C年次有給休暇


 年次有給休暇は、正規社員のみでなく、パートやアルバイトであっても一定の期間勤務すれば当然の権利として与えられます。労働者は行使する時季を事前に指定する必要があり、使用者は業務の都合により労働者が申し出た時季を変更する権利を有しています。ただ、退職が迫り、時季変更が不可能な場合には認められません。また、5日を越える年次有給休暇については労使協定に基づいて付与する時季を定める計画的付与という与え方もあります。また、年次有給休暇は原則1日単位の付与となりますが、労使協定によって時間単位で年次有給休暇を付与することもできますが、この場合1年間5日が限度となります。注意しておかなければならないのが、時効があるということで、付与された日から2年以内に行使しなければ時効で権利が消滅します。

 技能実習生の場合の例を示しておきます。
1〜2ヵ月
6ヵ月
12ヵ月
12ヵ月
4〜5ヵ月
              → 労働者     10日            11日           12日           帰国
6か月目の10日の年休が時効 →

技能実習生の年次有給休暇の問題はいくつかのパターンがあります。
 (1)年休は一切与えられない。
 (2) 使用禁止して帰国時に買い上げ予約をするもの。
 (3) 事前に連絡した場合のみ与え、連絡がない場合には、欠勤とする例。
 (4)本人の意思と関係なく、休業等の日に流用して消化してしまう。

 一番大きな問題は言葉の問題があるため十分に意思の疎通ができないまま欠勤扱いにされたり、無視されたりすることもあります。協同組合が常に会社と技能実習生との間に介在して世話をしている場合であっても担当者が会社に気兼ねしてか、連絡を行わなかったり、休むことを認めなかったりするケースもあります。ひどい例では、会社を何らかの理由で休むとペナルティーとして1週間休まされるという例もありました。また当日会社に連絡していても、単純に忘れられる場合もあれば、人によって差別的扱いがなされていたりするとの不満を聞きますが実態はよく分かりません。ただ会社としては年次有給休暇の行使はしてもらいたくないのが本音としてあるため、年休を行使する手続の説明も十分でないまま放置されていることが多いと考えられます。年次有給休暇の行使を認めない例では、当然のこと帰国前日まで仕事をさせられています。
 年次有給休暇の計画的付与を利用しながら通常の休暇扱いしている例に遭遇したことがありました。日本を代表する造船所の下請で会った話です。技能実習生の残業代等で交渉に入り、週休2日そして祭日は休日という労働条件通知書に従って残業代を計算して提示したところ造船所のカレンダーを使用していると会社から言われ、そのカレンダーを見ると1年単位の変形労働時間制は利用せず、祝日があれば土曜日が出勤になったりといろいろなパターンで1週40時間になるように組まれています。当然、技能実習生は祝日や土曜日に出勤すれば25%の割増賃金が付くはずだと考えていますが、労働条件通知書が間違っていることなど知らされていないため不満をかこっていました。このカレンダーの欄外に夏場の6日の休日については年次有給休暇の計画的付与であると記載されています。しかし会社はこの記載を無視して年次有給休暇としての扱いをしていませんでした。そのため盆の休みなども加えるとカレンダー上の出勤日は14日しかありません。社会保険料や住宅費を控除されると手取りは5万円程度しかなく、仕送りと生活費のため他社の技能実習生や同国人の金貸しから10%の利息で借金をしている状況がありました。
 上に挙げた「買い上げの予約」については、労働基準法で禁止されています。ただ、行使できなかったものについての買い上げは問題がありません。この場合の、買い上げ価格については法律的な縛りはないため、いくらでも構わないことになります。何かの問題で会社と交渉に入る時には、この年休の扱いがどのようになっているか確認し、取りづらい環境また仕事が忙しい状況等があれば、行使できなかったものについては、買い上げてもらうとの提案も考える余地があるといえます。