外国人技能実習生に対する脅し




外国人実習生逆転敗訴

 外国人技能実習生として働いていたフィリピン国籍の女性2人(ともに30歳代)が、受け入れ機関の「協同組合フレンドニッポン」(広島市)の職員に監禁されたなどとして、同組合に計275万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京高裁は17日、計33万円の賠償を命じた1審・東京地裁判決を取り消し、請求を棄却する判決を言い渡した。
 園尾隆司裁判長は「職員は2人の意思に反して部屋に居続けたわけではなく、監禁したとは認められない」と述べた。
 判決によると、同組合の職員は2009年4月、女性2人のうちの1人が別の実習生とトラブルになったことから、話し合うため2人の住む部屋に入った。2人は入室を拒否せず、その後も退出を求めなかった。

(2011年11月17日19時19分 読売新聞)

 技能実習生を巡る問題としては労働問題が多いのですが、この事件はフィリピン人技能実習生間の暴行事件に端を発しています。この事件を担当している弁護士さんが研修生弁連のメーリングリストで報告したもので概略をみると技能実習中に、他の技能実習生から暴行を受け怪我をしたフィリピン人(女性)が、第一次受入機関(協同組合フレンドニッポン)によって、強制的に帰国させられそうになり、説得のためと称して、男性3名、女性1名の協同組合の職員が深夜0時から翌日4時ごろまでの16時間、アパートに居座ったという事件です。問題が大きくならないように強制帰国させるという手段は協同組合の常とう手段でたびたび遭遇しますが、16時間も被害者の部屋に留まって説得しようとしたのは異常としか言えませんし、協同組合からの脅しに屈しなかった彼女たちの強い気持ちに感動します。
 同じような問題が岡山県でも発生しており、怪我をさせられた方が帰国させられそうであると昨日(11月28日)、福山市のフィリピン人神父さまから電話がありました。本人の怪我は大したことはなさそうですが、警察に訴えたいとの思いが強いとのことでした。刑事告訴と慰謝料・損害賠償の問題について説明したうえで、帰国させられることになったら、帰国を阻止するため身柄を保護する必要があると伝えました。同国人同士の傷害事件では先日呉でベトナム人同士の殺人未遂事件が発生しています。どのようなことが原因かはわかりませんが、一部屋に数名押し込むことからくるストレスがあるのではないかと思います。しかし、それ以上に出身地域の問題があるといえます。フィリピン人と付き合っているうちに言葉の問題で二つのグループに分かれる傾向があります。マニラ周辺出身者の言葉はタガログ語であり、セブ島周辺の人たちはビサヤ語を話します。同時に、日本でいうと東京と地方の関係みたいなところもあります。中国人についても同じようなところがあると聞いています。こうした事情を考えず同じ国の人間として一派ひとからげにし、プライバシーの問題は全く考慮されず、狭い部屋に沢山の人間を押し込め、家賃を通して賃金の回収を図ろうとするところに問題の一端がないとはいえません。
 今回この問題を取り上げたのは同じように本人のところに押しかけて残業代未払の問題を取り下げさせようとした事件を2件経験していることと、技能実習生に対する脅迫、強要や監禁などは私たち日本人とは違って非常に弱いまた微妙な立場に置かれている技能実習生の感じ方は格別のものが雨といえます。自分で仕事先を選ぶことはできない、住むところも選べない、3年という研修期間を条件に来日していても、会社が倒産し、移行先が見つからなければ帰国させられてしまう、残業代未払を請求したり労災事故を起こした場合など帰国させられる事例が沢山ありますが、自分を守るため逃げると不法滞在者として強制送還させられてしまいます。国の制度として3年間保証されて来日しながら不安定な奴隷的状態に置かれている実態を考えれば、この新聞記事のような事例で16時間、帰国させるための説得目的で監禁したことは異常な事態としか言いようがありません。判決は、16時間にもわたる滞在の必要性には全く触れず、事前の承諾なく、深夜の12時に、女性ばかりの居室に男性3名が上がりこんでいるにもかかわらず、住居の平穏を乱した事実や、プライバシーの侵害はないと言い切り、自室を出てトイレに行くこともできない状態であったことを認定しておきながら、実習生らが、畏怖していたため、協同組合の職員に退去を求めることができなかったとは認められない。むしろ反抗的な態度をとっており、畏怖していたとは認められない。というものだったそうです。研修生制度という枠の中で自己の意思表示も控えざるを得ない状況があることを無視した判決と言わざるを得ません。この例は技能実習生同士の傷害事件ですが、私の経験の中にも残業代を請求したら夜中の12時過ぎまで同じようにアパートに居座られて脅されて取り下げた事件がありました。交渉当日、本人を連れてきて私たちに取り下げるといわせました。また同じような内容で、現在交渉中のものも、本人のアパートに押しかけ取り下げを強要してきましたが、日本に住んでいる友人が駆けつけ、「ユニオンの加入届にサインしている。」と言って事なきを得て会社と交渉に入っているものもあります。これは同じ協同組合が引き起したもので、この協同組合の技能実習生と話をしていると例外なく契約書を渡していないし、残業代については支払わないでもいいと指導しているように感じられるところがあり、教会に行ってはいけない、残業代で問題を起こしたら他の
 技能実習生全員が帰国させられると指導して歩いています。事実、曜日に教会で技能実習生と話していると社長から電話がかかり、どこにいるのかと聞かれ、教会にいると答えるとすぐに帰るように言われて飛んで帰っていきました。また、残業代の問題にしても私たちに相談に来ても怖さが先に立っているため、帰国まじかにしか問題にしたがりません。こうした実態を踏まえない限り、またこうした裁判が頻発して判例を積み重ねていかない限り技能実習生問題は何らの改善も図られないと考えています。ただ裁判を行うとなるとその間の生活費等をどのように支えていくか、また支援者の本来の仕事に支障が発生して来たり、肉体的、経済的な大きな問題が発生しており、こうした問題が解決できなければ支援活動は自然消滅へと向かわざるを得ない現実があります。この裁判が最高裁まで進むこと自体異常だと思いながらもこれが現実だと納得せざるを得ないのが現実です。