パ−トタイマ−の健康診断と健康診断導入助成金のことなど

 事業所に勤めている人は会社が毎年1回実施する定期健康診断を受診していると思います。これは、労働安全衛生法第66条が「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。」と規定していることによります。「厚生労働省令で定めるところ」とは、労働安全衛生規則を指しており、この規則では、雇入時の健康診断(規則第43条)、定期健康診断(規則第44条)、特定業務従事者の健康診断(規則第45条)などを定めています。労働安全衛生法第66条は「事業者は、労働者に対し」と全ての労働者を指しているように感じられますが、規則で定める各健康診断に関する条文では、「常時使用する労働者」という文言を使用しています。確かに、フルタイムで働いていないパ−トやアルバイトにまで健康診断を実施していたら費用負担も大変かもしれません。しかしパ−トの働き方には、一日の労働時間は短くても毎日働いていたり、週に3日の労働としていたりとさまざまな働き方がありますので、この「常時使用する労働者」とはどのような者を指すのかが問題となります。「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について(平成5年12月1日基発第663号)」によると次の(1)又は(2)に該当する者で(3)の要件を満たす者を「常時使用する労働者」と定義しています。

(1)  期間の定めのない労働契約により使用される者
(2)  期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。(特殊健康診断対象者は6ヶ月)
(3)  その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

 こうした条件を満たすパ−トタイマ−は必ずしも多くは無いかもしれません。そのため、「当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の概ね2分の1以上、4分の3未満である者に対しても一般健康診断を実施することが望ましいこと。」とされています。期間の問題を無視すれば、本来の対象者は、社会保険に加入させるパ−トタイマ−が対象者となり、出来たら健康診断の対象としてくださいといわれているパ−トタイマ−は雇用保険の短時間被保険者ということになってきます。

 こうした健康診断の費用は法律で定められた事項ですから当然に会社が負担することになります。会社は、健康診断に要する時間の賃金の支払いまでは求められていませんが会社が負担するのが望ましいとされています。ただ、一定の有害業務に従事する労働者(レントゲン技師など)に対する特殊健康診断については、費用・時間ともに会社負担となるとされています。(S47.9.18基発第602号)

 パ−トタイマ−についても労働法規は当然適用されます。週一回1時間しか勤務していないパ−トタイマ−にも年次有給休暇は発生しますが、パ−トタイマ−には年次有給休暇はないものと考えている事業主さんもパ−トさんも多いのではないでしょうか。ましてや健康診断など問題にもならないのではないでしょうか。パ−トタイマ−への健康管理のため、平成19年7月1日以降、就業規則にパ−トタイマ−に対して健康診断を行う旨定め、2年以内に対象者が出れば、健康診断制度導入助成金(該当者が出たとき15万円、その6ヵ月後に15万円)を支給するという制度があります。この制度が対象とする健康診断は、雇入時健康診断、定期健康診断、人間ドック、生活習慣病予防検診の4つです。このうち、雇入時の健康診断と定期健康診断については、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3未満のパ−トタイマ−に実施した場合が対象になります。ただし、雇入時と定期健康診断の場合には、正社員がいることが条件となっています。また、社会保険への加入対象となるパ−トタイマ−に対しては残りの二つの健康診断受診制度を導入した場合となります。

 パ−トタイマ−の多い事業所では、健康診断の対象範囲を広げることには無理があるかも知れませんが、パ−トタイマ−の少ない事業所、特に、診療所の場合には自分のところで健康診断が出来ますので導入が簡単なのかもしれません。ちなみにパ−トタイマ−関連の助成金については「正社員への転換制度」などあと5つのものがあります。