E制度上その他の問題(契約期間、在留期間、保証金、研修費の事後払い)


【技在留期間・労働契約期間】
 能実習生は1回限り3年間または1年間の研修を目的として来日しています。しかし入管法上の在留期間は1年、6か月または法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)となっています。大多数の技能実習生は3年間の研修を目的としているため2回の在留資格更新をする必要があります。また技能実習生は労働者であるため研修先の会社と労働契約を締結しますが、その期間は、たまに3年のものも見ますが、まず1年契約となっています。研修についての契約書なり協定書があればそれには3年間となっているはずです。3年間の研修期間中になにか問題が発生しない限り問題にもならないことですが、認められた研修職種外の活動と認定されたり、会社が倒産して受け入れ先が見つからない場合、また残業代問題等から強制帰国の憂き目にあった場合などには残りの期間に対する損害賠償の問題が出てきます。
 一つの例でこの問題を見ています。来日して11カ月目にこうした問題が発生したとすると在留資格と労働契約の残りの期間は1か月となります。協同組合が必死になって移籍先を探しても見つからなければ在留資格の期日までには帰国せざるを得ません。本来はあと2年間研修が受けられたため、この期間について会社に損害賠償請求できるのかといった問題があります。会社は労働契約期間を超えて損害賠償請求に応じるとは考えられず2年間分については宙に浮いてしまいます。そうなると裁判で決着をつけざるを得ない話となります。
 会社に対する3年間の雇用補償に関する問題と同時に第1次受け入れ機関である協同組合の責任問題もあります。協同組合の中には、研修制度で認められている職種を無視して低賃金労働者として会社に受け入れさせている例が散見されます。この場合でも、協同組合に補償ないし慰謝料を請求するとしてもなかなか応じてこないのではないかと思います。
 こうしたことに対して入管法では受け入れ停止等の罰則が定められているだけで、技能実習生に対して補償するようなことはなにも定められていません。問題があるのならば民事上の損害賠償請求をしてくださいと言うことでしょう。悪く考えると在留資格また労働契約の1年ごとの更新はこうした補償問題を避けるための施策ではないかと勘繰ってしまいます。
 此処まで記載して、かなりな時間が経過した25年8月に次のような契約書が手に入りました。これは、日本での受け入れ企業とフィリピン海外雇用局(Philippine Overseas Employment Administration)の記名押印があり、さらに技能実習生本人と社長の自筆と社印が別途押されたもので「主たる契約書への付録」という表題がつけられています。この冒頭に次のような記載があります。

 1. The technical intern trainee shall stay in Japan for a maximum period of:
   技能実習生は次に定める最高の期間まで日本にとどまることが出来る
  [The item marked[X] is applicable under this Contract].
   [Xのマークが付けられた項目がこの契約書によって有効とされる。]
  [X] Three(3)years (initially with one year visa and allowable extension of two(2) years)
   [X]3年間(最初は1年のビザで、さらに2年の延長が認められる)

 表題から見てもJITCOの所定の雇用契約書に添付されるものですが、入国時の申請だけに必要なものではないかと考えられます。当然、この契約書があれば3年間の雇用が確定されていることが明確になり、途中帰国させられるとなっても残りの期間に対しても損害賠償請求も可能となります。もしこの契約書が必要であれば、入国管理局に在留資格申請書類の開示請求をすればその中に含まれていると考えられます。