ポストポリオと障害年金


   ポリオという病気は、海外旅行をする場合や子供に対する予防接種として知られている程度かもしれません。実際、昭和38年ごろを境として新たに発症した事例がないとされていますので・・。しかし、ポリオに罹り障害を持って生活している方は沢山おられます。ポリオに罹患された方が数十年の後ポストポリオ症候群と呼ばれる病気で苦しまれる事例が以前から出ていましたが、社会保険庁は長い間、これをポリオの再発として、厚生年金の被保険者期間中にポストポリオを発症した人への障害厚生年金の認定を行ってきませんでしたが、平成18年2月にポリオとポストポリオは別な病気であるとの文書を出しました。障害厚生年金の裁定請求→却下→再審査請求→却下→裁判という経過を沢山の方が苦労した辿られた結果だといえます。2年ほど前に書いたままにしておいた文書がありますので一部を抜粋しますのでその当たりのことを参考にしていただければと思います。このあたりのことは、ポストポリオだけではなく他の二次障害に苦しむ方達に共通する部分があるかもしれません。
『今、全国で数名の方が、厚生年金の被保険者中にポストポリオを発症し、障害厚生年金を請求すると、「今回請求された傷病(ポストポリオ症候群)は、既に保険給付を行うことと決定された傷病(ポリオ)と同一疾病であり、重複請求であるため。」との理由で却下されるという問題がおきています。これは、国民年金から、20歳前傷病として障害基礎年金を受給しているため、ポリオとポストポリオは同じ病気であり厚生年金保険に加入中に発症したのではないとの理由です。
 この社会保険庁のポリオとポストポリオは同一との考え方には疑問があります。長嶋先生の論文に『PPSの発症機序についてはいくつかの説がありますが、ポリオウイルスの持続感染や再燃によるものではなく、長年にわたる過剰な機械的負荷による物理的要因と、加齢変化が関与していると推定されています。したがって患者さんには、PPSはALSなどの原因不明の進行性変形疾患ではなく、「ポリオ晩発性障害」と考えられることをよく説明し、無用の不安を取り除くことが先決です。』とあり、片山先生にも確認したところ同様に「ポストポリオとポリオは別の病気である。」とのことでしたし、同一疾病との誤解を招く病名に問題があるのではないかとの質問にも同意していただけました。
 ある審査請求(却下後の不服申し立て)の理由をみると「請求人は、「ポリオで一定障害にあったが平成00年00月00日を再発初診日とする「ポストポリオ症候群で新たな障害を発生した。・・今回の審査請求の趣旨及び理由は、ポストポリオ症候群は、明らかに社会的治癒後の発症であるため、過去の行政通達を適用し平成00年00月00日を再発初診日とする傷病名「ポストポリオ症候群」で障害厚生年金を求めるものである。」となっています。この結果はまだ出ていないようですが、社会保険庁と同じように同一疾病と考え、社会的治癒の概念を導入しています。この審査請求が無事に認められることを祈っていますが、この問題点として、@別疾病と認識していないこと、Aもし同一疾病と仮定して社会的治癒の概念を導入することが妥当なのか、の二点があります。社会的治癒の件に関して、社会的治癒の期間については病気によって違うのではないでしょうか。ポストポリオは、全員にではありませんが、数十年の無症状状態の後に発症します。症例をみれば30年から50年経過後まであります。同一疾病とすれば、これだけの期間を経過して初めてポリオという病気が完結することとなり、社会的治癒の概念は適用できないのではないかと思います。また、年金には症状が進めば障害等級を改訂するという事後重症の概念がありますので社会的治癒という概念自体意味がないともいえます。ただ、ポストポリオの問題には、国民年金と厚生年金とでは制度が違うという問題も背景にありますが・・。』


社会保険庁の通知は下記をご覧ください。
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n0224.pdf