平成17年度社会保険労務士労働基準法問題

【問3−E】 誤り

[問題解説の主旨]
 この問題は、管理監督者に対する労働時間等に関する適用除外(法41条)と割増賃金(法第37条)の規定に関する問題です。当然、深夜労働については、管理監督者であっても割増賃金を支払う必要があります。時間外割増、休日割増そして深夜割増賃金の計算方法を理解しているかどうかを試しています。

[条文]

(労働時間等に関する規定の適用除外)
第41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
 1.別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
 2.事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
 3.監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
 ※別表第1の6号
 土地の耕作若しくは開墾又は植物の植栽、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
 ※別表第1の7号
 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業

(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第37条 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 2 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
 3 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 4 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。


[解説]
 第41条第2項に規定されている適用除外者のうち、「監督若しくは管理の地位にある者」については、通達(昭52.2.28基発105号)によって、「資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があること。」とされており、待遇についても「上記のほか、賃金等の待遇面についても無視し得ないものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボ−ナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。」また、スタッフ職については、「本社の企画、調査等の部門に多く配置されており、これらスタッフの企業内における処遇の程度によっては、管理監督者と同様に取扱・・これらの者の地位からして特に労働者の保護に欠けるおそれがないと考えられ、・・第41条第2号該当者に含めて取扱うことが妥当である。」と規定されています。
 後段の、「機密の事務を取り扱う者」については、「機密の事務を取扱うものとは、秘書その他職務が経営者又は監督若しくは管理の地位に在る者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間の管理になじまない者であること。」(昭22.9.13発基17号)とされています。
   第41条第3項の「監視又は断続的労働に従事する者」ついては、第2項に該当する者と違い、適用除外申請書を労働基準監督署署長に提出し許可を受けておかなければならないことに注意しておく必要が在ります。これも通達(昭63.3.14基発150号)を挙げておきます。
【監視に従事する者】
 監視に従事する者は、原則として、一定部署にあって監視するのを本来の業務とし、常態として身体又は精神的緊張の少ないものについて許可すること。従って次のようなものは許可しないこと。
 イ・交通関係の監視、車両誘導を行う駐車場等の監視等精神的緊張の高い業務
 ロ・プラント等における計器類を常態として監視する業務
 ハ・危険又は有害な場所における業務
【断続的労働に従事する者】
 断続的労働に従事する者とは、休憩時間は少ないが手待ち時間が多い者の意であり、その許可は概ね次の基準によって取扱うこと。
 (1) 修繕係等通常は業務閑散であるが、事故発生に備えて待機するものは許可すること。
 (2) 寄宿舎の賄人等については、その者の勤務時間を基礎として作業時間と手待時間折半の程度まで許可すること。
    ただし、実労働時間の合計が8時間を超えるときは許可すべき限りではない。
 (3) 鉄道踏切番等については、1日交通量十往復程度まで許可すること。
 (4) その他特に危険な業務に従事する者については許可しないこと。

 以上のように法41条に規定する者に対しては、時間外労働、休日労働そして休憩等については、適用除外とされていますが、深夜労働に対しては適用除外とはされていませんので注意しておく必要があります。

 本条は第4章、第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日の規定を適用除外としているものであり、深夜業の関係規定(第37条の関係部分及び第61条の規定)は適用が排除されない。/したがって、本条により労働時間等の適用除外を受ける者であっても、第37条に定める時間帯に労働させる場合は、深夜業の割増賃金を支払わなければならない。」
(平11.3.31基発168号)


 次に、割増賃金についてですが、法第37条第1項で時間外労働と休日労働の割増賃金の率について規定されています。労働基準法では、「2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率」とされており、政令によって、時間外労働は2割5分以上、休日労働は3割5分以上の率と決められています。深夜労働の割増率は同第3項で2割5分以上の率と定められています。

 法第41条該当者は時間外労働と休日労働は適用除外になるので割増賃金の率は次のようになります。
平 日
所定労働時間
8時〜17時
時間外
17時〜22時
深夜
22時〜5時
時間外
5時〜8時
労働者
25%
25%+25%
25%
管理職
25%
休 日
0時〜5時
5時〜22時
22時〜24時
0時〜5時
労働者
35%+25%
35%
35%+25%
25%+25%
管理職
25%
25%

 以上のように、「監督又は管理の地位」にある者の深夜労働については、時間外労働の割り増しはありませんので、2割5分以上の率で計算した深夜割増賃金を支払わなければならないことになります。