コンタクトレンズ処方箋に関する診療報酬の不正請求


コンタクト診療所監査へ 〜 厚労省、全国60か所

   コンタクトレンズを購入する際の検査を主に行っている眼科診療所で、診療報酬の不正請求が行われている疑いがあるとして、厚生労働省は22日、不正情報が寄せられている十数都道府県の約60診療所について、年内にも一斉に監査を始めることを決めた。来月、全国の社会保険事務局の特別監査担当者会議を開き、60診療所以外についても、指導を徹底するよう指示する。
 コンタクト検査料は、今年春の診療報酬改定で大幅に切り下げられたばかり。厚労省では「改訂を骨抜きにする悪質な行為」とみており、不正が確認された場合は、保険医療機関指定の取り消しなど厳しい処分をする方針だ。

(読売新聞H18.11.23)


   医療費の改定は2,年に一回行われ、今年の4月に改訂されました。この改訂に伴って、コンタクトレンズの処方箋をもらう場合の検査料の算定方式が見直され、複数の検査をしても「コンタクトレンズ検査料の1又は2」で算定することになりました。この記事ではどのような不正請求が行われているのかは分かりませんが、考えられるパタ−ンを見ていきたいと思います。実際にコンタクトレンズを使用されている方は診療所でもらわれた領収書と見比べてみてください。
 ここで問題となっているのは病院や一般の眼科の診療所(注1)ではなく、眼鏡屋さんに付属した形でコンタクトレンズの処方箋を出すことを中心として営業している診療所です。当然、一般の眼科でもコンタクトレンズの処方箋を交付しています。しかし、両者の間では処方箋を交付するための検査料(処方箋料を含む)の金額が異なっています。その違いは下記の表(大人が診療所でコンタクトレンズの処方箋をもらう場合)のように、コンタクトレンズの検査割合がその診療所での全ての検査の70%未満の診療所は「コンタクトレンズ検査料1」で算定しますが、それ以外の診療所であるコンタクトレンズの処方箋交付を目的にしている診療所は「コンタクトレンズ検査料2」で算定することになります。


診察料初診料 2700円(電子化加算30円) 再診料 710円
検査料コンタクトレンズ検査料1イ初回装用者の場合 3,870円 ロ既装用者の場合 1,120円
コンタクトレンズ検査料2イ初回装用者の場合 1,930円 ロ既装用者の場合   560円
@ 診療件数のうち、コンタクトレンズに係る検査の割合が70%未満であることを社会保険事務局に届け出た医療機関は、コンタクトレンズ検査料1を算定し、それ以外の医療機関はコンタクトレンズ検査料2を算定します。
A 原則として、コンタクトレンズ検査料には他の眼科の検査を含んでいますし、コンタクトレンズの処方せんの代金も含まれています。

   コンタクトレンズの処方箋の交付を専門としている診療所で行われているとされる診療報酬の不正請求には二つの方法があると考えられます。
 まず、上記の表を見ていただけばわかるように、「コンタクトレンズに係る検査の割合が70%未満であることを社会保険事務局に届け出た医療機関は、コンタクトレンズ検査料1を算定し、それ以外の医療機関はコンタクトレンズ検査料2を算定します。」すなわち、眼鏡店に付属した形の診療所の医療費は安く設定されていることになります。しかし、コンタクトレンズに係る検査の割合が70%未満の一般の眼科は社会保険事務局にその旨の届け出をすれば「コンタクトレンズ検査料1」の高い医療費の請求が可能となりますので、本来、これに該当しないコンタクトレンズ専門の診療所も届け出ていることが考えられます。実際、先日、知り合いに確認したら、3か月前は「再診料 710円+ロ既装用者の場合 1,120円」で算定されていたものが、今回は「再診料 710円+ロ既装用者の場合 560円」の算定に変わっていたそうです。
 二番目のケ−スは一番目のケ−スと併せて実施している場合と、施設基準に基づいて、コンタクトレンズ検査料2を算定しながら不正を行うものとがあります。この表を見ていただくと分かるように「初回装用者の場合」は、既装用者の場合に比べて金額が3倍以上に設定されており、おまけに普通コンタクトレンズの処方箋をもらいに行く間隔は数ヶ月に一回という実態に付け込んだものです。処方箋をもらいにいく度に、「初診料2700円+初回装用者の場合1930円」で請求されるものです。
 蛇足ですが、以前、わたしの子供が大学病院に通院していたときお医者さんから3か月に一回通院する様に指示されて通院していたら再診料でなく、初診料で算定されていました。たまたま保険証を持参せず全額支払っていたため分かったものですが、窓口に算定誤りと指摘しても「規則どおりにやっている。」と無視されたので、県の保険課(今は社会保険事務局)から指導してもらったことがありました。
 いずれの場合も、患者側が点数表や医療費の算定方法を知らないのに付け込んで不正を働くものですが、余分な検査や点滴を常態として行う問題のある医療機関とは本質的に異なったもので、当に不正請求であり詐欺行為ということになります。こうした不正を行うのも他の医療機関も行っているからとの軽い気持ちからだと思いますが、その代償は、「保険医療機関指定の取り消し」または「保険医取り消し」という重い罰則が下されることになるかもしれません。

(注1) 病院とは20床以上の医療機関を指し、診療所とは19床以下または無床のクリニックや医院と呼ばれる医療機関を指しています。

(不正請求と正しい請求の比較)
    
不正請求
自己負担分
正しい請求
自己負担分
一番目
の場合
初診時
2700+3870=6570 1970 2700+1930=4630 1390 
再診時
710+11120=1830 549 710+560=1270 381 
二番目
の場合
一番目と重複
2700+3870=6570 1970 
二番目のみ
2700+1930=4630 1389