平成20年度社会保険労務士労働基準法問題


【問2−D】正解

[問題解説の主旨]
 就業規則が作成されたり、変更されれば、労働者はその内容を教えられなければ不利益を蒙ることになってしまいます。こうした場合、使用者には周知する義務があるのか、あればどのような方法が認められるのかを見ていく必要があります。
[条文]  (法令等の周知義務) 第106条 使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第18条第2項(貯蓄金)、第24条第1項但し書(通貨以外の支払いと賃金からの控除)、第32条の2第1項(1ヶ月変形)、第32条の3(フレックス)、第32条の4第1項(1年変形)、第32条の5第1項(1週間変形)、第34条第2項ただし書(休憩の一斉解除)、第36条第1項(36協定)、第38条の2第2項(事業場外労働)、第38条の3第1項(専門型裁量労働)並びに第39条第5項(年休の計画付与)及び第6項(年休時の賃金)ただし書に規定する協定並びに第38条の4第1項(企画業務型裁量労働)及び第5項(労使委員会)に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
2 使用者は、この法律及びこの法律に基いて発する命令のうち、寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則を、寄宿舎の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によつて、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなければならない。      【罰則: 30万円以下の罰金】

[解説]
 就業規則の周知義務については、上記の第106条に定められています。周知の方法として、省令で次のように定められています。
1.

 常時書く作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。

2.

 書面を労働者に配布すること。

3.

 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。



就業規則は、これまで見たように、使用者が作成し、労働者代表の意見書を添付して労働基準監督署に提出する手続きが必要ですが、これらの手続きを欠いた場合にその効力がどうなるかという問題があります。こうした手続きを踏んでいないからといって必ずしも無効とはなりません。それぞれの状況によって判断されることになります。判例を二つ挙げておきます。

1.

 「就業規則が従業員に意見を求めるために提示され、その意見書を附して届け出られたものである以上、本条の周知方法を欠いたとしても、その効力自体を否定し得ない」(最高大27.10.22神戸地37.5.24)

2.

 「本条には、使用者が就業規則を作成し又はこれを変更した場合には行政官庁に届け出るべき旨が規定されているけれども、右届出手続きの履践は作成又は変更にかかる就業規則の効力発生要件ではなく、使用者において事業場の多数の労働者に共通な就業に関する規則を定め、これを就業規則として表示し、従業員一般をしてその存在及び内容を周知せしめうるに足る相当な方法を講じたときに就業規則として関係当事者を一般的に拘束する効力を生ずる。」(大阪高41.1.20)