平成17年度社会保険労務士労働基準法問題

【問5−B】 誤り

[問題解説の主旨]
 第66条と第41条がそれぞれどのような規定となっているかを明確に理解しているかを確認している問題だといえます。第41条では深夜業について一言も触れていませんし、第66条では「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。」とされています。ちなみに、「監督若しくは管理の地位」にある者が時間外また休日出勤しても割増賃金の対象にはなりませんが、それが深夜に及べば深夜労働としての割増賃金の支払が必要になってきます。

[条文]

(産前産後)
第66条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第32条の2第1項、第32条の4第1項及び第32条の5第1項の規定にかかわらず、1週間について第32条第1項の労働時間、1日について同条第2項の労働時間を超えて労働させてはならない。
 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。  使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。
(労働時間等に関する規定の適用除外)
第41条 この章(第4章労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)、第6章(年少者)及び第6章の2(女性)で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
1.別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
2.事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
3.監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)
第33条 災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第32条から前条まで若しくは第40条の労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。
 前項ただし書の規定による届出があつた場合において、行政官庁がその労働時間の延長又は休日の労働を不適当と認めるときは、その後にその時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを、命ずることができる。
 公務のために臨時の必要がある場合においては、第1項の規定にかかわらず、官公署の事業(別表第1に掲げる事業を除く。)に従事する国家公務員及び地方公務員については、第32条から前条まで若しくは第40条の労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる。
(時間外及び休日の労働)
第36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない。

[解説]
 労働基準法が制定されて以来、女性に対しては深夜労働の禁止等の保護規定がいろいろ定められていましたが、現在では、女性男性の差別は解消されてきています。しかし、母性保護の観点からは逆に手厚い保護規定が定められるようになってきています。
 上記の第66条と第41条の条文を読み比べると分かるように、第41条は、「この章 (第4章労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)、第6章(年少者)及び第6章の2(女性)で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。」とされており、「深夜業」については触れていません。触れていないということは、「次の各号の一に該当する労働者」に対しても当然に適用されるということになります。一方、第66条第3項では、「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。」とありますので、この条項は、「監督若しくは管理の地位」にある女性にも適用されることになります。
 しかし、第6章(女性)に規定してある場合であっても、「監督若しくは管理の地位」にある女性には「労働時間、休憩及び休日に関する規定」が第41条で適用除外となっているので、妊娠中であっても時間外労働や休日労働をさせても問題ありませんし、また休憩を与えなくても構わないことになります。
 このことに関する通達として次のものがあります。
 「妊産婦のうち、方第41条に該当する者については、労働時間に関する規定が適用されないため、法第66条第1項及び第2項の規定は適用の余地がないが、第3項の規定は適用され、これらの者が請求した場合にはその範囲で深夜業が制限されるものであること。」(昭61.3.20 基発151号)
 第66条の規定は、妊産婦が「請求した場合」であって、「無条件に深夜業等をさせてはいけない」ではないことを覚えておく必要があります。