B恐怖感(帰国、兄弟の来日、親戚の送出機関勤務、保証金)


 技能実習生が抱える恐怖感はこれまで述べたことと重複してしまいますが、それとは別に理由の如何を問わず強制帰国させられるという不安を常に抱えていますが、これは別な項で見ることとします。よく言われるのが母国に保証金を借金して積んできているという話です。フィリピン人の場合これは聞いたことがありませんが、中国人やベトナム人の場合、この問題があると聞いています。途中で帰国させられたり、ユニオンに加入したり、問題を起こせば没収されるということなのでユニオンが交渉に入るときなど、このあたりのことまで解決条件の中に組み込むということを聞いたことがあります。
 この保証金とは別な問題を先日聞きました。日本で研修する職種についてフィリピンでの研修費が自分たちの時には5万円であったが、平成22年の入管法改正を境にして30万円になった。最近来ている人たちは毎月1万円づつ賃金から引かれているというものです。これまでこうしたことは聞いたこともなかったのですが、途中で帰国させられるとなれば大きな負担としてのしかかってくるため確認していきたいと考えています。
 フィリピン人技能実習生の場合、残業代の問題等で相談に来ても、親戚が送出し機関に勤めているので自分が問題提起すれば親戚が解雇されてしまうとか、弟が技能実習生として来日予定なので何もできないという話を聞きます。こうした理由で残業代請求を放棄した技能実習生の同期生が一人だけで問題提起したことがありました。彼は、これから来る人たちが自分と同じような不利益を受けることは阻止したいので、未払残業代を請求すると頑張りました。交渉はスムーズに進み、彼については未払の残業代が支払われ、これ以降は全員が正しい計算方法に改められました。しかし彼だけは、「仕事の態度が悪い」、「安全帽をしっかり被らない」などの難癖をつけられて残業させてもらえなくなりました。彼の住んでいるビルは協同組合が一括借り上げしているのか40名から50名が住んでいるそうです。全員勤務する会社は違っても親会社の工場で同じように働いています。当然、彼の行動は全員が知っています。歩いて5分もかからない教会で残業代や厚生年金脱退一時金等のセミナーを開いても彼以外誰も参加してきませんでした。下手に関わりを持つとどんな不利益を蒙るか分からないというのが理由だと考えられます。また協同組合からも教会への出入りは禁じられているのかもしれません。
 技能実習生の抱える問題を解決また改善していくには、技能実習生、会社と協同組合とそして支援団体等との関係がつくられればすべての点でいい方向に進むと考えられます。教会を始め私達やユニオンは目障りなトラブルメーカーとしてしか考えられないのが現実かもしれません。しかし中には解雇・帰国の問題で関係したある協同組合の担当者の様に技能実習生の置かれている状況の改善を考えて、年に1回は話を聞かせてもらいたいと連絡してきていたところもありました。お互いの関係が出来ると小さな問題などその都度連絡して対応してもらっていましたが、二人とも退職してしまいました。その理由は分かりませんが、技能実習生の立場に理解を示すことで会社の事業運営方針と齟齬をきたしたためではないかと考えてしまいます。