労働基準法−6 (第12条・第13条)
外国人技能実習生を中心として

平均賃金・労基法違反の契約



(平均賃金)
第12条
 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。 2 前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。


 使用者が、何らかの理由で働いていない日に対して金銭を支払わなければならない場合また保障を必要とする場合にはいろいろな支払方法が考えられますので労働基準法では、該当する条文ごとに支払方法を定めています。たとえば年次有給休暇の場合を見ると「平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金・・」といくつかの方法が列挙されています。また使用者の都合によって休業した場合の休業手当は平均賃金の60%以上の支払を、また労働者を即時に解雇する場合の解雇予告手当は平均賃金の30日分以上の支払が必要と定められています。その他、労災補償の額や減給の制裁を行う場合の限度額を算定するときにもこの平均賃金に基づいて計算するよう定められています。
 技能実習生の場合、解雇と休業手当の問題がよくみられますが、大雑把なところで済ませ、正確な計算をすることは少ないといえます。技能実習生の休業手当の計算例でみると、「最低賃金×0.6×8時間」の計算ではなく、「(前3か月の残業代等を含んだ賃金総支給額÷前3か月の暦日日数)×0.6」で計算した額で計算します。もし、「21日〜20日」が賃金計算期間であればこの期間で前3か月を計算することになります。また、前月3か月の中に会社都合による休業日があればその期間の日数と賃金は除いて計算することになります。

(この法律違反の契約
第13条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。


 ハローワークに行って求人票を見ると職種、労働時間、休憩時間や休日そして賃金等が記載されています。就職することになるとここに書かれている内容での契約を結ぶことになりますが、中には、賃金については20万円〜40万円と幅を持たせたものもあります。そうすると面接した時点で賃金は安い方の20万円と決まり、労働基準法第15条に従って労働条件を明示した文章が交付されることになります。これは契約書ではありませんが、同等の効力を持つものといえ、個々に記載されている内容が労働基準法に規定されている内容に達していない場合には労働基準法が定めている規定に修正するというのがこの条文です。例えば、1日の労働時間は10時間、休日は週1回日曜日と記載されておりその規定通りの働き方をしている場合はどうでしょうか。労働基準法の定める労働時間は1週40時間、1日8時間を限度と定めているため、1日の労働時間で8時間を超える部分は残業扱いとする必要がありますし、休日も週2回としなければ週48時間労働となるため休日を1回増やす必要があり、この日についても残業扱いとなるのでそれぞれ25%の割増を付けた賃金で計算して差額を清算支給する必要があります。
 ちなみにこの例を時給1,000円とした場合、1週間の割間賃金の未払い額を計算すると、
  (月曜日から金曜日)  1,000円×0.25× 2時間×5日=2,500円
  (土曜日)         1,000円×0.25×10時間   =2,500円
合計5,000円の未払い賃金が発生していることになります。
 上記のような例は外国人に対してよくみられるものですが、中には、1年単位の変形労働時間制を形だけ導入して残業代を支払わないケースもあり、当然この条文に基づいて清算を求めることになります。またこの条文違反ではないのですが、「雇用保険や社会保険に加入すると手取り賃金が少なくなる。」と持ちかけ、加入しない方を選択させるという手口もよくみられます。