労働者供給事業の問題が騒がれています


ヤマダ電機 違法業務指示

 家電量販店最大手「ヤマダ電機」(本社・前橋市)の大阪市内の大型店舗で、同社員が雇用関係のない家電メーカー販売員に対して、職業安定法で禁じられた業務の指示・命令を行っていたことが、関係者の証言でわかった。
 メーカー側が人件費を負担し、自社製品の販売促進名目で量販店に常駐させる「ヘルパー」(注)と呼ばれる販売員。本来、店側から販売方法や勤務時間などを指示・命令できないが、同店では、指示に従うことを文書で誓約させていた。雇用関係をあいまいにさせる行為で、労務管理上、問題があるとして、大阪労働局は同法に基づき、近く同店を立ち入り調査する。
 (注) 1960年代に家電メ−カ−主導で始まったとされる。メ−カ−関係者によると、その後、量販店への販売依存度の高まりやバブル崩壊後の量販店の人件費削減などを背景に、量販店側の要望が強まり、当初、社員を常駐させていた各メ−カ−が大量の派遣名労働者を送り込むようになった。正規社員数に匹敵する1日1000人単位のヘルパ−を受け入れる大手家電量販店もある。(読売新聞H19.1.23)


 この報道がなされて以来、連日、ヤマダ電機の労働者供給事業問題が取り上げられています。ただ、この問題は何なのか分かりにくい面があるのではないかと思います。昔と違って、職場の中の雇用関係は種々雑多な職場も増えてきています。正規の社員以外に、アルバイト、パ−ト、嘱託、臨時職員、契約社員や派遣社員また請負事業として仕事を行っている会社の労働者などがあります。会社によって名称は自由につけていると思います。正社員と同じようにフルタイムで仕事をしていても労働条件は呼び方によって差を設けていることもあるでしょう。当然、労働保険や社会保険についても現在の制度では対応できないところまで来ていると思います。こうした中においてこの記事が問題としている労働形態は現在の職業安定法で禁止されている労働者供給事業に該当するものといえます。
 職業安定方は、自分が雇用する労働者を他人の指揮命令下で働かせることを禁止しています。しかし、労働者派遣法ができてからはこの法律に基づいて厚生労働大臣の許可を得た事業者が行うものについては例外として認められています。似たようなものに請負事業があります。この場合には、請負先の事業所で働く場合であっても指揮命令権は請負った事業所にありますが、請負先に指揮命令権があれば偽装請負として労働者派遣法違反となります。ここで問題となっている労働者供給事業について職業安定法は次のように規定しています。

第4条 6 この法律において「労働者供給」とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第2条第1号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする。
第44条 何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
第45条 労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。


 要するに、労働大臣の許可を受けた労働組合を除いて労働者供給事業は行えません。本来労働者供給事業が禁止されたのは、労働者を不当に拘束することや賃金のピンハネ防止が目的であったはずです。労働者派遣法も整備された今の時代には、今ひとつピンと来ない法律となったように思います。こうしたことを問題とするよりは、正規雇用の労働者が減少し、こうした雇用形態の労働者が増加している現実、また転職が当たり前の時代になった状況に即した労働保険・社会保険制度の構築に力を入れるべきではないかと思います。ただ、ここで問題となるのは、こうした非正規労働者が理不尽な取り扱いを受けることにあるといえます。供給先また派遣先の自由にならなければ失業してしまうことになってしまいます。今、テレビでやっている「派遣の品格」では、社員の態度、派遣会社の姿勢が誇張されてはいてもそれが現実ではないかなぁと推測するのですが・・。