第三者傷害に健康保険を使えるでしょうか?

 答えから言うと、健康保険では、業務上(通勤途上を含む)以外の保険事故については、原則、保険給付されるので、「使えます。」が正解といえます。当然、業務上のものは、労災保険法の適用となりますので、事業主さんが、労災保険に加入していなかったら、事業主さんの負担となります。例外として、「故意に事故を発生させたとき、闘争、泥酔又は著しい不行跡により事故を発生させたとき」など、給付制限の対象となる場合が幾つか定められています。自殺が代表的な例ですが、即死であれば、治療がないので問題ありませんが、未遂となり治療をしたとなれば、これは保険給付の対象にはならないので、自己負担せざるを得ません。

 第三者傷害にはどのようなものが在るかというと、「交通事故、暴行をうけた、他人の飼い犬に噛まれた、仕出弁当による食中毒、オ−ムのサリン事件など」を挙げることができます。これらには、損害賠償の問題が絡んできます。治療費もこの損害賠償の中に当然はいってきますので、健康保険を使うのであれば、保険者に、その旨、連絡しておかないと保険者は治療費を第三者に請求することが出来ません。ここで、問題となるのは、「治療は健康保険でするので損害賠償から除く」と示談した場合です。被保険者が、こうした示談をすれば、保険者は第三者に求償できなくなり、権利放棄した被保険者に求償することになります。

 第三者傷害に遭えば、保険者と蜜に連絡をとり、示談を進めていくことをお勧めします。特に、交通事故では、交渉相手は損保会社となり、被害者のことを考えて示談交渉はしてくれませんので、過失割合等の話があった都度、保険者と相談をしながら進めてください。過去に、ひとつの事故で、被害者に対する過失割合と保険者に対する過失割合は違って当然と公言し、被害者に休業補償を支払い、さらに傷病手当金の請求までさせた損保がありました。保険者に診療報酬の請求書(レセプト)が届くのは、診療月から2ヶ月遅れます。さらに電算入力処理等に1ヶ月弱かかり、第三者行為届が出ていないと早くても3ヶ月遅れでないと把握できませんし、外傷レセプトのチェックをしない保険者であれば、第三者傷害があったこと自体を把握できないので、休業補償と傷病手当金の重複受給もあり得ます。これが発覚すると返還請求ということになりトラブルのもとで、示談交渉自体、難しくなりますので、すぐに「第三者行為による傷病届」を出してください。

 最後に、もし第三者傷害にあえば、健康保険を使用してください。理由は、健康保険を使えば、治療費が安くなるためです。健康保険では、1点10円、労災保険は1点12.5円、自賠責を使えば、医療機関によって違います。1点12.5円〜15円程度でしょうか。交通事故で、健康保険を使えば120万円で済むものが、自賠責を使えば、1.5倍の180万円かかることになります。自賠責での治療費は、120万円までしか出ませんので、残りの60万円については、もし被害者に50%の過失があれば、30万円は負担しなければなりません。健康保険を使えば、自賠責の限度内で済むので、被害者の負担はなくなります。「自賠責の限度を超えても、任意保険があるじゃないか」と云われるかもしれませんが、この保険は加害者のためのものであり、被害者の過失部分までは補填してくれません。また、健康保険を使っていれば、自賠責の限度額を超えたとしても、被害者の過失部分については、健康保険が負担してくれます。とはいっても、健康保険が負担してくれるのは法定給付の7割部分に関してであり、被害者が窓口で負担する3割部分については、自分の過失割合部分は自分が負担せざるを得ませんが・・・。

 追突された場合など、被害者である自分に100%過失がなければ、健康保険は使わない方が良いですよね。健康保険の事務員さんは手間が省けて喜ぶし、お医者さんはより利益がでるし、示談交渉している損保会社は負担が増えるので、嫌がるかもしれませんが・・・・。