技能実習生指針改定記事から
外国人実習チェック強化 〜受け入れ先「監理」指針改定へ〜


 法務省は、外国人が働きながら農業や漁業などの技術を身につける「外国人技能実習制度」でトラブルが相次いでいることから、対策強化に乗り出す。
 外国人技能実習生の受け入れ窓口となる各地の商工会や農協、漁協などの「監理団体」が、実習が適正に行われているかチェックするための指針を年内に改定する。
 同制度は、管理団体を通じ企業や農家、魚業者に最長3年間、実習生を受け入れてもらう。管理団体は、受け入れ先が賃金不払いや時間外労働をさせていないかチェックし、3か月に1回、入国管理局に報告するよう指針で決められている。
 指針改定で、管理団体によるチェック項目をより具体化し、
  ▽受け入れ先からの口頭説明や報告書のみで判断せず不正行為の有無を実習生から聞き取る。
  ▽実習生のパスポートやビザが取り上げられていたり、携帯電話の使用を制限されていないかを実習生に直接聞く
 ――ことなどを明記する。
 また、今年3月に広島県で、周囲から孤立した中国人実習生が受け入れ先のカキ養殖業者らを殺傷する事件が発生したため、ホームシックなどの実習生の生活上の悩みに受け入れ先が適切に対応しているか否かも、チェック項目に加えた。
 同制度を巡っては、2011年に法務省が不正行為を確認した受け入れ先83か所のうち81か所で、管理団体が不正を見逃していた。

読売新売(H25.12.24)

 技能実習生制度を巡っては問題が頻発し、各方面からもこの制度に対する批判が相次いでいました。そうした状況を受けてかどうか分かりませんが、総務省がこの制度の行政評価を行った結果の指摘に基づいて「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」が昨年12月に改定されました。この記事を見ると技能実習生制度が農業や漁業が中心の様に感じられますが、JITCOの資料で2年目に移行した分野別人数を見ると農業と漁業を合わせて7482人(13.9%)であり特別多くの技能実習生を受け入れている職種とは言えません。こうした表現が取られた背景には、これまで発生した技能実習生による3件の殺人事件が全てこの分野に関係していたためと考えられます。2006年の養豚業(千葉県)、2009年の農業(熊本県)そして2013年のカキ養殖業(広島県)の3件です。労働者にとっては大変な職場だといえますし、労働基準法上は適用除外(注1)とされている業種です。分野別の技能実習生の人数は見ると次のようになっています。
(2012年2号移行人員数 JITCO)
分 野
人 数
構成比
分 野
人 数>
構成比
 農 業
6,888 
12.8% 
 繊維・衣服
11,437 
21.3% 
 漁 業
594 
1.1% 
 機会・金属
11,775 
21.9% 
 建 設
4,595 
8.5% 
 その他
11,459 
21.3% 
 食料品製造
7,043 
13.1% 
 合 計
53,791 
100.0% 

 漁業の分野を細かくみると漁船漁業352人で養殖業242人です。漁業の受入県のトップは広島県の230人で、2位が宮崎県の84人です。広島県の230人は全てカキ養殖と推測してもいいのではないでしょうか。
 また、監理団体としての漁協や農協が受け入れた割合を、2009年の2年目への移行数でみると、農協が2.9%で、漁協についてはよく分かりませんが、大多数の技能実習生(82.3%)は協同組合経由となっています。

 新しい指針を見ると管理団体の監視の視点として、次の、(a)〜(c)とまたそれぞれについての具体的な手順と方法が追加されています。
(a)技能実習計画の実施状況
 技能実習計画に従った技能実習が実施されているかどうか、書類又作業場に立入って実際に技能実習の実施状況について確認を行う必要があるとされています。また、指導を行うものが5年以上の実務経験を必要とされているためこの確認も義務付けています。

(b)技能実習生の生活環境への配慮
 「生活指導員の指導の適否だけではなく、技能実習生が生活指導員との間で、日常生活での不安や不便、ホームシック等について、どのようにコミュニケーションを取っているか、また、相談に対する具体的な対応の仕方について、技能実習生に直接確認し適切かどうか見ることが必要」とされ、初めて受け入れた機関また技能実習生が一人だけの場合への配慮についても触れられています。

(c)不正行為の有無
@ 技能実習生に対して、パスポート等の保管や携帯の所持また来客との面接の禁止がされていないか等を確認する必要があること。

A 労働関係法令の遵守として具体的な項目が別項にまとめて掲載されました。

B 保証金については、「入国後の講習において、技能実習生に保証金の違法性を十分に説明したうえで、監査の際に実際に保証金の徴収がなかった
  かどうかについて、通訳等を介して技能実習生に直接確認し、その内容を記録にとどめる必要があります。」とされています。

C 名義貸しが行なわれていないかどうかの確認のため、技能実習生の人数の過不足のチェックが必要とされています。

D 従業員のタイムカードなどの確認を通して不法就労者がいないかどうか確認する必要があるとされています。

(注1)  労基法第41条適用除外では、1日8時間1週40時間の規制や週1回の休日の付与また割増賃金の支払いが不要とされています。基本的に技能実習生については漁船に乗り込む職種以外では適用除外は認められていないと考えられます。適用除外と抗弁された時には、労働契約書にどのように記載されているか確認する必要があります。