病院での初診料算定のルールをご存知ですか?


 初めて病気や怪我で病院にかかったときには初診料を支払い、次回からは再診料を支払うことになるのはご存知だろうと思います。しかし、どのようなルールで算定されているかはご存知無いと思います。病院で医療事務をされている方もこのあたりのことを十分理解されているとは思えないケースに出会うことがあります。
 先日、ホームページで初診料について解説した記事を見て連絡されてこられた方がいらっしゃいました。初診日から1ヶ月以上たって薬をもらいに行ったら、初診料を取られたが、おかしいのではないのかということでした。簡単な経過を見ると、3月の15日に花粉症で病院に行き、28日分の薬をもらい、初診料を支払った。薬を飲みきってしまい、他の病院でもらっていた薬が少し残っていたので数日それを飲んでから、4月18日に薬をもらいに行ったら1ヶ月以上診療がなかったとのことで初診料をまた取られたという内容でした。
 医療費は、診察料、注射や検査などの項目ごとに点数表で定められています。これをみると、「患者が任意に診療を中止し、1月以上経過した後、再び同一の保険医療機関において診療を受ける場合には、その診療が同一病名又は同一症状によるものであっても、その診療は、初診として取り扱う。」とあります。お医者さんの指示に従わず、勝手に治療を中断したのであれば当然のことでしょう。相談してこられた方の場合、28日分の薬が処方されていたことからすれば、薬が無くなった翌日から1ヶ月が経過した日以降が「1月以上経過した後」となります。この病院の事務員さんは、単純に初診日から1ヶ月受診がなければ初診料が算定できると誤解しているのでしょうか。病気によっては半年後に受診するようにと指示されることがあります。この場合も患者が任意に診療を中止しているのではなく、医師の治療計画に従っているため、半年の期間が空いても初診料は算定できないことになります。単純に1ヶ月空けば初診料が取れると画一的に考えることは間違っています。先に引用した文章に続けて、1ヶ月以上の期間が空いたとしても「慢性疾患等明らかに同一の疾病又は負傷であると推定される場合の診療は、初診として取り扱わない。」と書かれています。ただ、この場合には、未来永劫初診料が算定できないという意味ではないといえます。初診料が高く設定してあるのは、医師が病気や治療計画について説明する費用が含まれているからです。任意に治療を中断すれば、また一から状態を見なければいけなくなるともいえますので、2、3ヶ月程度治療の中断があれば再度初診料を取られても仕方がないといえます。
 以上の話は病気が治癒していない場合のことで、治癒した後であれば、同じ病気であろうと、違う病気であろうと初診料を算定できることになります。子供の風邪などがいい例です。1ヶ月に数回初診料を算定される場合もあります。初診で受診し、5日分薬をもらい、その後薬をもらいに行かなければ治癒とみなされてしまいますので、また風邪で受診したとしても新しい疾病として初診料が算定されます。
 初診料の話とは違いますが、交通事故で保険証は使えないといわれたということをしばしば耳にします。これも誤った考え方です。この場合には、保険者に交通事故で保険証を使って治療している旨の届出が必要になります。この届出によって保険者は加害者側に医療費を請求していくことになります。健康保険の医療費は1点10円で計算されますが、自賠責保険の場合、1点13円〜15円程度で計算されるので、保険証を使った方が医療費が安くなります。さらに、保険者が負担する7割部分のうち、加害者に請求するのは被害者の過失割合分を除いた部分であり、残りは保険者が負担してくれます。窓口で支払う3割部分の内、被害者の過失部分については当然自分で負担することになります。
 相談してこられた方には、以上のような説明をし、自分が住んでいる都道府県社会保険事務局に相談していただくようにしました。残業代の未払いや労働条件については労働基準監督署、失業保険についてはハローワークと分かっていても、医療費についてはどこに相談すればよいのかと???となると思います。この場合は、都道府県社会保険事務局が窓口になります。
 蛇足ですが、以上のようなトラブルは事務員さんの勉強不足なのか、医は算術の結果なのか分かりませんが、特に後者の場合、都道府県社会保険事務局に情報をあげていかなければ是正されないのも事実です。時々、新聞に保険医取り消しとの記事がでているのもこうした情報に基づいて都道府県社会保険事務局が調査に入った結果です。