健康保険の傷病手当金を貰っている人が障害厚生年金の受給資格者になると?

 もし、不幸にして脳溢血で寝たきりの療養をすることになったら、まず、賃金はなくなりますので、あなたは、どのように生計を維持しますか。生命保険に加入しておれば入院給付金等を受けることができるかもしれません。次に、社会保険に加入していれば、傷病手当金が1年6ヶ月、賃金のほぼ60%受給できます。健康保険組合の場合は、これに傷病手当附加が上乗せになりますし、傷病手当金が終わった後、延長傷病手当附加金が出るかと思います。これらを受給できる間に職場復帰できれば、問題ありませんが、不幸にして発病から1年6ヶ月経過した時点で障害年金の要件を満たしていれば、一応生計の目途はつくかと思います。

 傷病手当金から、障害厚生年金受給への移行がスム−ズにいけば問題ありませんが、両者の間にタイムラグが生じるため大きな問題がでてきます。このタイムラグとは、まず、傷病手当金を受給できるのは賃金が出なくなった日からであるため、大抵は、発病の日から年休等で休むため、2ヶ月程度経ってから傷病手当金が支給されることになります。一方、障害厚生年金は、発病の日から1年6ヶ月経った日が障害認定日になり、この日以降に申請をし、裁定されるまでの日数を加えると数ヶ月要することになります。年金は、障害認定日に遡って支給されるため、傷病手当金と重複支給となります。健康保険法では、原則重複支給を認めず、傷病手当金の額が障害厚生(基礎)年金の額を上回るときに、差額支給を認めているだけですから、重複した部分については年金を返還することになります。さらに、健康保険組合では、附加給付部分については、差額支給を必ずしも認めていないので、この部分は全額返還ということになり、受け取った年金額以上を返還するということもあります。

 こういったことを防ぐため、上記の事情を事前に説明し、障害認定日以降の傷病手当金の支給申請をしないよう指導します。大抵の場合、年金を受領したら返還するとのことで傷病手当金の受給を希望されますが、いざ清算のときになると、例外なくひとしきり文句を言われます。最悪のケ−スがありました。これは、年金で清算するからとのことで延長傷病手当附加金受給中に亡くなられました。清算額は200万円を超えていたと思いますが、受給された年金額に埋葬料を加えても足りませんでした。お互いの幸せのために、こういうケ−スに遭遇したら障害認定日以降の傷病手当金の支給申請は考える必要があると思います。

 毎月の病院への支払額が高額になる場合は、高額療養費貸付制度(利息なし)がありますので保険者に相談してみてください。(社保・国保共通)