労働契約から業務請負契約・業務委託契約に切り替えられたら


   先日、「1年契約で労働者として働いているのに同僚が次回の契約は業務委託契約になると言われた。6名が同じように働いているので全ての人が同じように契約が切り替えられるかもしれない。どのような違いがあるのか。」と電話がかかってきました。また造船所の溶接で働いている外国人からは「確定申告しなければならない。」との話がありました。この外国人は以前労働契約で働いていましたが、何らかの事情により、労働契約から請負契約に変更されたようでした。これらの契約の違いは簡単に言ってしまうと、労働契約は使用者の指示命令に従って働き、賃金をもらうという関係です。一方、業務請負契約と業務委託契約は全て自分の裁量で仕事を行なう自営業者ということになります。当然この問題を突きつけられると自分の不利益はどこにあるかといったことを考えざるを得ません。60歳以上の人であれば国民年金保険料を支払う必要が無くなり、国民健康保険に加入すれば特別不利益は無いと考えてしまうと場合によっては大きな不利益を被りかねませんのでこの辺りのことを少し見ていきます。

【労働保険関係】
@労災保険
 個人事業主は労災保険に原則加入できませんので、仕事中の事故や通勤途上の事故に遭っても国民健康保険で治療することになり、医療費の自己負担分3割を負担することになり、休業補償も無く、後遺症が残ったとしても補償がもらえないことになります。こうした事故はごくまれなのでほとんどの人にとって問題とならないかもしれませんが・・。
A雇用保険
 退職した時の失業に対しての給付が得られないだけで、すぐ就職できる人や高齢で働かないという人にとっては大した問題ではないでしょう。若い人にとっても同様かもしれませんが、職業訓練を売れるとすれば問題があるかもしれません。

【社会保険関係】
@年金
 労働者であったときは厚生年金に加入しており自分が負担している厚生年金保険料と同額を会社も負担しているので、簡単に言うとその会社で請負契約なり委託契約で働いている期間の将来もらえる部分の年金額が半分になってしまいます。また配偶者を扶養している人であれば配偶者の国民年金保険料の負担が発生してきます、また最悪の場合として、交通事故で動けなくなった場合には、障害基礎年金だけとなり、障害厚生年金と比較してかなりな不利益が発生します。
A健康保険
 これまでは扶養家族の健康保険料を支払っていませんでしたが、国民健康保険になると扶養家族だった人すべてに国民健康保険料の支払い義務が発生します。また、病気で仕事が出来なくなったときは3日目から1年6か月は傷病手当金が給料の3分の2程度もらえますが、国民健康保険では貰えないことになります。

【税金関係】  税金関係については税務署に個人事業の開業届と青色申告の届を出し、毎年確定申告をして税金を納める必要があります。帳簿をつける手間が増えます。どちらがいいかは別として労働者として年末調整してもらい楽をする方がいいかもしれません。  外国人の場合には確定申告の意識が低く、領収書ばかりに目がいき、本語が読めない人では行政から送られてくる必要書類が散逸する可能性があります。

【その他】
 労働者であるにもかかわらずこのような契約に切り替えるのは会社が費用負担を免れたいためと言えます。しかし労働の実態は従来通り労働者のままですから、労災事故に被災した時には労働基準監督署に申告すれば労災給付を受給できますし、社会保険や雇用保険にしても2年前に遡って資格の確認をしてもらうことが出来る事を知っておく必要があります。