平成17年度社会保険労務士労働基準法問題

【問2−A】 誤り

[問題解説の主旨]
 労働時間、休憩及び休日についての規定が除外される者が法第41条に定められていますが、このうち宿直に関する手当の額について問われています。宿直については、第3項に規定する「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可をうけたもの」の中に含まれることになります。許可が義務付けられていますので、施行規則第23条では宿日直についての届出は様式第10号で、施行規則第34条ではそれら以外のものについては様式第14号で届け出るように定めています。ちなみに、宿日直の届出用紙である様式10号には、「1回の宿日直手当」の額を記載する欄が設けられています。
 基発150号(S63.3.14)を知っていないと解答が出てきませんし、基本的な問題とも思われませんので、重箱の隅を突いたような問題は頭を混乱させる目的しかないと考えて他の問題で解答を探した方がいいといえます。正解はオ−ソドックスな問題となっているように思います。

[条文]
基準法(労働時間等に関する規定の適用除外)
第41条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
 一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
 二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
 三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

施行規則
第23条 使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、様式第十号によつて、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、これに従事する労働者を、法第三十二条の規定にかかわらず、使用することができる。
     (法32条) 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
        A 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

第34条 法第四十一条第三号の規定による許可は、従事する労働の態様及び員数について、様式第十四号によつて、所轄労働基準監督署長より、これを受けなければならない。

基発150号(S63.3.14)
 宿直又は日直については、状態として、ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるもので、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可されるが、原則として、通常の労働の継続は許可しない。宿直勤務一回についての宿直手当(深夜割増賃金を含む。)又は日直勤務一回についての日直手当の最低額は、原則として当該事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金の一人一日平均額の三分の一をくだらない。
 許可の対象となる宿直又は日直の勤務回数については、原則として宿直勤務については週一回、日直勤務については月一回を限度とする。

[解説]
 宿日直の考え方についてはっきりさせておきます。今まで終業時間から翌日の始業時間まで職員が交代で宿直をしており、当然宿直手当も支払っていた場合と、これを廃止し、18時から翌朝の9時まで宿直の人を雇った場合との違いを見ていきます。
 まず、職員が宿直をする場合、二つのケ−スが考えられます。一つは、終業後仕事を行わずテレビを見たりお酒を呑んでいる場合です。これが一般的な宿直ということになりますので、宿直手当をもらって終わりということになります。二つ目は、仕事が逼迫しており、明朝一番で書類を提出しなければならない場合で、始業時間まで一睡もせず仕事をしたとすれば、時間外割増賃金との関係がどうなるのかという問題が出てきます。基発150号を見ると、「通常の労働の継続は許可しない。」とあり、仕事をした時には、割増賃金の適用除外は行わないことになりますので、当然割増賃金を支払わなければならないことになります。では、宿直手当はどうなるかというと就業規則の定め方次第ということになります。「1回につき○○円支給する。」という規定であれば、割増賃金プラス宿直手当を支払うということになります。
 では、宿直要員を雇った時はどうでしょうか。拘束している時間は15時間ということになりますので、8時間を超えた時間は割増賃金の対象となるのか、また、「15時間×最低賃金」以上の額を支払わなければ成らないのかという疑問が生じてきます。法41条は、許可を受ければ1日8時間労働、休憩また時間外割増手当などの拘束を受けないとの規定ですから労働時間に関しては特段問題はないといえますが、賃金については触れられていないため、労働した時間に応じた賃金を支払うことになりますから、15時間総てが労働時間であるとするならば、「15時間×最低賃金」以上の賃金の支払が必要になってしまいます。8時間労働の7時間休憩との雇用契約であれば「8時間×最低賃金」以上の賃金で良いと言うことになります。
 しかし、法第41条の規定では、上記いずれの場合であっても、法41条の労働時間等に関する規定の適用の除外を受けるのであれば、施行規則に基づいて労働基準監督署長の許可を受けなければなりません。その申請用紙が、職員の宿日直であれば、施行規則第23条に定める様式第10号「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」で、要員を採用するのであれば、施行規則第34条に定める様式第14号「監視・断続労働に従事する者に対する適用除外許可申請書」で許可を取っておかなければ「15時間×最低賃金」以上の日当の支払が必要になりますし、職員を宿日直勤務させることができませんので、通常の割増賃金を支払わなければならないことになってしまいます。

様式は、東京労働局のHPで確認ください。http://www.roudoukyoku.go.jp/standard/index.html