの土屋委員長よりフィリピン人女性から弁護士を必要としているような電話がかかってきたが言葉が通じないため対応依頼がある。(土や委員長の電話をどこで知ったか不明)

概要

 電話をかけてきた女性の問題は暴行を受け流産したことであったが、会って話を聞いているうちに40名前後の日系フィリピン人がいること、さまざまな労働問題があり相談したいとの希望があり、教会で会合を持ち、10数名の日系フィリピン人がスクラムユニオンに加入することになった。

問題点−1
通訳と
2つのグループの存在

 @ この会社では日系フィリピン人40名前後が派遣で働いており、セブ島周辺のビサヤ語を話すセブアノ系とマニラ島北部の
  タガログ語を話すイロカノ系のグループに分かれている。
 A 現地に住むフイリピン人女性が派遣会社の通訳として雇用され全権委任の状態である。セブアノ系出身であるためイロカ
  ノ系を差別的に取り扱い、両者間の溝を作り出している。
 B 日本語はうまくないため会社と日系人間の意思疎通が十分取れていない。

問題−2
暴行事件

 @ 仕事が終わった時点での掃除の問題で女性間の諍いがあり、話し合っている途中にセブアノ系の男性が入ってきて暴行
  を加えた。
 A その場で警察に連絡して調査に来た。
 B 3日後に流産し、入院中に連絡してくる。
 C 呉教会のFr.ジェロムとカレンと3人で病院に行き話を聞く。
 D 警察の事情聴取等はFr.ジェロムとカレンが通訳を行なう。
 E 会社は健康保険、雇用保険に加入させておらず、国民健康保険にも加入していなかったため、通訳が国民健康保険に
  加入手続きを取り過去2年に遡って国民健康保険料と住民税が請求されることになった。
 F これまでも大きな病気や怪我があったときは通訳が東洋の扱いで処理していた。
 G この事件を切っ掛けとしてイロカノ系の人たちと話し合いを持ち、スクラムユニオンに加入して労働問題改善に取り組む
  こととなる。

問題−3
通勤災害

 @ 話し合いを重ねる中で、2年前に、昼食で帰宅する途中、自転車で転倒して手を骨折した女性の通勤災害手続が取られ
  ていないことが判明した。
 A 時効まで1カ月を切った時点であったためすぐに手続を行った。
 B 医療費は派遣会社が負担していたが、医療費と休業補償費の支払いを受けることが出来た。
 C 医療費については会社から領収書を受領して病院に還付請求したら派遣会社が病院に交渉して回収しようとする事件が
  あった。医療費については、本人たちが支払、領収書は通訳を通じて会社に渡してあるが清算が済んでいないものがあっ
  た。

問題−4
残業代と
雇用保未加入

 @ 残業代の内、所定労働時間を超えた部分と土曜日の25% の割増賃金未払分の支払いと雇用保険加入が団体交渉でこう
  着状態となったため、監督署への申告とハローワークへの資格確認を行い解決した。
 A 行政は実情に応じて会社を指導するのでなく委任状のある者しか対応しなかった。

問題−5
派遣先雇用へ

 @ 交渉の結果、ユニオンのメンバーについてのみ派遣先の雇用に切り替えた。
 A 社会保険加入があるため時間単価が50円の切り下げとなった。
 B 男女間また女性での年齢による賃金格差については是正できていない。
 C これ以降、ユニオンメンバーには労働時間の減少、残業させないようになる。
 D その他、様々な圧力がかかり、通訳からは気の弱い者に対して
    a ユニオンに加入したものは全員解雇するかもしれない。
    b ユニオンに加入するとブラックリストに載り、全国で働けなくなる。
    c 皆のために世話をしているのに自分の恩にそむくような行為をした。
    d 派遣会社も会社もリーダーが誰か探している。
  等いってくる。

問題−6
社会保険加入から

 @ ユニオンメンバは全員直接雇用となり、社会保険に加入し次の恩恵が受けられるようになった。
 A 翌年2名の女性が出産し、健康保険の出産手当金の受給と育児休業の恩恵が受けられた。
 B 数年後、心臓手術する人が出てきて健康保険の恩恵が受けられた。
 C ユニオンメンバー以外で癌が進行した人が見つかったが、帰国を強要されたとのこと。
 D 昨年11月にユニオンメンバーでない人が心臓発作でなくなる。ユニオンのメンバーから教会に連絡があり、奥さんの希望
  で葬儀ミサ、焼き場での祈りを行なった。会社はミサの無いままの葬儀する予定であった。
 E この人が社会保険に加入していたのかどうか不明である。また子供が耳が聞こえないとの話もあり、遺族年金と障害年金
  の問題もあると考えられる。。
 F 年金事務所の調査で会社からは全員を社保に加入させたが保険料負担を嫌い退職する者もいたとのこと。
 G ユニオンのメンバーからは派遣のままでいる者に残業をさせ自分たちはさせてもらえないとの苦情がある。
 H 直接雇用と派遣の併用のママであり、その比率は不明であり、社保加入も不明。

その他

 @ 日系人が初めて来日する時、派遣会社から渡航費や当座の生活費を借り、その支払いが済むまで拘束されているが、
  ここではその時期を過ぎた人たちで、親戚や友人を通じて倉橋、音戸、江田島の範囲で転職をしているようである。
 A 全員日本語を勉強する機会もないため日本語での意思疎通には無理があり、小学生等の子どもがいれば子供が通訳と
  なっている。
 B ユニオンから知り合いの学校の先生に日本語教室開催を依頼し順調に推移しているとのこと。
 C 家賃は高額であったが、ユニオンに加入したことから自分で貸家を見つける者も出てきた。
 D 遠隔地であるため情報も入りにくく、通訳の妨害もあって2つのグル―プの解消が出来ていない。むしろ、江田島で始めた
  土曜日のミサ開催も通訳によって妨害を受けている。
 E カキ養殖業は中国人技能実習生と日系フィリピン人が中心となって支えており、倉橋町、音戸町、江田島市地域では
  各集落ごとに日系フィリピン人が30名前後はいるようである。
 F 倉橋地区についてはイロカノ系とセブアノ系の融和を目的として月1回のミサの開催を行ない継続している。
 G また2013年3月の江田島市切串での中国人技能実習生による殺傷事件を契機に江田島市の三高地区と高田地区でも
  月1回りミサが開始されたが、三高地区はここの通訳が妨害により4回開催し、一時中止となっている。
  通訳がフィリピンの食料品等の異動販売を行っていることその指示にから従っている。