平成20年度社会保険労務士労働基準法問題


【問5−C】正解

[問題解説の主旨]
 判例の知識がなくても条文の知識だけでも回答できます。

[条文]
第136条 C 使用者は、前三項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

[判例]
 【S62. 7.10 最高二小 昭和59(オ)618 弘前電報電話局職員戒告事件】
 年次休暇権は労基法が労働者に特に認めた権利であり、その実効を確保するために附加金及び刑事罰の制度が設けられていること(同法一一四条、一一九条一号)、及び休暇の時季の選択権が第一次的に労働者に与えられていることにかんがみると、同法の趣旨は、使用者に対し、できるだけ労働者が指定した時季に休暇を取れるよう状況に応じた配慮をすることを要請しているものとみることができる。そして、勤務割を定めあるいは変更するについての使用者の権限といえども、労基法に基づく年次休暇権の行使により結果として制約を受けることになる場合があるのは当然のことであって、勤務割によってあらかじめ定められていた勤務予定日につき休暇の時季指定がされた場合であつてもなお、使用者は、労働者が休暇を取ることができるよう状況に応じた配慮をすることが要請されるという点においては、異なるところはない。
 労基法三九条三項ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たつて、代替勤務者配置の難易は、判断の一要素となるというべきであるが、特に、勤務割による勤務体制がとられている事業場の場合には、重要な判断要素であることは明らかである。したがつて、そのような事業場において、使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。そして、年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところである(前記各最高裁判決参照)から、勤務割を変更して代替勤務者を配置することが可能な状況にあるにもかかわらず、休暇の利用目的のいかんによってそのための配慮をせずに時季変更権を行使することは、利用目的を考慮して年次休暇を与えないことに等しく、許されないものであり、右時季変更権の行使は、結局、事業の正常な運営を妨げる場合に当たらないものとして、無効といわなければならない。

[解説]
 上記条文・判例を参照ください。下記の判例も照会しておきます。

 年休の時季変更権(広島県ほか(教員・時季変更件事件)広島高裁平17.2.16)労働判例別冊P140
 「労働者からの時季指定に対し、使用者側から承認ないし不承認の意思表示がされたと認められる場合においては、それらの意思表示は、それぞれ、時季変更権を行使しない旨の意思表示ないし時季変更権行使の意思表示としての意味を持つものというべきである。そして、そのような意思表示がされていない場合における時季変更権の行使は勿論、年休が一旦承認された場合においても、その後に予測し得ない事情の変更が生じるなど、やむを得ない理由があれば、その後の時季変更権の行使は適切な時期に遅滞なくなされるべきであり、特に、承認等によって労働者に休暇取得の期待を生じさせているような場合には、その期待を保護する必要がある。この意味で、時季変更権の行使に必要な合理的期間を徒過した不適切な時期における時季変更権の行使ないし一旦与えた承認の撤回は、労基法39条4項ただし書に該当する事由が客観的に認められる場合であっても、権利の濫用ないし信義則上ゆるされないものとして違法、無効と解すべきである。」
(経過)6月5日には教育委員会主催の主任研修が予定されていた。

日 付
労 働 者
 
校 長
6月1日 4日と5日の年休届け提出 回答を保留
6月3日 年休行使を確認 年休受理の旨回答
連絡先の確認をする
6月4日 午前9時30分に再確認
4日・5日の日程の定期大会に出席中 午後6時ごろ時季変更権行使を伝える
後 日   給与減額・訓告処分を命じた。