会社に問題提起した技能実習生への差別的扱い


 2012年に入管法が改正になり罰則など厳しくなったこともあってか、技能実習生からの相談が少なくなっています。関係のあったフィリピン人技能実習生から、「フィリピン人は問題を起こすからベトナム人やスリランカ人にシフトする。」と協同組合が言っているとの話を聞いていました。確かに、他の国の技能実習生と違ってフィリピン人の80%強がカトリックの信者なので教会のミサに出で来ていろいろな情報を得ることが出来ます。そのため「教会に行ってはいけない。」との締め付けがきつくなってきた結果かもしれません。さらに警察も弁護士も信用できない国情もあり、送出し機関や受入機関からさまざまな圧力を受けているという側面もあるかもしれません。問題を起こせば帰国させられるという恐怖感におびえているといえます。
 こうした恐怖感を克服して残業代未払等不当な扱いをユニオン等支援者と伴に訴えることによって他の技能実習生と差別的な扱いを受けるこという現実もあります。残業代未払を問題にするとさまざまな理由をつけて残業をやらせてもらえなくなります。当然収入が大きく低下し、出稼ぎにきた彼らにとっては大きな問題です。これに併せて「ユニオンを脱退すれば残業させる。」などと誘惑をしてきます。こうした扱いに屈することなく「これから来る後輩たちのために頑張る。」といって残業代計算の不正是正に貢献した人もいました。
 ユニオンに加入し、残業代交渉途中の先月帰国した技能実習生の場合も可哀想でした。さよならパーティーや退職金か餞別か分からない5万円また会社からの優秀であったとかの証明書が渡されないという差別を受けました。まさに不当労働行為そのものです。こうした差別的扱いの常套句として「就業態度が悪かった、能力が劣っていた。」などと会社は弁解してきます。こうしたことに対して支援者側としては抗議する以外になすすべがないのが現状といえます。
 こうした差別的扱いを周りの技能実習生達はよくみています。当然、同じことをすれば自分も同じ目に合い、残業代はある程度もらえるかもしれないが将来的に残業が無くなり、さまざまな圧迫や不利益を受けるとの恐怖心を強めていきます。こうしたことが語り伝えられ、また送出し機関や受入機関からこの話を聞けば問題があっても改善を求める気持ちも挫けてしまいます。
 こうした流れの中で労災事故隠しが横行することになります。これまでも障害が残ったまま帰国させられたとの情報は少なくありません。労災保険では障害補償給付が1級から16級まで定められています。1級から7級は年金として、8級から14級は一時金として給付されます。こうした労災給付が無視されるのは技能実習生制度かせ奴隷制度と批判される一つの側面といえます。