保険給付が拒否され病院から医療費を請求された話

 ここのところ健康保険の話が続いていますが、今回も健康保険にまつわる話になりました。いつも題材に困り発行直前まで自分で書く部分が白紙のままなので、ご投稿いただいている方々には心苦しく思っています。今回も同様で面白い題材があったのでいろいろ枝葉をつけて記事にしてみました。
 話の概要は次のようになります。

@会社の敷地内で社長さんが社員の運転する車に引かれて足を骨折し、A病院で骨折の手術をした。
A後日、B病院で手術跡のケロイドを直すための皮膚の移植した。
B数ヵ月後、B病院から社会保険が医療費を支払ってくれないので支払って欲しいとの連絡があった。
Cどのような理由で社会保険が医療費を支払ってくれなかったのか理由は聞いていない。
D社会保険事務所に行ってみたら、5人以上の事業所の社長に対しては労災の医療給付はしない。
E社長さんは労災保険に特別加入していない。


 電話で以上のような内容での相談がありました。話を聞けば労災保険に特別加入していない社長さんの業務上の事故だから健康保険での治療はできないのですが、A病院でもB病院でも保険診療をしていました。病院では、交通事故や労災事故であれば医療費の医療費の額や請求方法が異なるので怪我をした原因を確認していると思うのですが、確認を十分にせず?保険診療をした結果、保険者から医療費の支払いを拒否されてしまい、仕方なく社長さんに請求してきたということになります。病院では毎月1回最初に診察を受けるときには保険証を見せなければなりませんが、これは患者さんが退職や転職して保険者が変更されていないか確認しないと今回の場合と同様に資格喪失後の受診として医療費を支払ってもらえませんので、保険証の確認を怠っていればすぐに数十万円の医療費が得られないことになります。どのような理由で保険者から支払いを拒否されたのか病院に確認してもらったところ、労災事故だからとのことでした。では、なぜ保険者が労災事故と認識したかとの問題があります。保険者は、一定点数以上の外傷病名のレセプトについてはその原因を調査するため被保険者に対して外傷の原因を調査する文書を送っています。社長さんはこの当たりの事情に疎く、これにありのままを書いて報告してしまったためほころびが生じたといえます。国民健康保険には業務上また業務外の区別が無いので問題ありませんが、健康保険は業務外の傷病しか対象にしていないため役員は労災保険に特別加入していない限り全額自己負担せざるを得ず、労働者と同じように働いている中小の役員さんにとっては大きな問題があるといえます。この解消のため、平成15年に5人未満の事業所の役員についてのみ労働者と同様の仕事をしている者については医療費のみ保険給付の対象とする通達が出されました。
 中小企業の役員が労災保険に特別加入するには、労働保険事務組合に加入し、労災保険の手続きをとってもらう必要があります。商工会、同業者の組合や社労士等が設立しているものなどがあります。労災保険料は自分の日当を3.5千円から2万円の範囲で決め、それの365倍×労災保険料率(従業員と同じ)となります。最近は往診されるお医者さんも増えてきていますので、医師会の事務組合を通じて特別加入されたらいかがでしょうか。