平成17年度社会保険労務士労働基準法問題

【問3−B】 正解

[問題解説の主旨]
 労働基準法の条文からではなく、「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」からの問題であり、法第36条を受けて、施行規則第16条で36協定に定める内容を規定し、また有効期間を定める旨規定しています。さらに基準で一定期間の区分を決めて延長できる時間を定めるとしています。この有効期間と一定の期間の関係を問うてきています。
 細かいことというか何を問うているのか分かり難い問題だといえます。この問題を考えるのを止め、他の問題を検討すれば、他の問題が誤りであることは分かりやすいので解答を導きやすいと思います。

[条文]

施行規則
第十六条 使用者は、法第三十六条第一項の協定をする場合には、時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由、業務の種類、労働者の数並びに一日及び一日を超える一定の期間についての延長することができる時間又は労働させることができる休日について、協定しなければならない。  A 前項の協定(労働協約による場合を除く。)には、有効期間の定めをするものとする

 ○労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準
(平成十年十二月二十八日)(労働省告示第百五十四号)
(業務区分の細分化)
第一条 労働基準法(以下「法」という。)第三十六条第一項の協定(労働時間の延長に係るものに限る。以下「時間外労働協定」という。)をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という。)は、時間外労働協定において労働時間を延長する必要のある業務の種類について定めるに当たっては、業務の区分を細分化することにより当該必要のある業務の範囲を明確にしなければならない。
(一定期間の区分)
第二条 労使当事者は、時間外労働協定において一日を超える一定の期間(以下「一定期間」という。)についての延長することができる時間(以下「一定期間についての延長時間」という。)を定めるに当たっては、当該一定期間は一日を超え三箇月以内の期間及び一年間としなければならない。
(一定期間についての延長時間の限度)
第三条 労使当事者は、時間外労働協定において一定期間についての延長時間を定めるに当たっては、当該一定期間についての延長時間は、別表第一の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない。ただし、あらかじめ、限度時間以内の時間の一定期間についての延長時間を定め、かつ、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情(臨時的なものに限る。)が生じたときに限り、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨を定める場合は、この限りでない。
(一年単位の変形労働時間制における一定期間についての延長時間の限度)
第四条 労使当事者は、時間外労働協定において法第三十二条の四の規定による労働時間により労働する労働者(三箇月を超える期間を同条第一項第二号の対象期間として定める同項の協定において定める同項第一号の労働者の範囲に属する者に限る。)に係る一定期間についての延長時間を定める場合は、前条の規定にかかわらず、当該労働者に係る一定期間についての延長時間は、別表第二の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない。
 2 前条ただし書の規定は、法第三十二条の四第一項の協定が締結されている事業場の労使当事者について準用する。
(適用除外)
第五条 次に掲げる事業又は業務に係る時間外労働協定については、前二条の規定(第四号に掲げる事業又は業務に係る時間外労働協定については、厚生労働省労働基準局長が指定する範囲に限る。)は適用しない。
 一 工作物の建設等の事業
 二 自動車の運転の業務
 三 新技術、新商品等の研究開発の業務
 四 季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基準局長が指定するもの


[解説]
 労働基準法では、1日8時間、1週40時間を法定労働時間と定めており、これを超えて労働させるためには、法第36条に定める協定書を行政官庁に届け出なければならないとしています。36協定書に記載する内容は、施行規則第16条で次の通り定めています。
  @ 時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由
  A 業務の種類
  B 労働者の数
  C 一日及び一日を超える一定の期間について延長することができる時間又は労働させることができる休日
  D 有効期間を定めること
 また、別途「基準」により、Cの一定期間とは「一日を超え三箇月以内の期間及び一年間としなければならない。」とされているように、3か月以内の期間と1年間に延長できる時間の両方を記載する必要があります。また一定期間ごとに延長できる限度時間も次のように定められています。

一般の場合
1年単位の
変形労働時間制の場合
期 間
限度時間
期 間
限度時間
1週間
15時間
1週間
14時間
2週間
27時間
2週間
25時間
3週間
43時間
3週間
40時間
1か月
45時間
1か月
42時間
2か月
81時間
2か月
75時間
3か月
120時間
3か月
110時間
1年間
360時間
1年間
320時間

 この問題では、「36協定書に「一定期間」と「1年間」の両方の延長できる労働時間を記載しなければならないとされているため、決算業務で4月から6月までの3か月間しか時間外労働の必要が無い場合でも、3か月の期間(一般的には1か月単位)に対する延長できる労働時間と1年間に延長できる労働時間の両方を記載しなければならないが、この場合、有効期間については、1年未満とすることも出来る。」と述べています。ここで問題となっている36協定書の有効期間については通達(平11.3.31基発169号)によって、「1年間についての延長時間を定めた時間外労働協定において、1日及び1日を超え3か月以内の期間について定められた延長時間の有効期間までもすべて一律に1年間としなければならないとしたものではなく、3か月以内の期間についての延長時間の有効期間を、1年間についての延長時間の有効期間とは別に、1年未満とすることも差し支えないこと。」また、有効期間の上限については、「時間外労働協定について定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、有効期間は1年間とすることが望ましい。」とされています。

 この問題は、問題文を読んだだけでは理解しがたいのですか、協定書の様式を見ながら考えていただければ理解しやすいと思います。