希望退職をめぐって


希望退職に472人  社員の12%応募 オリコ

 信販大手のオリエントコ−ポレ−ション(オリコ)は25日、希望退職者の募集に対して、当初見込んでいた350人を大きく上回る472人の応募があったと発表した。応募者は正社員の約12%にあたる。全員が6月30日付で退職する。割り増し退職金支払いのため、2008年3月期決算に約82億円の特別損失を計上する。オリコは、上限金利の引き下げなどを盛り込んだ改正貸金業法の成立に伴い、厳しくなる経営環境に対応するため、早期退職を募集した。

(読売新聞H19.4.26)


 この記事は、昨年末に改正された貸金業法により上限金利が引き下げられ、利息制限法の上限(年15〜20%)を超える利息の返還請求が急増したことから消費者金融各社の業績見通しが黒字から一転して大幅な赤字に転落した記事の下に掲載されていたものです。ちなみに、掲載されていた4社の前年度に対する税引き後利益の状況は次の通りです。プロミス420億円→▲3782億円、武富士469億円→▲3338億円、アコム655億円→▲2573億円、アイフル658億円→▲1854億円。こうした状況に見舞われれば各社業務縮小等の対策を採っているといえますが、時を同じくして、オリコの希望退職募集状況の発表があったので掲載されたのだと思います。

 オリコが希望退職の募集を行ったのは改正貸金業法の影響から人員削減が必要になったからでしょう。しかし迷惑するのは労働者ということになりますが、幸い予定を上回る応募があったと報告されています。応募がなかったら修羅場を迎えることになったかもしれません。当然、応募が少なければ次は解雇という段階に進んでいくことになります。解雇については、労働基準法の第18条の2に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」とあり、第20条で30日前に解雇予告をしなければならないと定めています。また、第89条ではどのような場合に解雇するのかその理由を就業規則に記載しておかなければいけないと定めています。労働基準法だけ読めばこの3つの要件が整っておれば簡単に解雇が出来ると短絡してしまいますが、それは労働者が文句をつけなければということになります。生活がかかっていますから労働者も解雇無効の訴えを起こすでしょうから裁判所で解雇が有効かどうかが争われることになります。こうした裁判の積み重ねを通じて整理解雇するためには一定のステップを踏んでいるかどうかがその判断のよりどころとされるようになりました。これを整理解雇の4要件とか、4要素と呼んでいます。@人員削減をするだけの必要性があるのか、A配置転換などにより解雇を回避する努力を尽くし回避する余地がないのか、B対象者を選定するための基準が客観的かつ合理的につくられており、その妥当性があるのか、C解雇に当たって労使協議を行っているのか、また労働者に整理解雇の必要性などについてしっかり説明しているのか、などの手続きが踏まれていなければ解雇は難しいということになります。

 ここでは、こうした解雇に入る前の段階として希望退職を募っています。当然希望退職は雇用調整の必要から期間を限定して退職者を募る制度ですが、これとは別に恒常的な制度として早期退職優遇制度(選択定年制度)というものもあります。定年を待たず一定年齢以上の労働者を対象として自己都合退職ではなく、定年退職扱いとして退職金を加算する制度です。一定の蓄えができのんびり人生を楽しみたいとか、これまで培ってきた能力を生かして好きな事業を起こしたりと自分の望むライフスタイルを選択できる制度といえます。

 リストラなど考えられなかった大企業が未だにリストラを行っていますし、それに伴い、中途採用も活発に行われるようになってきています。終身雇用制度に期待せず、資格を取得したり、社外でも通用する専門的知識を蓄え、50歳前後で次の人生を楽しむための起業なり、転職も考えていく必要があるのではないかと考えています。