労働基準法−7 (第14条)
外国人技能実習生を中心として

契約期間



第14条(契約期間等)
 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。
 ※「次の各号」は@厚生労働大臣が定めた専門的業務に従事する者とA満60歳以上の者のこと。

【罰則:、30万円以下の罰金】

 私たちが就職することを考える場合、賃金とともに労働契約の期間がどのようになっているかは大きな問題として考えざるを得ません。契約期間の定めがない労働契約であれば定年まで働けますが、もし労働契約が6か月とか1年と定められていれば引き続き契約が更新されるかどうかは分かりませんし、何度も更新はされていても何時更新が拒否されるかわからないのが現実です。会社側から見れば「思ったほど能力がなかった」、「精神的な病気があった」また「他の職員とうまくやって行けず問題を起こす」などの理由で、採用して間もなく解雇を検討する場合契約期間との関係でどうするかが悩みの種になりますし、労働契約を3回以上更新した場合、期間の無い契約とみなされ、単純に「期間が満了したため更新しません」との理由は通用しなくなり、「その業務が廃止になり人手が不要になった」など正当な理由が必要になります。そのため契約期間は1年で契約更新は2回までの3年以上は雇用しないときめている会社も少なくはないといえます。
 こうした1回の労働契約の期間が法律で定められているのは弱い立場にある労働者が不当に拘束される弊害を防止するための措置で、現実には深く考えられずに運用されているのが現実といえますが、技能実習生の場合この雇用期間が大きな問題を孕んでいるといえます。制度上は最長3年間研修できるとされているため技能実習生達は日本で3年間の研修ができることを前提として来日しています。最初の1年は技能実習生1号という在留資格(期間は1年または6か月)であり、2年目は技能実習生2号に移行しますが、技能検定に合格することが条件であり、合格できなければ帰国せざるを得ません。技能実習生たちの労働契約は1年とされているものがほとんどですが、中には2年とされているものもあります。在留資格も労働契約も1年更新であれば彼らの思っている3年間の日本での研修は保障されていないことになります。会社の経営状況が悪いので3年目に向かっての更新はしないといわれると研修先がないため在留資格の更新が認められず帰国せざるを得ないのが現実です。契約期間が6か月残った状態で会社が倒産した場合も同様です。ただいづれの場合も認められた研修職種の会社に移籍できれば問題はありませんが、こうした不安定な状況に置かれているのが技能実習生の現実です。当然、労働者として採用されているため雇用保険に加入して、保険料を支払っていてもこうした事態に直面すると帰国以外に選択肢がないため雇用保険を受給することはできない話で、日本人のために雇用保険料を負担させられているとしか考えられません。15万円の賃金として雇用保険料を計算すると、
  15万円×0.005=750円×3年=2万7千円
 の保険料になります。彼らの母国の貨幣価値に換算すればかなり大きな額ではないでしょうか。そうは言いながら強制帰国させられそうになって保護し、裁判や労働審判で争った技能実習生に雇用保険を受給させたこともありました。入国管理局は在留資格が切れるまでは黙認し、ハローワークも本来求職活動ができないのを分かっていてもジツコで就職活動していることとして受給を認めてくれています。本来ありえない話ですが、嘘にうそを塗り重ねないと問題が大きくならざるを得ないための苦肉の策として認めてくれているとしか言いようがありません。ただこの場合でも受給できるのは認められている在留期限まででしかありません。
 制度上は最長3年の研修でありながら、協同組合も会社も技能実習生たちもそれぞれお金が稼げる3年間と理解しています。しかし実際の労働契約は1年の更新制であり技能実習生の権利を守るためには労働契約期間は3年間としなければ途中帰国させられるとなると損害賠償請求できる期間も労働契約の期間内と限られ技能実習生達が大きな不利益を蒙ることにもなりかねません。
 私たち日本人は契約、特に労働契約について関心を持つことが少ないといえますが、外国人たちは契約、特に自分の権利に関することについては大きな関心を持っていることから、日本人的な感覚、残業代は払わないが「食事に連れて行ってあげた」、お弁当屋では「弁当を持たせて帰らせている」など恩恵を与えているのに残業代等細かなことを言うなと相手にしないことから大きな問題に発展する例が後を絶ちません。
 技能実習生に対する1年という契約期間は会社にとっては解雇を容易にするためのものであり、損害賠償請求を受けても費用負担を軽くするための措置としか言えません。3年の研修期間を前提として招いているのですから、その期間の労働は保障すべきではないでしょうか。繰り返しにはなりますが、研修目的外の職種で働いている技能実習生はたくさんいます。それが何らかのことで発覚するとまず帰国させられてしまいます。本人たちに責任がある場合の帰国ならやむを得ませんが、このような本人たちに全く責任がない場合には、2度とこの制度を利用できないため、残りの期間に対する損害賠償を会社と協同組合に負担させるよう制度化する必要があるのではないでしょうか。