K鉄工残業代未払等事件

名 前

 M、K、L他5名、CとRの4度問題あり(フィリピン人女性)

会 社

 K鉄工  東広島市

研修種目

 手溶接(マツダ下請け)

協同組合

 AT

概 要

 (1)第1回目の問題(2009年)
  帰国前に残業代等について相談を受けるが、同僚が「怖いので何もしないように」と説得され中止となる。
 (2)第2回目の問題(2010年)
  わいせつ・セクハラ行為でキンバリーが会社近くのフィリピン人の家に逃げてきたと連絡があり保護する。
 (3)第3回(2010年)
  6名の実習生の残業代等の問題(1年変形の悪用と有給等)
 (4)第4回の問題(2012年)
  3名の実習生の残業代等の問題(前回と同じ)
  ※これ以後ベトナム人実習生に変更となる。

第1報

 Rさん(フィリピン人女性)

問題点

 (1)労働条件通知書は交付されていない
 (2)契約書は自動車産業の最低賃金が記載されているが、実際は一般の最低賃金で支払われていた。
 (3)研修生の時の残業代は時給500円
 (4)1年単位の変形労働時間制悪用で残業代未払
 (5)会社都合の休業日を年休処理または支払わず
 (6)暖房器具は使用禁止で、会社からお湯を持ち帰り湯たんぽとしていた。
 (7)パワハラ、帰国時の住民税等

生活・仕事

 保護した1名は教会関係者の自宅で生活する。
 特別問題はなかったが、第3回目以降は結束が固くなり専務の暴言も対抗できるようになった。

その他

 第3回目の交渉中ニューヨークタイムズが取材に来る。
 Newyorktimes記事(ビデオあり)

【経過】

第1回目の問題
2009年
6月7日

 (1)相談内容を聞くが、同席しなかった同僚の反対で中止となる。
 (2)強制貯金が月4万円あり一部返金してもらったが、飛行場で残り20万円から住民税2年分が一括徴収されたと後日聞く。
 (3)6月29日が帰国予定日であった。

第2回目の問題
2010年
5月18日

 (1)来日以来、毎日暴力、大声での暴言などの脅迫、セクハラ(社長から胸やお尻また車で送ってもらったときなどは足を触られた)
  などを受け続けており、常に社長や、社長の奥さんに恐怖を抱いた生活を送ってきていた。
 (2)昨日自分とあと一人が酷く怒られフィリピンに帰れ、13万払えといわれ、通勤に使用している自転車は会社の自転車だから歩い
  て帰れといわれる。(会社と寮までは距離があり数十分かかる。)
 (3)昨日、実習生がパイプを落とし、足を怪我し、病院に連れて行ってもらったが、仕事は休ませて貰ってない。
 (4)今日、内出血し、腫れて痛みが強かったので、仕事を休んだら社長が迎えに来て怒り仕事をするため連れて行った。立って仕事
  ができないため座って仕事をしているらしい。
 (5)こうした状況に耐え切れず逃げてきたとのこと。
 (6)フィリピンの送り出し機関から会社に帰るように電話がかかってきて、今日帰ってこないと警察に荷物を持っていくと言われる。
 (7)残業代、残りの研修期間の賃金とセクハラへの慰謝料等の支払いを受け、5月29日帰国する。

第3回目の問題
2010年
6月20日
 技能実習生向けの労働問題セミナー後、6名(実習生、名研修生各3名)の相談を受ける。
【内容】
 (1)研修生は残業をしており時給500円に変更はない。
 (2)研修生のJが一人パワハラにあっている。
 (3)Jの病院代8000円程度が未払いとなっている。
 (4)今年8月に帰国する2名の実習生及び研修生の残業代の問題

7月8日

【協同組合から電話】9:41
 (1)未払残業代の件で協同組合に連絡すると会社に話してもらいたいとのこと、
 (2)研修生には残業はさせていないと聞いているとのこと。
 (3)自動車産業の最低賃金が使用されていないことを伝える。
【本人たちからRさんを通じて連絡】11:24
 (1)今、全員が集められ、K鉄工の奥さんから残業代などのこと、外部との連絡のことなど文句を言われているとの連絡がある。

7月11日

 ニューヨークタイムスの取材(幟町教会)
 6名が全員で集合インタビューを受け。Kが単独インタビューを受ける。

7月15日

 協働組合理事長から電話がある。
 (1) ニューヨークタイムズからセクハラ等のことで梶山鉄工に取材の電話があったため梶山鉄工に来ている
 (2) 賃金でひどいことをしているのを始めて知った。
 (3) 協働組合には自動車産業の最低賃金で契約書が届いており安心していたが、今回、現実は違っており、また本人達にも交付
  していなかったことを知った。
 (4) 交渉を確実に行わせるので要望等教えてもらいたい。

7月20日

 (1)社長、協同組合と会社の社労士及びこちら3名で幟町教会で交渉を持つ。
 (2)1年単位の変形制で計算した金額と通常の計算方式では大きく違っているが、通常計算の80%の支払いで決着する。

7月26日

 (1)解決金を黒瀬商工会で実習生6名に直接支払わせる。
 (2)会場に入る前、相手方社労士から弁護士法違反であるとして減額要請がある。
 (3)会場では社長から減額要請がある。
 (4)これらのことに対して非難し、決定通り支払わせる。
 (5)事前の連絡もなく社労士が示談書へのサインを求めてきたため、会社と本人たちだけの示談の文面に改めさせてサインさせた。

第4回目の問題
2012年
5月13日

 (1)残業代計算が完了したため、確認・打ち合わせを行う。
 (2)4月分の賃金支給明細書を受領する。
 (3)スクラムへの加入申込書にサインをもらう。

6月27日

 (1)呉市の山の手会館で団体交渉を行う。
   K鉄工:社長、専務、Y弁護士、T弁護士、K社労士2名
   ユニオン:米今、中室、小松
 (2)解決した事項
  a.源泉徴収票と年末調整の件については、年末調整し、還付金もあるが住民税との清算のため本人たちに渡していないとのこと
   で、源泉徴収票、還付金、年金手帳を受け取った。
   また、帰国時に年末調整をし、所得税の還付を行うことを確認した。
  b.帰国時に住民税は普通徴収として届け出をし、一括徴収しない。
  c.年休の残りの部分については帰国前一括行使することを確認した。
 (3)未解決事項
  a.1年単位の変形制が適用されるかいないを巡って持ち越しとなる。
  b.弁護士は変形制の適否に言及せず、休日に対しての賃金は支払われているため問題はないとの立場。
  c.こちらは恣意的な運用のため週休2日制で計算する必要があると主張

7月10日

 (1)スクラムユニオンの事務所で第2回目の団体交渉
   K鉄工:社長、専務、Y弁護士、T弁護士
   ユニオン:土屋、米今、中室、小松
 (2)こちらの主張
  a.変形制の問題については裁判での決着しかないこと
  b.36協定と変形制協定の手続き上の不備があること
  c.前回受領のタイムカード(写)に基づき週休2日制で計算したものを渡す。

7月23日

 (1)相手方法律事務所で第3回目の団交
   K鉄工:Y弁護士、T弁護士、司法修習生2名見学
   ユニオン:米今、小松
 (2)相手方は変形制の無効を認めるものではないが土曜日は所定休日としたこと、所定休日の割増率は25%であること
 【双方の言い分】
 (1)相手方
  ・変形性が成り立たないとの見解で計算した。(変形労働の無効を認めるものではない)
  ・土曜日のみ所定休日と計算した。
  ・所定休日は25%の割増とした。
  ・18時から15分の休憩を取った。
 (2)こちらの反論
  ・所定休日割増35%は技能実習生受け入れ時からのもので、慣習的に行われておりと25%への変更は認められない。
  ・終業時は1分単位での計算とし、18時から15分の休憩もとり、計算した金額を提示する。タイムカードら基づいており、これが
   本来の計算である。15分の休憩も休息時間と考えられるがこれは譲歩し、年休・欠勤控除に関する部分も譲歩することとした。
 【結論】
  こちらの最終計算額の86%の減額で解決する。