平成17年度社会保険労務士労働基準法問題

【問4−D】 誤り

[問題解説の主旨]
 労働者は、使用者の許可を得ることなく自由に年次有給休暇をとることができます。この例外的取扱として「事業の正常な運営を妨げる場合」の事業主による時季変更権、また労使協定による年次有給休暇の計画的付与があります。
 計画的付与は、問題文にあるように年次有給休暇の計画的付与をしても使用者に罰則を問わないだけの意味しかないのか? もしそうであれば、労働者から第4項に基づく時期変更権を行使されたら計画的付与の意味がなくなってしまうため、これを禁止するためにはその旨を就業規則に定めておく必要があるかということを質問しています。
 簡単に言うと、計画的付与は、労働者を絶対的に拘束するのかどうかという質問になります。

[条文]  

第39条  4 使用者は、前3項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
 5 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項から第3項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。

第39条の他の条文は【問4−A】を参照ください。

[解説]
 年次有給休暇の計画的付与は、年次有給休暇を確実に消化させることを目的としているといえます。また、年次有給休暇の消化を兼ねて社内旅行等事業場全体の行事を行うために導入される場合もあります。導入の形態としては、次の3つが考えられます。
  @ 事業場全体を対象にするもの。
  A 部、課また班単位に付与するもの。
  B 個人単位で計画的に年次有給休暇を使用させるもの。
 以上のように年次有給休暇を確実に消化させることを目的として導入されているため、「計画的付与の場合には、第39条第4項の労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権はともに行使できない。」(昭63.3.14 基発1号)とされています。問題文にあるように免罰効果を目的としたものではなく、強制力を持った条文ということになります。
 計画的付与の対象になるのは、計画的付与を導入する時点で5日を超える年次有給休暇の部分に限られています。当然、新しく採用され年次有給休暇が無い者や年休を消化して5日未満となっている者については、計画的付与の対象となりません。
 では事業場の職員を対象とした社内旅行に行く場合にはどうなるでしょうか。当然、社内旅行に同伴させることになるでしょうから、出勤扱いで参加させるか、それとも賃金をまるまる支払うのは面白くないので、休業手当として平均賃金の60%を支払うかしなければならないことになります。
 次に、計画的付与を労使協定で導入決定する前から育児休業等している労働者がいればこの労働者に対する扱いの問題があります。年次有給休暇の原則は、労働日に対して行使できるということですから、導入した時点で育児休業等法律で労働義務が免除されている日に対しては年次有給休暇を付与することはできませんので、育児休業等のままとなります。しかし、逆に、計画的付与が行われた時点で育児休業等の申請をしていない労働者については、計画付与の日が育児休業等期間中であっても計画的付与のほうが優先されることになります。