パートタイム労働法が改正されます
平成27年4月1日施行


 労働法の改正が頻繁に行われていますが、いい方向に行っているのか、悪い方向に行っているのかよく分かりません。派遣法の改正などは非正規労働者を拡大する方向の施策ですし、労働契約法第20条や平成27年4月1日施行となるパートタイム労働法の改正はそうした方向に併せて正規・非正規間での労働条件の差別をなくす施策と考えられます。こうした方向が進んでいけば正規職員対象の企業内労働組合とは別に産業別労働組合なり、全国的に組織化された非正規労働者を対象とした労働組合が構築され、非正規労働者を組織化していかなければその権利を守っていくことは難しいのではないでしょうか。同時に、最低賃金の嵩上げと並行して同一労働同一賃金の実現を推進していく必要があると思います。単純にいくはずはないし、今後どのような形態に動いていくのか分かりませんが年金問題や医療保険の問題等との関係の中で模索されていかなければならないはずです。
 正規労働者以外の労働者の呼称には、パートタイム労働者(純然たるパートとフルタイム)、契約社員や嘱託社員など様々な呼び方があります。パートタイム労働法が対象としているのは呼称の如何を問わず正社員より労働時間が短い労働者を指しています。従がって、正社員と同じ時間働いていればこの法律は適用されません。しかし指針を見ると「所定労働時間が通常の労働者と同一の有期契約労働者については、短時間労働者法第二条に規定する短時間労働者に該当しないが、短時間労働者法の趣旨が考慮されるべきであることに留意すること」とされています。また
 労働契約法第20条(注1)には期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止が定められています。こうしたことを併せて考えれば労働時間の長短にかかわらず正規労働者と同じような働き方をしている労働者については合理的に説明のできない待遇の格差があれば是正していく必要があるといえます。
 そうした趣旨からパートタイム労働法 第8条(短時間労働者の待遇の原則)が新設されました。

 事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 短時間労働者の活用の仕方によっては正社員と労働条件に格差があっても当然ですが、その格差は合理的に説明できる範囲でないといけないことになります。しかし正社員と同じ働き方をしているグループについてはこれまでは期間の定めのない短時間労働者に限られていましたが今回の改正で全面的に差別的取り扱いが禁止(第9条)(注2)されました。従がって。職務の内容が正社員と同一であり人材活用の仕組みが正社員と同一な短時間労働者全員について賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用をはじめ全ての待遇について正社員と同等の取扱が義務付けられることになりました。
 一方、職務の内容や人材活用の仕組みが正社員と違う補助的業務に従事する短時間労働者に対しては従来通り直接職務とは関係のない手当を除いて通常の労働者との均衡を図ることを努力義務としています。直接職務と関係ない手当として、通勤手当、退職手当、家族手当、住宅手当、別居手当。子女教育手当が例として挙げられています。ただ通勤手当については施行規則が改定され実費支給でなく一律支給の場合には職務に関連して支払われる手当とみなされることになりました。
 以上は短時間労働者に関する来年4月から改正される主要な部分ですが、労働契約法第20条は期間の定めがある社員に対しては労働条件での差別はあってもそれが不合理なものであってはいけないという規定ですが、パートタイム労働法では労働時間が短くても同じ働き方をしていれば差別的取り扱いの禁止が明言されています。この辺りのことをどのように運用していけばいいのでしょうか。少なくとも賃金面については全ての手当類を同じ条件とする必要まではないが状況に応じた合理的な説明ができる範囲での落としどころを考えていく必要があるのではないでしょうか。
(注1) 労働契約法 第20条 (正規職員との労働条件差別の禁止)

 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

(注2) パートタイム労働法 第9条(通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止)

 事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。