障害者雇用納付金が100名以上の事業所に拡大されます


 障害者雇用促進法があるのをご存知でしょうか。この法律の第37条は「すべて事業主は、身体障害者又は知的障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務を有するものであつて、進んで身体障害者又は知的障害者の雇入れに努めなければならない。」と個々の企業に対し雇用努力義務を課しています。努力義務目標として別途障害者雇用率が定められています。これをクリアーできない事業主に対しては罰則金(障害者雇用納付金)が定められており、これをクリアーしている事業主に対しては報奨金(障害者雇用調整金/報奨金)が支給される旨定めています。平成27年4月から障害者雇用納付金の支払いが必要となる事業所の規模が常時200名以上から、常時100名以上の従業員を雇用する事業所に変更になりますのでこの辺りのことを簡単に見ていきます。

【障害者雇用率】
 障害者雇用は全ての事業所に対して義務付けられており、雇用しなければならない最低限度の人数は各企業の実態に応じて下表に定める障害者雇用率以上の障害者の雇用が必要とされています。
現在適用されている率は次の通りです。(平成25年4月以降)
 一般民間企業
2.0%
 国地方公共団体
2.3%
 特殊法人等
2.3%
 都道府県等の教育委員会
2.2%
 この障害者雇用率を常時雇用する労働者、一般・短時間(週所定労働時間20時間以上、30時間未満)を問わず雇用保険の被保険者となる労働者の合計人数に乗じて計算することになります。
 この場合次の事項に注意する必要があります。(1未満は切り捨て)
  @ 健常者・障害者ともに短時間労働者は0.5人とすること。
  A ただし、障害者のうち、重度障害者については前項の人数を2倍した数でカウントする。
    (短時間は1人、一般は2人となる。)
  B 精神障害者については、雇用義務の対象ではないが、各企業の実雇用率の算定時には障害者数に算入することができる。
【障害者雇用納付金・障害者雇用調整金・奨励金】
 障害者雇用率は全ての事業所に対して適用されますが、それぞれ定められた率で計算した障害者を雇用できていなければペナルティーとしての障害者雇用納付金が課されることになり、それ以上の雇用をしていれば超過人数に対して障害者雇用調整金が支給されます。ただ、これらが対象となる事業所は、平成26年度までは常用労働者数200以上の事業所が対象とされていましたが、平成27年度からは100人以上の事業所まで拡大されることになっています。但し、常用労働者が100名前後で推移している事業所の場合には、100名を超える月が5か月以上あれば対象となります。
 障害者雇用率を達成しているかどうかは、各月初日の常用労働者数に障害者雇用率を乗じて各月毎に計算し、12か月分を合計して過不足を計算することになります。
 ただ100人未満の事業場であっても一定以上の障害者を雇用していれば奨励金が支給されます。
 障害者雇用納付金(雇用率未達成事業主)   不足 1名につき   月額 5万円   常用労働者 
 100名以上 
 障害者雇用調整金(雇用率達成事業主)   超過 1名につき   月額 2万7千円 
 奨励金  超過 1名につき   月額 2万1千円   100名以下 
 ※障害者雇用納付金については軽減措置があります。
   @200人超300人以下の事業所は、平成27年6月まで4万円
   A100人超200人以下の事業所は、平成32年3月31日まで4万円
 ※奨励金は、常時雇用する労働者の数が100人以下の月が8か月以上ある事業所が対象になり、障害者の雇用率が4%以上
  又は1年間72名以上何れか多い数を超えた人数が対象になります。

【障害者雇用に関する助成金】
 次の三つの助成金を紹介します。この三つの助成金はすべて受給することが可能です。
(1)障害者トライアル雇用奨励金
 @トライアル期間終了後も継続雇用することを目的とした求人をハローワークにすること。
 Aトライアル雇用期間は3か月間(短時間労働者の場合12か月間)
 B奨励金は各月の出勤日数を所定出勤日数で除した割合で違います。75%以上出勤で4万円/月、短時間は2万円/月
(2)特定求職者雇用開発助成金
 @身体・知的障害者だけでなく、60歳以上65歳未満の者や母子家庭等も対象となっています。
 Aハローワークを通じて雇用すること
 B身体・知的障害者は6か月ごと3回(中小企業45万/回、それ以外25万/回)(重度は別)
 C前号以外の者は6か月ごと2回(中小企業45万/回、それ以外25万/回)
(3)障害者初回雇用奨励金(ファーストステップ奨励金)
 @障害者雇用の経験のない中小企業(50〜300人)が雇用率制度の対象となる障害者を雇用し、法定雇用率を達成する場合に
  支給されます。(50名未満は障害者雇用義務が無いため除外)
 A65歳未満の身体、知的、精神の障害者雇用が対象になります。
 Bハローワークを通じて雇用する必要があります。
 C1人目を雇用した日の翌日から3か月後の日までに障害者雇用率を達成する必要があります。
  (トライアルを利用したらその日から)
 D支給額は120万円です。

(参考) 一般企業での必要障害者雇用数
常用労働者数
障害者数
常用労働者数
障害者数
 50〜100人未満
1人
 200〜250人未満
4人
 100〜150人未満
2人
 250〜300人未満
5人
 150〜200人未満
3人
 300人以上
6人以上