平成17年度社会保険労務士労働基準法問題

【問5−A】 誤り

[問題解説の主旨]
 この問題を考える場合、「その労働時間の長さにかかわらず」の部分と、「1日2回各々少なくとも30分」の部分を考える必要があります。もし、「その労働時間の長さにかかわらず」の部分が無かったとしたらこの問題が正解といえるでしょうか。これのみの単一問題であれば、条文に従って正解といえるでしょうが、【問5−E】との比較で考えると、通達との関係で誤りとせざるを得ないといえます。いずれにしても、条文レベルの問題ではなく、通達を知っているかどうかのレベルの問題といえます。

[条文]

(育児時間)
第67条 生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。
(休憩)
第34条 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

[解説]
 生後満1年に達しない生児を育てる女性が請求した時に限って育児時間を与えなければならないと規定されていますので、男性が請求した場合、また請求が無い場合には与える必要はありません。男性が除外されているのは、この規定は「授乳」を目的としているためといえます。
 似たような規定として、育児介護休業法第23条第1項で1歳以上3歳に達するまでの子を養育する者に対する勤務時間短縮の措置を取ることが使用者に義務付けられていますので、育児時間と同様の措置をとる場合もありますが、育児介護休業法では女性男性を問いませんので区別しておいてください。
 次に、休憩時間は労働時間の途中に与えなければなりませんが、育児時間についてはその旨の定めがないため、「勤務時間の始め又は終わりに請求してきた場合にも拒否できない。」(昭33.6.25基収4317)とされています。必ず2回与えなければならないのかといった問題についても、続けてとってはならないとの規定も無いので、勤務時間の初め又は終わりに1時間の育児時間をとることを認めることも可能だといえますが、その場合には就業規則に明記しておく必要があると考えます。
 この設問の問題となる部分、「その労働時間の長さにかかわらず」の部分ですが、育児介護休業法の場合には、勤務期間が1年以上とかいろいろ条件が定められていますが、労働基準法第67条では、「生後満1年に達しない生児を育てる女性」すべてが対象となっています。しかし、短時間勤務の労働者にも一律に1日2回の育児時間を与えることには問題もあるため、「法第67条は、1日の労働時間を8時間とする通常の勤務態様を予想し、その間に1日2回の育児時間の付与を義務付けるものであって、設問のごとく、1日の労働時間が4時間以内であるような場合には、1日1回の育児時間の付与をもって足りる法意と解する。」(昭36.1.9 基収8997号)とされています。
 また、育児時間を有給とするか無給とするかは使用者の自由であるとされていますので、このことも就業規則に明記する必要があります。