リストラ出向は無効、リコー社員勝訴…東京地裁


   業績悪化による人員整理を理由に子会社への出向を命じられた「リコー」(東京)の男性社員2人が、出向命令の無効確認などを同社に求めた訴訟で、東京地裁は12日、命令を無効とする判決を言い渡した。/篠原絵理裁判官は「命令は原告の自主退職を期待したもので人事権の乱用だ」と指摘した。同社は即日控訴した。/技術者として入社した2人は、2011年の同社の大規模リストラ策の発表後、上司から退職を勧められ、拒否すると子会社の物流会社への出向を命じられた。/判決はまず、出向命令が人事権の乱用に当たるかどうかは「業務上の必要性や人選の合理性、出向者に与える不利益などを考え合わせて判断すべきだ」との考えを示した。
 その上で、同社が人件費抑制のため出向を命じたのは業務上必要だったとしたが、整理対象の人選を約1か月で終えたことなどから、「人選作業の慎重さや緻密さに欠けていた」と指摘。「子会社での立ち仕事は、デスクワークだった原告らのキャリアに配慮した異動とは言い難い」と認定した。/判決後、東京・霞が関で記者会見した原告の一人は、「一日も早く自分の技術を生かせる職場に戻りたい」と語った。/リコー広報室の話「当社の主張が十分に理解されなかったのは残念。上級審の判断を仰ぎたい」
 

YOMIURIONLINE(2013年11月13日09時02分 読売新聞)

【朝日新聞デジタル 2013年11月13日02時26分】

 判決によると、2人(40代と50代)はともに男性で技術系社員として採用され、研究開発などに携わってきた。リコーが2011年7月、リストラ策で希望退職を募った際、2人は上司から応募を求められ、拒むと、同年9月に出向を命じられた。2人とも子会社で、製品のラベル貼りや箱詰めなどをしている。

   サラリーマンにとってどのような形ではあっても退職することはその人の人生にとって大きな問題を引き起こします。ましてや自分に非のない業績不振による解雇や出向となれば「なぜ自分が」との思いを抱くはずです。労働基準法は、30日前に申し出るか、解雇予告手当を支払えば即座に解雇できる権利を使用者に認めています。しかし自由に解雇できるわけではなく、それなりの理由が必要になります。解雇を巡る判例が積み重ねられて労働契約法第16条に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と言う形で条文化されました。「合理的な理由」はケースバイケースで考えなければいけませんが、整理解雇については条文化されていませんが基本的に4つの要件を満たさなければならないという判例にもとづいたルールがあります。(1)人員整理するだけの必要性があるのか、(2)整理解雇を回避する努力をしっかり果たしてきたのか、(3)整理解雇対象者を合理的な基準に基づいて選定しているのか、(4)整理解雇が必要である旨を十分に説明して来たのか、といったものでこの手続きを踏んでいなければ整理解雇は原則認められないことになります。
 この裁判で問題となっているのは整理解雇を拒否したため出向させられたことに関しての問題であり、裁判官は、整理解雇・出向は必要な状態であったと認めながらも、「整理対象の人選を約1か月で終えたことなどから、「人選作業の慎重さや緻密さに欠けていた」と指摘。「子会社での立ち仕事は、デスクワークだった原告らのキャリアに配慮した異動とは言い難い」」として出向は無効との判決がなされています。手続き上の不備があったということになります。勧奨退職に応じなかったため、報復的に、技術系の研究開発要員から製品のラベル貼りや箱詰め作業職に出向させるのは人事権の乱用と言わざるを得ないでしょう。労働契約法第14条の「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。」に即した判決であったといえます。