平成17年度社会保険労務士労働基準法問題

【問5−E】 正解

[問題解説の主旨]
 第65条第3項で「使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。」となっていますが、この取扱の方法、どの程度まで妊娠中の女性労働者に配慮しなければいけないかという条文の運用に関する問題となっており、通達レベルの問題となります。

[条文]

(産前産後)
第65条 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあつては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

[解説]
産前産後の休業についての問題ですが、第65条第1項と第2項は健康保険法の出産手当金と連動している部分ですから併せて考えてみてください。産前(出産日を含む)については、労働者が希望した場合だけ休業させることになりますから、出産日の前日まで勤務していても何ら問題はありません。出勤すれば賃金が当然出ますが、休業すれば標準報酬日額の60%の出産手当金となってしまいますし、ボ−ナスにも影響してくるといえます。一方、産後については、原則8週間は休業させなければなりませんが、6週間が経過すれば業務に復帰させることも可能となります。ちなみに産前の6週間とは分娩予定日を基準として計算されるので、分娩が遅れた場合には、産前の休業が6週間以上となることもあります。
 ここで問題となっているのは、第3項の「他の軽易な業務に転換」がどの程度の範囲を意味しているのかということです。あくまでも、「妊娠中の女性」であって、「妊産婦」や「産後の女性」ではないことを明確に記憶しておく必要があります。また、条文に無い、「原則としてその女性が請求した業務に転換」と「新たに軽易な業務を創設して与えるまでの必要はない。」との文言が問題文にはあります。この二つが妥当な内容であるかどうか知っていなければ正解を得らないといえます。
 次の通達(昭61.3.20 基発151号)がその解答となります。
「法第65条第3項は原則として女性が請求した業務に転換させる趣旨であるが、新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではない。」