平成17年度社会保険労務士労働基準法問題

【問7−A】 正解

[問題解説の主旨]
労働基準法第13章罰則規定の中の第121条に関する問題です。法律違反の行為をした者に罰則の適用があると同時に事業主に対しても罰則が課されるという両罰規定についての問題です。

[条文]

第121条 この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する。ただし、事業主(事業主が法人である場合においてはその代表者、事業主が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合においてはその法定代理人(法定代理人が法人であるときは、その代表者)を事業主とする。次項において同じ。)が違反の防止に必要な措置をした場合においては、この限りでない。
 事業主が違反の計画を知りその防止に必要な措置を講じなかつた場合、違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかつた場合又は違反を教唆した場合においては、事業主も行為者として罰する。

[解説]
 事業場で発生した法律違反行為については、実際に違反行為を行った者だけでなく、事業主に対しても罰則を適用すると定められています。しかし、事業主が、違反行為がある事実を知っており、その解消のため必要な措置を取っていた場合には、事業主に対しては罰則規定の適用はなされません。条文を読んでいただければいいと思いますが、条文中に「事業主のために行為した代理人」との文言があります。社会保険労務士も代理人となる場合もありますが、大抵は書類の提出代行者との資格で仕事を行います。もし、依頼を受けた書類の提出を行わなかった場合には当然社会保険労務士はこの条文に基づく罰を受けることになりますし、もし、事業主にもそのことに対して責任が認められれば罰則を受けることとなります。このあたりのことに関して、次のような通達があります。
 「法令の規定により事業主等に申請等が義務付けられている場合において、事務代理の委任を受けた社会保険労務士がその懈怠により当該申請等を行わなかった場合には、当該社会保険労務士は、法第10条にいう「使用者」及び各法令の両罰規定にいう「代理人、使用人その他の従業者」に該当するものであるので、当該社会保険労務士を当該申請等の義務違反の行為者として各法令の罰則規定及び両罰規定」に基づきその責任を問い得る。/また、この場合、事業主等に対しては、事業主等が社会保険労務士に必要な情報を与える等申請等をし得る条件を整備していれば、通常は、必要な注意義務を尽くしているものと考えられるが、そのように必要な注意義務を尽くしたものと認められない場合には、当該両罰規定に基づき事業主等の責任をも問い得る。(62.3.26基発169)