健康保険等の被扶養者について

 早いもので今年も最後の一ヶ月となりました。忘年会、クリスマスといろいろ行事も多い時期ですし、事務担当者は、年末調整で忙しくされていることと思います。事務担当者にかかわらず、給与所得者にとっては、年末調整のための書類を整えることも必要です。一月に被扶養者として申告した家族の収入によっては被扶養者から外さなければなりませんし、12月に子供が生まれれば、被扶養者として届け出ることにより、所得税が還付されるでしょうから二重の喜びとなります。しかし、被扶養者の所得が計画よりも多くなってしまい、扶養から外すことになれば、逆に、所得税を追加払いすることも考えられますし、健康保険の被扶養者の認定が取り消される可能性も出てきます。さらに悪いことには、会社の福利厚生として支払われていた扶養手当や住宅手当等の返還といった事態も生じることもあるかもしれません。所得税や健康保険の扶養対象となる収入の限度額については、よくご存知だと思いますが、場合によっては、「自分のところは扱いが違っていた。」ということもあるので簡単に見ていきたいと思います。

 所得税については、1月1日から12月31日までの収入でみていき、配偶者に給与収入しかなければ103万円以下、年金受給者の場合は、年金等の収入が178万円以下(65歳未満は108万円以下)であればその年の被扶養者として所得税控除の対象者となります。年末調整が済み、還付金を受けた後、配偶者がパ−ト先から、「従業員が辞めたので年末手伝ってもらいたい。」と要請されて働いた結果、その年の収入が103万円を超えてしまえば、1月末日までに年末調整をやりかえてもらうことになります。先に触れた福利厚生との兼ね合いがあれは、自分で確定申告をしたほうがいいということになるかもしれません。もし、何もしなければ、1年か2年先に税務署から会社に調査依頼があり、年末調整のやり直しとなれば、担当者は腹の中で、「まじめに申告せえや。手間をかけやがって。他に返してもらうものはないか。」と考えてしまいます。働いて得た収入は、まずすべて税務署に報告がいっていますので、分からないだろうと思っていると後で苦労することになってしまいます。4月から就職する子供を1月の時点で扶養から外しておけば、年末調整時に助かるのではないかという気もしますが・・・。

 次に、健康保険の被扶養者の認定についてですが、こちらは向こう一年間の収入見込額が130万円未満(60歳以上は180万円未満)であり、かつ被保険者の年収の1/2未満であれば被扶養者になれることになっています。しかし、健康保険組合の場合には、この基準より厳しい被扶養者認定基準を定めている場合もあります。所得税法に合わせるている場合には、配偶者がヤクルトレディや喫茶店を経営していれば、「収入−必要経費=利益」が38万円以内でないと被扶養者として認定してもらえないということになります。所得税と健康保険の被扶養者認定で場合と大きく違うのは、収入をどのようにみていくかという点にあります。所得税は、1年間を積算した金額でみていくのに対して、健康保険は、今現在の収入を基に向こう1年間の見込額でみていきます。

 1月から11月まで専業主婦で、12月に13万円の月収で就職すれば、その年の収入は13万円となり所得税上は被扶養者となりますが、健康保険は、13万円×12月=156万円の収入見込となり扶養から外れることになります。他の例を挙げれば、結婚して専業主婦になり失業保険を90日分受給できる場合でみていくと、失業保険(注1)が一ヶ月換算で13万円の給付があるとすれば、13万円×3ヶ月=33万円としてみられるのではなく、13万円×12月=156万円の収入見込とみられて被扶養者とはみなされないことになります。一般的には、失業保険をもらうまでに3ヶ月の待機期間がありますので、その期間は、収入がないので被扶養者と認められます。その期間中は雇用保険の受給資格者証は健康保険に預けるということになります。当然受給が始まれば、健康保険の扶養から外れますし、国民年金の手続きも必要ということになります。

(注1)

  失業保険の日額が、130万円÷12ヵ月÷30日=3,611円以上であれば、被扶養者とは認定されません。