退職事由によって失業手当の受給日数が違います


  職安職員が不正受給指南
詐欺ほう助容疑など4人逮捕 失業手当230万円搾取  徳島県警

 徳島県小松島市の小松島公共職業安定所の非常勤職員が、失業手当の不正受給の手口を知人に指南し、約230万円がだまし取られたとして、県警捜査2課と小松島署は12日、同職業安定所のA容疑者(64)を詐欺ほう助容疑で、不正受給した無職B容疑者(60)ら3人を詐欺容疑で逮捕した。  他の逮捕者は、配管工C容疑者(60)、B、C両容疑者の勤務先だった建材会社の社長D容疑者(58)。  調べでは、2004年12月、自主退職したB容疑者から失業手当についての相談を受けたA容疑者は、「解雇扱いにすれば手当を多くもらえる」と教えた。B容疑者はD容疑者と共謀し、職業安定所に解雇を装った虚偽の離職票などを提出、昨年2月から今年1月までの間、失業手当約190万円をだまし取った疑い。また昨年11月に自主退職したC容疑者も同様の手口で計約40万円を搾取したという。徳島労働局によると、B容疑者らのケ−スでは解雇の場合、自主退職の約2倍の額が支給されるという。 (読売新聞H18.3.13)

   失業手当にという言葉またどの様なものかは良くご存知でしょう。しかし、その内容については今ひとつ分かっていないというのが現状だろうと思います。就労形態の多様化した今の時代では、失業不手当について良く知り、支払った保険料の有効活用も必要ではないでしょうか。失業手当を正確に云うと雇用保険法に基づく基本手当ということになります。この雇用保険法(注1)は失業した時の給付のみを目的としたものではなく、在職者の雇用の安定や能力開発(注2)に対しても給付を行っています。
 ここで問題となっている失業手当の不正受給に関連した辺りをみていきます。まず、自分が雇用保険の被保険者となっているのかどうかを確かめる必要があります。毎月の賃金支給表で雇用保険料が引かれているかどうか確認する方法もありますが、手続きを怠っていたり、意識的に加入させないまま雇用保険料を徴収している例等よくありますので、ハロ−ワ−クに被保険者資格の「確認」を行なうのが確実な方法といえます。雇用保険被保険者の資格があり、退職するとなれば、退職する日以前1年間に勤務先は異なっても通算して6ヶ月以上の被保険者期間が必要となります。次に、退職の理由が何かということになります。雇用保険の被保険者期間と退職理由によって基本手当(失業手当)として給付される日数が違ってくることになります。
 この新聞記事で不正受給指南とされているのは、この退職理由を自己都合でありながら、事業主が解雇したことにすればより長い日数分の基本手当を受給できると指導したことにあります。従業員が退職するときハロ−ワ−クに離職証明書を提出します。これに退職理由を記載する欄がありますので、自己都合とはいっても具体的にどのような理由なのか、転職のため、家族の介護のため、時間外が多く体調を崩した、他県に嫁ぐためなど明確にしておかなければ、すぐに基本手当をもらえるか、3ヶ月後からなのかといった問題も発生します。この記事の場合は、偽って解雇としていますから、当然、事業主の協力がなければ不可能なため、事業主も逮捕されています。この記事の中で、「解雇の場合、自主退職の約2倍の額が支給」とありますが、これがどのようなことを意味しているかは次の表を見ていただければすぐに分かると思います。解雇以外では被保険者期間に応じて基本手当の給付日数が決まっていますが、解雇の場合は、被保険者期間と離職時の年齢の組み合わせで給付日数が決まってきます。不正受給時の年齢また被保険者期間が不明ですが、59歳で10年の被保険者期間だったと仮定すれば、自己都合退職であれば、120日分ですが、解雇となれば270日分となります。この場合だと倍以上の受給日数に開きがあことになります。
 会社の景気が悪くなり辞めざるを得なくなった時には、会社の説得に応じて自己都合退職の形式をとるのではなく、解雇としてもらわなければ自分が損をすることになります。

1.解雇以外の理由
被保険者であった期間
離職時の年齢
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢
90日
120日
150日


2.解雇による場合
被保険者であった期間
離職時の年齢
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満
90日
90日
120日
180日
30歳以上35歳未満
90日
180日
210日
240日
35歳以上45未満
240日
270日
45歳以上60歳未満
180日
240日
270日
330日
60歳以上65歳未満
150日
180日
210日
240日

(注1)
 第1条「雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。
(注2)
 被保険者期間が3年以上あれば、厚生労働大臣が認定した教育訓練(専門学校等の社労士、宅建や英会話等の講座)を受講した場合に教育訓練給付金として受講費用の一部が支給されます。この制度は、退職後1年以内に受講開始した場合も対象になります。給付額は、被保険者期間が3年以上5年未満で受講費用の20%、5年以上の場合は40%で、上限20万円、8千円未満不支給となっています。