外国人と結婚した場合の国民年金の脱退一時金?


 現在、年金が大きな問題となっており多くの人々の関心を集めていますが、年金をもらっている世代の方以外の若い方は逆に冷めた見方をしているのではないかと考えられます。若い人に関係する問題の一つに、外国人と結婚して海外に移住する場合、脱退一時金が貰えるのかといったことがありまので、脱退一時金についてみていきたいと思います。
 「日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者」は日本人・外国人問わず国民年金保険の被保険者となります。老齢基礎年金をもらうためには25年以上加入しなければなりませんので、一時的に滞在する外国人(注1)は加入要件期間を満たすことが出来ずに帰国すれば保険料が掛け捨てとなりますので、6ヶ月以上加入期間があれば脱退一時金という形で掛け捨てを防止する措置がとられています。しかし、日本人が結婚して日本にいなくなってしまえば国民年金はどうなるのでしょうか。
 まず、国民年金の被保険者となる要件は、先に挙げたように「日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者」で国籍は問われてはいません。また、資格喪失要件の一つに「日本国内に住所を有しなくなったとき」というのがあります。ということは、結婚して外国に移住すると被保険者資格を喪失してしまいます。しかし、脱退一時金の支給は「日本国籍を有しない者」が対象になっています。そうすると結婚して外国に居住することになれば日本国籍が無くなるのかということを考えなければなりません。もし、結婚してすぐにご主人の母国の国籍を取得できるのであれば脱退一時金が貰えることになりますが、国によってすぐには国籍は取れないのではないでしょうか。日本の国籍法を見ると「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。」とあります。また、日本国籍を取得するための条件は20歳以上で、5年以上日本に在住していること、生活できるだけの条件の有無(自己または配偶者の資産等)等の要件を満たす必要がありますので直ぐに国籍を変えることが出来るものでもないようです。そうすると配偶者の国に住むためにはその国が定めた在留資格によって居住することになります。この場合、日本では、「日本人の配偶者等」という在留資格になります。
 そうすると脱退一時金をもらうためにはその国の国籍を取ってからということになります。しかし、脱退一時金の支給要件の一つに日本国内に住所を有しなくなってから2年を経過するまでに請求しなければならないとありますので、外国人と結婚して外国に住んだとしてもまず脱退一時金をもらうことは出来ないと考えていいといえます。そうすると結婚して海外移住する場合、国民年金に関しては、次のようなことを検討してどうするのがいいか判断する必要があるといえます。
(1)  外国に居住していた期間は国民年金受給要件の25年を計算するときカラ期間として計算されますので、保険料を支払っていた期間分の年金は貰えます。
(2)  外国に居住した場合、任意加入制度によって国民年金に継続して加入できますので、居住先の国に年金制度がない場合など任意加入することも必要だろうといえます。
(3)  年金制度を導入している国に赴任した場合などその国の年金制度に加入義務があれば重複して保険料を支払わなければなりませんし、外国居住期間が短いため保険料の掛け捨ての問題も発生することから政府は各国と社会保障協定(注2)を結び、それぞれの国での加入期間を通算し、受給要件期間を満たしていれば、それぞれの国から加入期間分の年金を受給できるという制度があります。

(注1)  「在住外国人と社会保険」えくれしあ第62号の特定社労士永井先生の記事を参照ください。
(注2)  社会保障協定を締結している国は、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリアの8カ国で、イギリスとは加入期間の通算は認められていません。その他、オランダとチェコとは交渉中で、スペインとイタリアとは交渉準備中とのことです。