宿直・日直に関すること

 12月13日の読売新聞に『勤務医 増える過労死、「当直」違法状態、回数超過、手当不払い』などの見出しの下に医師の労働環境の悪さを訴える記事が大きく載っていました。こうした医師の労働環境の悪化の原因については「立ち去り型サボタータジュとは何か」(小松秀樹著 朝日新聞社)が医師の立場から解説していますので参考にしていただくとして、医療機関や福祉施設などでは普通に行われていますが、一般の事業所では耳慣れない言葉となってきている宿直と日直について、労働基準法がどのように規定しているか見ていきたいと思います。

 労働基準法第32条は、労働時間の原則を、1週40時間、1日8時間と定め、これ以上の労働をさせる必要がある場合には、労働基準法第36条の定めによる労使協定を結び、これを労働基準監督署に提出することを条件に労働時間の原則を超えて労働させることを認めています。しかし、農林水産事業のように天候に労働時間が左右される事業もありますし、一般労働者を管理監督する労働者もいます。また、一定の時間に計器の数値を記録するだけのような断続した労働など、労働の態様は様々であるため、労働時間の原則を一律に適用したのでは問題も出てきますので、こうした一部の労働者に対しては適用を除外するとの規定が第41条(注1)に定められています。よく知られている管理職には時間外手当も休日手当も支払う必要がないというのもこの規定の第2号で、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」として定められています。日直や宿直をしても時間外労働割増賃金も休日労働割増賃金も支払う必要がありませんが、この第41条には明確に規定されておらず、第3号の「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」の中に、宿直も日直も含まれるとされています。この条文に関連した労働基準法施行規則第23条は「使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、様式第10号によって、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、これに従事する労働者を、法第32条の規定にかかわらず、使用することができる。」と定めていますので、「宿直又は日直の勤務で断続的でない業務」は該当しないということになります。一般的には宿直又は日直とは、本来の業務を離れた電話番とか配達物の受領等の業務を指しているので断続的業務といえます。このあたりに関して、「法41条第3号の「監視又は断続的労働に従事する」とは必ずしもそれを本来の業務とするものに限らず、宿日直勤務の如く本来の業務において付随的に従事する場合を含む趣旨と解する。」(昭35.8.25 基収6438号)とされ、「法32条の規定が存在するにもかかわらず、施行規則23条において断続的な業務としての宿直を認めたのは、通常の宿直勤務は常態としてほとんど労働する必要のない労働密度の薄い勤務であるからである。したがつて、その勤務内容も定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態発生の準備等に限定されるものと解する。」(名古屋地裁昭40.10.18)とされています。

 では、どのような勤務状態の宿直や日直が断続的な業務に該当するかは、【継続的な宿直又は日直勤務の許可基準】(昭23.1.13 基発33号)があります。要点は以下のとおりです。

1.勤務の態様

 常態として、ほとんど労働する必要のない勤務のみを認めるものであり、定時巡回、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること

 原則として、通常勤務の労働の継続は許可しないこと。したがって始業又は終業時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受又は盗難・火災防止を行うものについては、許可しないものであること

2.宿日直手当

 宿日直勤務に就くことが予定されている同種の労働者に支払われる賃金(割増賃金の基礎となる賃金を指す)の1人1日平均額の3分の1以上。

3.宿日直の回数

 宿直勤務は週1回、日直勤務は月1回が原則。但し、原則では、事業場の人員が不足する場合で、勤務の労働密度が薄い場合にはこれを超えてもよい。

4.その他
  宿直勤務については、相当の睡眠設備の設置を条件とする。


 こうした一般的な基準に定められていない、寮母や舎監さんの扱いなどは実態に即して検討していく必要がありますし、宿直や日直が一般的である医師や看護士さんの場合、また社会福祉施設の場合などはそれぞれの通達がありますのでそれらを参考にして検討する必要があります。グル−プホ−ムの世話人さんについても知的、身体、精神そして老人(注2)等の区分によっては断続的労働が可能な場合があるのかも知れません。

(注1)

(労働時間等に関する規定の適用除外)
第41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
1.別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
2.事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
3.監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

(注2)  認知症高齢者を対象とするグループホームは介護保険法により宿直ではなく夜間勤務者の配置が必要となっていますので、併せて宿直もおく場合となります。