外国人労働者関連の書籍


 1.技能実習生問題  2.母国の状況  3.エンタティナ−・結婚問題等女性関連
 4.国際交流・共生関連  5.外国人労働者受入関連  6.日本の中の外国人
 7.日系人関係  8.その他



1.技能実習生問題

@ 外国人実習生−差別・抑圧・搾取のシスステム
         「外国人実習生」編集委員会編 学習の友社 1500円   2013年1月発行


 この本は170ページ程度の小さな本ですが、全労連(全国労働組合総連合)を中心に編まれた冊子です。第1章外国人実習生問題とはなにか、第2章外国人実習生問題の本質はどこにあるか、第3章「外国人実習生問題 いかにたたかうか、からなっており弁護士や学者の投稿また第3章は各地のユニオンからの報告もあり、外国人技能実習生問題を理解する上では手軽に利用できる最新のものといえます。特に、平成22年の入管法改正以降の問題についても弁護士からの報告もあり、また労働者性の問題に触れた論考もあります。研修生時代があった時代には裁判で労働者性が大きな問題としてありました。そのあたりの問題から入管法が改正され最初の1〜2か月を除いて労働者とされました。しかし労働者性について報告されている章の中にも述べられているように労働者であると同時に研修生としての性格も無視することはできません。まさに建前と本音に翻弄された鵺的な存在が技能実習生といえます。これまで裁判等で勝ち取ってきた労働者としての方向で制度を存続させるのか、それとも両面性を合わせた形で制度を再構築するのがよいのか、これからの課題だと思います。個人的には、建前論に従い100%研修生として制度の再構築が技能実習生達にとって一番いいのではないかと考えています。しかし、どのように制度を改変してもタヌキと狐の化かし合いは終わることはありませんので、悪質な協同組合と会社の排除する第3者機関による監視体制の充実と技能実習生が常日頃から安心して相談できる体制の確保が必要だといえます。


A 外国人研修生・時給300円の労働者・壊れる人権と労働基準 1600円
B 外国人研修生 時給300円の労働者2・使い捨てを許さない社会へ 1800円
         外国人研修生権利ネットワーク 明石書店


 各地での強制帰国の事例や裁判に進んだ事例などの報告とともに外国人労働者の扱いに対する各国の法規制また研修生技能実習生制度への提言そして関連法規・通達などが載せられており、こうした問題を理解するための基本的な知識を得ることができます。


C <研修生>という名の奴隷労働 〜 外国人労働者問題とこれからの日本
         外国人労働者問題とこれからの日本編集委員会 花伝社 1500円


 <研修生>という名の奴隷労働」は現在熊本県で進められている中国人の縫製と農業の技能実習生の二つの裁判についての経過報告とシンポジウムの記録を中心としています。二つの事件の経過が報告され、それを元に討論がなされているためいろいろな角度から研修生技能実習生問題が見えてきます。研修生技能実習生問題も労働条件の問題だけにとどまらず、2006年8月に千葉県木更津市で発生した中国人研修生による殺人事件の背景についても詳しく報告されています。研修生技能実習生問題には殺人事件を引き起こすほど大きな問題が内在しているといえます。


D トヨタの足元で  ベトナム人研修生・奪われた人権
         榑松佐一著 風媒社 1300円 2008年11月発行


 2007年トヨタ自動車の下請が最低賃金を守らなかったことによってベトナム人技能実習生が研修の続行が不可能になり帰国させられるという問題が発生し、これに取り組んだ愛知県労連の活動を通して技能実習生問題を紹介したものです。


E 外国人研修生殺人事件
         安田浩一著  七つ森書館  1600円 2007年2月発行


 2006年8月18日に千葉県木更津市の養豚場で中国人技能実習生が受入機関の役職員を殺傷した事件の背景を中国にも取材をし報告したものです。技能実習制度を金儲けの手段としている送出機関と受入機関のカラクリがよく分かります。


F 外国人労働者受け入れと日本社会 〜 技能実習生制度の展開とジレンマ
         上林千恵子著 東京大学出版会 5,600円


 序章と第1章を除いて過去に発表された論文集で最新の状況についての報告ではありませんが、技能実習生制度の創設から発展またその概要についての調査研究結果が報告されています。調査を踏まえ学問的な研究書が少ない技能実習生制度またこれからの外国人労働者問題へのいい参考になります。

 序 章 外国人受入に関する近年の動き(書き下ろし)
 第1章 日本社会と移民政策 ― 日本の外国人労働市場を中心に(書き下ろし)
第T部 移民政策成立以前の外国人労働者受け入れ
 第2章 町工場の中の外国人労働者 ― 都市零細企業における就労と生活(1991年)
 第3章 自動車部品工場の中の外国人労働者 ― 日系ブラジル人へのニーズ(1993年)
第U部 外国人技能実習制度の展開
 第4章 外国人技能実習制度の創設と発展(2009年)
 第5章 技能実習生の受け入れ費用(2001年)
 第6章 中国人技能実習生の就労と生活(2012年)
第V部 移民政策のジレンマ
 第7章 外国人労働者の権利と労働問題 ― 労働者受け入れとしての技能実習生をめぐって(2012年)
 第8章 低熟練労働者受け入れ政策の検討(2010年)
 第9章 中国の労務輸出政策と日本の技能実習制度(2013年)



2.母国の状況

@不思議のフィリピン ― 非近代社会の心理と行動
    中川剛著  NHKブックス 750円 1986年11月


 フィリピンと日本の地方制度の比較研究を行った著者がフィリピン人の心理と行動の大枠を理解するキ−ワードとして12の項目を選んで解説したもの。
@恩と恥、A人間関係がすべて、B運命論か自然受容か、C「人情」か「いいかげん」か、D母性型社会、E助け合いの義務、F運を天に任せて、G集団主義と個人の自由、Hセンチメンタルと言われる国民、I一族と派閥、J「白人」症候群、K「場」の哲学

A 奇跡の日日 シスター・テルコのマニラ通信1981-1987  1339円 1987年6月発行
   試練の日日 シスター・テルコのマニラ通信1987-1990  1505円 1990年6月発行
         小野島照子著 朝日新聞社


 フィリピンのマニラにあるスラム街に単身乗り込み共同体をつくり活動をしてきた小野島シスターと日本で資金援助したグループとの往復書簡から成り立っている活動報告です。この期間のフィリピン社会の状況やスラム街での生活等よくわかります。このあたりの話をゆっくりと聞きたいと思っています。

B フィリピンの小さな産院から
         冨田江里子 著 石風社  1,800円  2013年4月発行


 1991年のピナツボ火山大噴火で全てを失った被災民に対して開かれたマンガハン再定住地で産院を開いて活動している助産婦さんの出産時の話を中心として、此処に住む人たちの生活状況や人間関係等が一話2ページほどで面白おかしく描かれています。貧しい生活の中でもお互いが助け合う姿勢が書かれていますがこれはこの集落の中でのこととして見ていた方がいいのかもしれません。日本で生活しているフィリピン人を見ているとこの辺りには複雑な問題があるように思います。

C 金なし、コネなしもフィリピン暮らし
         志賀和民著 イカロス出版 1600円  2011年11月発行


 フィリピン暮らしをするための様々な情報が満載されており、フィリピンを知るための百科事典的な内容。

D バタス〜刑務所の掟
         藤野眞功著 講談社  1,500円  2010年4月発行


 フィリピンのモンテンルパ刑務所内の状況の報告です。日本では考えられないような自由があると同時に幾つかのプリズン・ギャングの集団があり、武器まで持っている有様です。フィリピンは危険とフィリピン人自身が言うのも、研修生たちが警察を怖い存在としか感じていないのもうなずける気がします。ただこの本の主人公は日本人でプリズン・ギャングのトップまで上り詰めた男の話です。まともなルートを外れた遊びの怖さがあることも分かります。

E 日本を捨てた男たち  フィリピンに生きる「困窮邦人」
          水谷竹秀著   集英社  1500円   2011年11月発行


 フィリピン人パブに溺れたり偽装結婚の片棒を担いだりさまざまな理由でフィリピンに渡って生活困窮者となった人たちを扱っています。食い詰めながらも見ず知らずのフィリピン人に助けられながら生活している日本人に取材したものです。日本にいるフィリピン人を見て共感できるところもあります。いい面悪い面含めて面白い本です。

F 何もなくて豊かな島 ― 南海の小島カオハガンに暮らす
          崎山勝彦著 新潮社 1250円  1995年6月


 セブ島の沖10kmにある周囲2kmの小さな島を購入した著者がそこで暮らしている人たちとの交流を通して島での生活を綴っています。今では宿泊施設「カオハガンハウス」も立てられ観光スポットになっています。

G レンタルチャイルド〜神に弄ばれる貧しき子供達
         石井光太著  新潮社  1,500円  2010年5月


 本を開いてびっくりしたのが第1部の扉の写真でした。一人の物乞いが写されています。名にかよく分からないまましばらく眺めているうちに両手両足がそれぞれ根元から無いことに気付きました。同じような経験が車いすテニスでもありました。普段は義足で歩いている人が競技用車いすに義足を外して乗っているのを見てショックを受けたことがありました。脊髄損傷の人に言わせると1Cmでも足があれば踏ん張ることが出来われわれとだいぶ違うとの言葉にも驚かされました。しかしこの本の世界はこんな平和な世界の話ではなく、生きるため、少しでも施しを多くもらうために腕を切り落としたり、目を潰されたり、死んだ人間を焼くための薪代を得るための名目で街中を引き回すなど想像を絶する世界が最初から最後まで綴られています。なんら明るさが無い中にも、そこで暮らす人たちの心の通い合いが僅かな救いとなります。何故神はこのような世界を造ったのか。ヨブの話は豊な生活を経験し、悲惨な目にあい、最後は救済があります。この物語は神の気まぐれとしか私には思えませんが、しかし彼らのおかれた現実は生まれて死ぬまでこうした世界しかありません。戦争やテロで死んでゆく人たちの場合それなりに納得できますが、レンタルチャイルドに描かれた世界はナンなんでしょうか。平和な世界でグズグス言っている私たちはナンなんでしょうか。神が・・などと話すことも出来ない世界です。絶句するしかないかもしれません。

H 今こそフィリピンビジネス
         松田健著  カナリア書房  1500円 2009年5月発行


 ジャ−ナリストでアジア・ビジネスコンサルタントの著者がフィリピンをビジネスの面から紹介したもの。

3.エンタティナ−・結婚問題等女性関連

@ フィリピン女性エンタテイナーのライフストーリー
         武田 丈 編著  関西学院大学出版会       2100円 2005年9月発行


この本は、「フィリピンでのリクルートと送り出し」、「日本でのオンターテイナーとしての生活」、「日本での定住者としての生活」そして「フィリピンへの帰国後の生活」の4部構成で、それぞれ2〜3篇の「ライフストーリー」と「実態と問題点の解説」で構成されています。またそれぞれで支援に係わる民間組織の活動も報告されており、これらの組織の活動はHPで知ることが出来大いに参考になると思います。

A フィリピン女性エンタ−ティナ−の世界
         マリア・ロザリオ、ピケロ・バレスカス著 明石書店  1500円  1994年8月発行


 フィリピンから日本に興行ビザで来日した女性28名やお店等への聞き取り調査を通したフィリピン人による研究書。
 第1章転機、第2章タッチ・ダウン、第3章フィリピンへの帰国の3つの章から構成されています。

B フィリピン―日本国際結婚  多文化共生と移住
         佐竹眞明、メアリ−・アンジェリン・ダアイノ著 めこん 2500円 2006年5月発行


 第1章フィリピン女性による日本への出稼ぎ、第2章フィリピン-日本国際結婚、第3章農村花嫁:業者仲介による結婚、第4章日本社会におけるフィリピン女性:固定観念を崩す、第5章異文化結婚と日本男性、第6章日本を第二の故郷に:多文化共生を求めるフィリピン女性、終章レチョン、バンブーダンス、ごちゃごちゃ:異文化接触・多文化共生からなる研究書

C 国境を超えるアジアの家事労働者  女性たちの生活戦略
         上野加代子著 世界思想社  2100円  2011年11月


 1章いざ出国―海外出稼ぎを作り出すシステム、2章すべては運次第―外国人家事労働者としての生活、3章言いなりばかりになってはいられない―したたかな不服従、4章格好よくやろう―アイデンティティのマネージメント、5章逃げよう、シェルタ−に―NGOの利用法、6章海外出稼ぎ20年―親密圏の再編成からなる研究書で出稼ぎ国の状況がよくわかります。将来は日本らも?

D 移住女性が切り拓くエンパワメントの道 〜 DVを受けたフィリピン女性が語る
         カラカサン編集  解放出版社  1200円           2006年12月発行


 川崎市でフィリピン人女性への支援をしているカラカサンの活動報告です。英文と日本文の抗生となっています。「被害者」という殻を破って―語り始めた移住女性たち、移住女性たちが切り拓くエンパワメントの道―DVを受けたフィリピン女性が語る→これは第1章はじめに、第2章調査の方法論第3章絵カバ和麺との過程、第4章組織的な介入、第5章むすび からなっています。

E じゃぱゆきさん
         山谷哲夫著 岩波現代文庫  1200円 2005年10月発行


 1980年代の歌舞伎町のピンクゾ―ンに泊まり込み全国のストリップ小屋ら取材し、フィリピン、タイベトナムの人身売買機構に取材したノンフィクションです。第1章じゃぱゆきさんの住む街、第2章ストリッパー、第3章バナナ第4章じゃぱゆき屋、第5章闇の底、第6章マニラ・コネクション、第7章異国紀行、第8章見えてくるもの、第9章アジアは女だ、追章終わらない人身売買

F 日本に嫁いで11年
         中野フェシェリアキタ著  文芸社 1300円  1999年13月


 フィリピンのレイテ島の田舎から一歩も出ることのなかった著者が日本人の旅行者と結婚して来日した記録。

G フィリピ−ナを愛した男たち
         久田恵著 文芸春  1500円   1989年10月


 プロローグ ニッポンの男、頭おかしいか、第1章神様からのギフト、第2章帰ってこない妻と娘、第3章追いかけてきた男たち、第4章茨城によく似た風景、第5章故郷を捨てた男、第6章浦安の小さなフィリピン、エピローグジャパユキさんの結婚元年。

H奥さまはフィリピ−ナ
         今藤元著  彩図社  552円  2004年9月


 フィリピーナと結婚した著者との間で起こる様々な問題や水商売のことなど面白おかしく書かれています。

Iフィリピーナ愛憎読本増補版ナ
         アジア風俗研究会  データハウス 1400円 2002年11月


 第1章フィリピーナとつきあう恋愛術、第2章フィリピーナと結婚する方法、第3章フィリピーナと暮らす。


4.国際交流・共生関連

@ 多民族・多文化強制社会のこれから  NGOからの提言  <2009年改訂版>
         移住労働者と連帯する全国ネットワーク編 現代人文社 1600円  2009年3月発行


 第1部移住者政策の岐路にたっても第1章多民族・多文化の共生の未来、第2章人権と共生に向けた法の整備、補論確立される外国人管理のインフラ、第2部個別課題をめぐって 第3章働く権利・働くものの権利、第4章移住女性の権利、第5章家族と子供の人権、第6章子供の教育も第7章医療と社会保障、第8章地域自治と外国籍住民、第9章「難民鎖国」を打ち破るために、第10章収容と退去強制、第11章裁判を受ける権利、第12章人権差別・外国人差別をなくすために 移住連の政策提言です。

5.外国人労働者受入関連

@労働鎖国ニッポンの崩壊  人口減少社会の担い手はだれか
         安里和晃編著   ダイヤモンド社  1900円  2011年3月発行


 「労働市場の開放は経済の立て直し、生活水準の維持、コミュニティの存続などにかかわる重要な問題である、どのような事態になるか、どう解決を図るのかは本書を読んでいただきたい。」とあるように研究者が論考を寄せている。
 第1章枯渇していく日本の労働力
  @人口減少社会における社会の再生産と移民
  A加速する労働力人口の減少
  B少子高齢化時代における労働力需給
 第2章日本は「労働鎖国」か―受け入れの問題点を探る
  @受け入れの是非論とその展開
  A研修・技能実習制度は生まれ変わるか
  B産業存続危機の解決策としての外国人研修・技能実習生の受け入れ
  CEPAによる看護師・介護士受け入れ制度について
  Dアジア地域から来日して働く外国人にIT技術者
 第3章成長するアジアと人の移動
  @アジアの経済成長と外国人労働者―
  A送り出し国の開発と出稼ぎ労働者
  B改革される外国人労働者受け入れ
 第4章労働力大争奪時代の到来に備えて
  @日本を離れアジアへと向かう若年労働者
  A中国の経済成長と高齢化がもたらす、アジアの労働力争奪
  Bこれから日本がとるべき方向性とは
  C多様な人材の包摂とグローバルなアプローチ

A 外国人労働者受け入れは日本をダメにする
         小野五郎著  洋泉社  952円   2008年1月発行


 通産官僚から大学教授となった著者が外国人労働者受入問題を解説しています。序章<シミュレーション>2050年、外国人労働者急増で日本はこうなる、第1章外異国人労働者をめぐる無責任な議論に反論する、第2章外国人労働者が日本経済を救わないこれだけの理由、第3章羅ほか人ホワイトカラーの試練と高まる社会的コスト、第4章これが外国人労働者受け入れの実態だ、第5章外国人労働者を送り出す国側はどんな現状か、第6章諸外国の外国人労働者受け入れ政策は成功しているか、第7章日本のアイデンティティを確立した現代版「和魂洋才」を目指せ

B 外国人労働者新時代
         井口 泰著  ちくま新書  680円   2001年3月発行


 労働省から大学の教授となった外国人雇用問題専門家のによる外国人受け入れ問題を扱っています。
 序章外国人労働者新時代の幕開け、第1章始まった「第二の論争」、第2章外国人労働者はいま。第3章移民受入は少子・高齢化対策になるのか、第4章移民・外国人労働者の社会的統合、第5章地域統合と国際的人の移動、第6章東アジアの人材移動、終章人材の集まる国に

C 在日外国人 第三版 ― 法の壁。心の溝
         田中 宏著  岩波新書1429  820円   2013年5月発行


 日本に在住している外国人を対象として歴史、法令等様々な問題を取り上げています。序章アジア人留学生との出会い,T在日外国人はいま、U「帝国臣民」から「外国人」へ、V指紋の押印、W援護から除かれた戦争犠牲者、X差別撤廃への挑戦、Y「黒船」となったインドシナ難民、Z国際国家のかけ声のもとで、[外国人労働者と日本、終章ともに生きる社会へ

D ルポ ニッポン絶望工場
         出井康博著  講談社+α新書  840円


 ベトナム人偽装留学生を中心にブラジル人やEPAの問題など現在日本が抱える外国人問題が報告されており目から鱗と言った思いで読み進みました。特に最後の第6章「犯罪集団化する「奴隷」たちの逆襲」は外国人の犯罪と親が外国人の悪質な犯罪の増加を予感させられる気もします。「外国人との共生」といったきれいごとの世界の話ではなく外国人の受け入れとは何か考え直すため参考になりました。

6.日本の中の外国人

@ 出るくいは打たれる 〜 フランス人労働司祭の日本人論
         アンドレ・レノレ著  岩波現代文庫  1000円  2002年3月


 今回紹介した本は、建設現場の下請けがどのような労働環境におかれているかをフランス人の司祭が報告しています。この司祭は、フランスの修道会から日本に派遣されるとき、日本での任務の一つに「労働者の生活の実態や精神構造や独特の言葉をかれらのふところに入って理解すること。」を掲げ、その実践として、1970年から21年間川崎市の下請け零細企業で司祭としての仕事と並行して労働者として働かれました。このときの日記をもとに労働、労災、過労死、残業、組合、社内旅行など31の項目を立てて報告されています。フランス人と日本人との労働観の違い、法律があっても有名無実の世界で働いている下請け零細企業の実態がよく描かれています。

A 扉を開けて
 ルポルタージュ 外国人労働者の生活と人権
         信濃毎日新聞社編  証出版  1825円  1992年1月


 第1部ゆがむ外国人雇用、第2部外国人裁判の死角、第3部外国人医療の空白、第4部さ迷う子供たち、第5部教室へ「がいこくからの風」、第6部゜隣人隔てる「心の壁」、第7部国際化に地域からの提言

B もっと知ろう!! 私たちの隣人
         加藤剛 編  世界思想社 2,300円    2010年3月発行


 「もっと知ろう!!私たちの隣人」はそれぞれの国籍の人たちと地場産業との関係や、来日経過とコミュニティづくりなどの実際を報告しています。「名古屋市中区のフィリピン・コミュニティの試み」、「新宿区大久保の20年」や「日本に住むムスリムのモスク設立運動」など非常に興味深いものがあります。
はじめに―ニュ−カマー―外国人と21世紀の日本社会、第1章ニュ−カマーの制度的位置づけ―日本の出入国管理政策を中心にむ、第2章地場産業を支えるのは誰か、第3章外国人に依存する農業―北海道の中国人研修生・実習生、第4章「ガラスのコップ」が壊れる時、第5章地域社会に見る多文化共生―名古屋市中区のフィリピン゜・コミュニティ、第6章ニューカマーの流入と都市の<多文化>化、第7章礼拝の場を求めて―日本に住むムスリムのモスクの設立運動、第8章日本の多文化民主主義を見据えて―外国人支援NGOが持つ意味

C 日本のエスニック・ビジネス
         樋口直人 編 世界思想社 2,800円   2012年12月発行


 さまざまな国から来た外国人が日本でどのようなビジネスを展開しているのかその様子を各研究者が報告しています。
 序章日本のエスニック・ビジネスをめぐる見取り図、第1章在日韓国・朝鮮人―ビジネスのダイナミズムと限界、第2章ニューカマー中国人―一般市場における多様な展開、第3章ブラジル人―揺れ動くエスニック・ビジネス、間章エスニック・メディアの担い手たち―在日ブラジル系メディアビジネスの攻防、第4章フィリピン人―「主婦」となった女性たちのビジネス、第5章ベトナム人―外部市場志向のビジネス、第6章パキスタン人―可視的的マイノリティの社会的上昇、終章鶴見で起業する―京浜工業地帯の南米系電気工事業者たち

D ルポ差別と貧困の外国人労働者
         安田浩一著 光文社新書 860円 2010年6月発行


 日本は単純労働者の受入を認めていませんが、現実問題として日本経済を底辺で支えているのは外国人労働者です。中でも技能実習生と日系人の労働力が中心となっています。これらの人たちが劣悪な労働条件で、過酷な労働に従事しています。そうした実態を第1章の中国人が支える、日本の底辺重労働で技能実習生問題をそして第2章の日系ブラジル人、移民たちの闘いで、日系ブラジル人の置かれた状況を取り上げています。

E ニッポンに生きる 在日外国人は今  共同通信社取材班著
         現代人文社 2011年2月28日発行  1600円  2011年2月発行


 この本は、多数の日本に暮らす外国人と外国人に関係する日本人からの取材で成り立っており、外国人が日本で暮らすことの問題点があらゆる角度から触れられています。
 第1章隣の外国人、第2章隣の日本人、第3章働いて働いて、第4章併合100年の韓国・朝鮮人、第5章難民鎖国、第6章自らの手で、第7章共生への提言、第8章解説という内容で各章5〜8人のインタビューから成り立っており、第8章は在日外国人小史と在日外国人の現状と課題が簡単に触れられています。ブラジル人の女性が神戸でNPO「関西ブラジル人コミュニティ」を立ち上げ児童向けのポルトガル講座や大人向けの日本語講座などの活動をしているという話がありました。各地にこのような相互扶助的な組織が出来ていくことを祈ります。

F ニッポン異国紀行〜在日外国人のカネ・性愛・死
         石井光太 著 NHK出版新書 860円   2012年1月発行


 2年ほど前の深夜にフィリピン人技能実習生が交通事故で死亡しました。そのときフィリピン人の遺体は火葬しないままに帰国させるということを知りました。大阪に送られ防腐処理をされた後、成田から空輸され、この費用が200万円近くかかるということ聞きました。フィリピンでのお葬式のことについて訊ねてみると遠隔地から来る人のために防腐処理をして1週間も2週間も遺体のまま安置し、その期間の長さによって防腐処理の費用が違うとのことでした。この本は私が関心を持った遺体処理についての第1章「外国人はこう葬られる」から始まっています。このあたりの処理をエンバーミング呼ぶそうです。またイスラム教の人たちが日本で埋葬されるときは土葬であり多磨霊園にその墓地があるとのことにも驚かされました。
 こうした特殊な点は別にして外国人との付き合いが多くなれば私達は文化やものの考え方の違いを理解しているとの錯覚に捉われているのではないかと思います。また非合法の世界のことについても「以前他人の名前で日本に来ていた」とか「ビザが切れるので結婚する人がいないか」といった程度のことは聞いてもそれ以上のことは全く分かりません。この本が触れているのは合法非合法を問わず副題にあるように「在日外国人のカネ・性愛・死」についての側面です。第2章「性愛にみるグローバル化」、第3章「偉人達の小さな祈り」、第4章「肌の色の違う患者達」の章立てとなっており、特に韓国の教会が行っているホームレスに対する炊き出しや日本の宗教の海外布教のありかたなど、また本論とは関係のないコラムで触れられているものが非常に面白いし、こうした社会が私達の目の前にあるのに気がついていないのが現実です。コラムには「中古車輸出」や「インド料理屋」などあり、インド料理屋はインド人かつくっているのではなくパキスタンやネパールなどインド人と似た周辺の国の人たちが料理をつくっているというのにはびっくりしました。

G 移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活
         高野秀行著 講談社  1600円  2012年11月発行


日本に在住している外国人は当然自分が育った母国と同じ食生活を送っています。広島にいるフィリピン人にしても歓楽街のバーなどでも食料品を置いている店も少なくありませんし車の行商もあります。
 第1章成田のタイ寺院、第2章イラン人のベリーダンサー第3章震災下の在日外国人、第4章南三陸のフィリピン女性、第5章神楽坂のフランス人、第6章中華学校のお弁当、第7章群馬県館林市のモスク、 第8章鶴見の沖縄系ブラジル人、第9章゜西葛西のインド人、第10章ロシアン・クリスマスの誘惑、第11章朝鮮族中国人の手作りキムチ、第12章震災直後に生まれたスーダン人の女の子、満1歳のお誕生日会。

H フィリピン出稼ぎ労働者 夢を追い日本に生きて
         石山永一郎著 柘植書房  1700円  1989年6月


 日本の各地で働いているフィリピン人の状況や出稼ぎせざるを得ない母国の状況また日本の対応の問題等についての報告です。
 第1章跳べない鳩たちの夜、名古屋、栄4丁目、第2章アジアの香りのするドヤで 横浜寿町、第3章踊れない踊り子たち マニラ 東京・六本木、第4章移民たちのすれ違う島 沖縄・金武、第5章貧しさからの脱出の夢は フィリピン・マニラ、第6章出稼ぎ立国フィリピン、第7章「繁栄」の中の外国人労働者。

I 池袋チャイナタウン
         山下清海著      洋泉社    1400円  2010年11月


 1980年代末以降日本にやってきた新華僑によって形成された池袋チャイナタウンは横浜や長崎の中華街のような観光地化されたチャイナタウンとは違った素顔のチャイナタウンを研究者が一般向けの読み物として紹介した本です。
 第1章池袋チャイナタウンとは、第2章彼らはなぜ日本にやってきたか、第3章池袋・新華僑起業家列伝、第4章新華僑の経営スタイルと暮らし、第5章東京中華街構想の波紋、第6章池袋チャイナタウンのゆくえ

J 日本人は誰も気付いていない在留中国人の実態
         千葉明著  彩図社  1200円  2010年7月


 外交官から入国管理局での経験を持つ著者が外国人登録制度や在留資格また技能実習生や留学生等の生活の状況また帰化した中国人などについて解説しています。
 第1章在留中国人とは、どんな人たちか、第2章在留中国人は何をしているか、第3章道を踏み外す人々、第4章中国系日本人、第5章共生に向けて、第6章中国人をどう受け入れるか。

K 移民の詩  大泉ブラジルタウン物語
          水野龍哉 著 CCCメディアハウス 1,500円


「東京都心から約2時間、町民の10人に1人が日系を中心としたブラジル人という群馬県邑楽郡大泉町。一時は日本全国で30万人を超えた日系ブラジル人もリーマン・ショックの煽りを受け、半数近くが失業や帰国の憂き目にあった。彼らの逞しい生きざまと地域住民との交流を丹念な取材で描ききったノンフィクション。」(帯裏から)

7.日系人関係

@ ハポン―フィリピン日系人の長い戦後
         大野 俊著  第三書館 


 フィリピンという言葉で思い出すのは、「戦争中に日本軍がひどいことをしているのでフィリピン人は日本人に対して強い憎しみを持っている。」と小学校の社会科の授業での先生の言葉です。今、日本に来ている人達はそのような感情は全くと言っていいほどないでしょうし、むしろ憧れの方が強いかもしれません。しかし技能実習生の中には日本人に対して憎しみを抱いて帰る人も少なくはないと思います。私の周りには様々な在留資格のフィリピン人がいます。しかしあまり認識されていない例として技能実習生と同じような形で来日する日系人のグループがあります。フィリピンと日本の派遣会社が手を組んで金もうけの手段の対象となっています。私の知っている範囲では、農業やカキ養殖関係に沢山来ており、それぞれの集落でコロに―を造り、他の市町村に住む親族関係の連絡網を通じて助け合っています。労働条件面では不当な扱いを受け、職場によってはフィリピン人の通訳による理不尽な行為が行われています。僻地の職場であるため教会に行くこともできず、他のフィリピン人と関係を持つ機会もなく、日本語も上達しない環境に置かれています。こうした日系人のルーツはフィリピンに出稼ぎに行った日本人や日本軍人との子どもたちです。終戦後は日系人であるため命の危険にさらされ、悲惨な生活を送ってきていました。また日本の父親を訪ねても無視されてしまいます。先日、倉橋町で日系人が心臓発作で亡くなりました。勤務先には40名前後の日系フィリピン人がいますが、11時からの葬儀には親族以外の日系人は一人も参列しませんでした。葬儀場と会社とは目と鼻の距離です。昼食は自宅に帰って食べるため、参列を希望する者には、昼休の繰り上げと多少の時間を与ええる配慮があれば済むことだといえます。問題はこれ以外にも幾つかありましたが、この葬儀で日系人は使い捨ての働き蜂でしかないのかとの悲しい思いを改めて実感しました。
 いまだに悲惨な歴史を引きづって生きている日系人のルーツに関心のある方は読んでみてください。この本は1991年発行で絶版になっていますが、アマゾンの古本で手に入ります。

A バギオの虹   シスター海野とフィリピン日系人の100年
         鴨野 守著  アートヴィレッジ


「戦後、フィリピンでは日本軍に協力したフィリピン人に厳しい処罰が下された。フイリピン人においてすら、それほど厳しい仕打ちであったから、かっての敵国日本人の血を引いていると分かれば、命の保証はない。そのためバギオの日系人たちはフィリピン人の影に怯え、コソコソと逃げ回るネズミのような生活を余儀なくされた。」こうした状況に日系人の生活の改善に尽力したのが定年退職後フイリピンに渡ったシスター海野でした。 戦前の移民した日本人の状況や日系人の過ごした状況とシスター海野の遺骨の収集や経済的基盤づくり等に尽力した様子、またシスター海野に関係した人たちからの文章で構成されています。


8.その他

@エンジェルフライト国際霊柩送還士
         佐々木涼子著 1500円2012年11月発行


 数年前の深夜、呉市でフィリピン人技能実習生が車に跳ねられて死亡する事故がありました。当然、教会に遺体が運ばれてくるものと皆が思っていたところ、すぐに大阪に送られエンバーミング(防腐処理)されて送り返されました。この事件から、フィリピンでは遠くから来る人のために防腐処理をして長期間遺体を安置するのが普通だと聞いてびっくりしました。お金があり丁寧な処理ができる人は1ヶ月ぐらいは安置しておくとのことでした。事故による死亡であれば身体自体がかなりな損傷を受けていることもあるはずです。しかし私たちはそうしたことに気づかず五体満足な死体しか想像していないのではないでしょうか。また、死亡地での処理が悪かった場合には腐敗した状態で帰ってくることもあります。日本と外国との間で遺体の搬送を担う人たちがどのような仕事を行っているのかをこの本はエアハース・インターナショナル(株)の活動を通じて報告しています。
 この本の冒頭から凄まじい光景が出てきます。「蓋をあけたとたんに、強烈な腐敗臭がたちのぼる。魚やネギが腐ったような臭に・・・そこには現地で交通事故にあった日本人男性が裸のまま横たわっていた。外国から戻ってくる遺体には、エンバーミング(防腐処理)を施してあるのが普通だ。亡くなった人の静脈に管を入れて防腐剤を注入することにより、遺体は生前と変わらぬ外見を保つ。しかし、男性の肌は酸化による変色が進み灰緑色になり、頭部の解剖痕はホチキスで何カ所か留めてあるだけで、縫合していない皮膚の切り口からは血液と防腐剤液が流れ出て幾筋にも肌にしみを作っていた。」(P7〜P8)こうした遺体を綺麗に処置し、死化粧を施して生前と変わらないような状態で届けるのがエアハース(株)の仕事です。「今震災を経験して、弔いというものが人間にとっては本質的に必要なのだと私たちは理屈を超えて気づきつつある。葬儀は悲嘆を入れるための「器」だ。自らの力では向かい合うことができない悲嘆に向き合わせてくれるための仕組みなのだ。」(P278)と著者は述べています。常日頃葬儀は必要ないと思い、周りで亡くなる人も大往生に近ければ喪失感も悲しみも感じないまま葬式は日常生活の中の一場面として過ごして来ましたが、命と喪の作業を改めて考えさせられました。

A密入国ブローカー悪党人生
         相川俊英著 草思社 1600円 1997年6月


 バングラデシュ人を密入国させた日本人ブローカーを通して密入国の経路や密入国した人たちの生活またそうした人たちにかかわる日本国内での犯罪などが報告されているが、蛇頭のような組織犯罪ではなく細々とした小さな組織の犯罪を扱っています

B台湾生まれ 日本語育ち
         温 又柔 著  白水社  1,900円


台湾人の両親から生まれ、3歳のころから日本で生活し、小説家となった人、外国人との意識を持たない外国籍の日本人?が日本と家族と台湾の親戚などとの関係を「ことば」を通して様々な思いを述べています。変に誇張したり、笑を取るようなこともなくこれまでの日常生活の一端を通して複雑な心境が淡々と語られ、いつのまにか引き込まれてしまいます。免許証更新手続きで外国人登録証の提示を求められてそれが何であるのか、常に携帯しておく必要があると知らなかったと語っており、こうした自分をペーパーガイジンと表現しています。「私が日本人じゃない、だなんて。そんなのは紙の上のみの事実よ。/そんな風に笑い飛ばそうと意気込んでみても、紙の上に記された文字を完全に無視することができないでいる。」そうは言いながらも、「先のことは分からないが、今のところわたしは、帰化をしようとは思わない。できればずっと、台(、)湾(、)人(、)で(、)あ(、)り(、)な(、)が(、)ら(、)日(、)本(、)人(、)で(、)い(、)た(、)い(、)。そのため台湾籍を保持したい気持ちなのだ。」と述べています。また、日本語を国語として学び日本語が話せる祖母、日本語が全く分からない母そして自分との関係など私たちには思いもつかない世界が展開されていきます。