平成17年度社会保険労務士労働基準法問題

【問2−D】 正解

[問題解説の主旨]
 1年単位の変形労働時間制を導入している場合、1日10時間、1週52時間の範囲内で、導入期間を平均して週40時間労働になるように調整すればよいが、対象期間中の総ての期間在籍しなかった場合、すなわち、中途採用また中途退職の場合にはどのように扱うかは、法32条の4の2に定められており、それを支払わなかった場合、賃金支払の原則違反となるかどうかが問われています。

[条文]
 32条の4の2 使用者が、対象期間中の前条の規定により労働させた期間が当該対象期間より短い労働者について、当該労働させた期間を平均し一週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(第33条又は第36条第1項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない。
 第24条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
 2 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

[解説]
 1年単位の変形労働時間制を導入している場合の中途採用、退職者等、変形対象期間総てを勤務していない場合には、法32条の4の2により勤務した期間を平均するとされています。その計算方法は次のように通達(h11.1.29基発45)で定められています。「1年単位の変形労働時間制により労働させた期間(以下「実働時間」という)における実労働時間から、法37条第1項の規定に基づく割増賃金を支払わなければならない時間及び次の式によって計算される時間を減じて得た時間

40×(変形期間の暦日数/7)」

 また、同通達は、「この割増賃金を支払わない場合は、法第24条に違反する。」と明記しています。
 この1年単位の変形労働時間制の対象となっている労働者が、育児休業や産前産後の休業をした場合の取扱については次の通達が出ています。「本条は、1年単位の変形労働時間制の適用労働者が対象期間中に育児休業や産前産後休暇の取得等により労働せず、実際の労働期間が対象期間よりも短かった場合には適用されない。」(h11.3.31基発169)
変形労働時間制の問題は、それぞれの仕組み、違いを理解していないと正解を得ることはできないといえますので、一覧表を載せておきますのでご参考ください。