病気で休んだ日を年休でなく欠勤での処理は?

 新年度になると年休の発生、また時効消滅の処理をする必要があります。これが済めば来年までは月々の年休の整理をしておけばいいということになります。しかし、年休の行使に絡んでは取り扱いに困るケ-スが少なからずあるのではないでしょうか。問題になりそうな点をいくつか上げて検討してみたいと思います。

 1.病気で年休をとる場合診断書を提出しておくだけでよいのか。
 2.欠勤で処理していた年休を使用者が相手のことを考えて一方的に年休に変更できるのか。
 3.病気で休務する場合、年休が残っているのに、年休届出でなく欠勤届が出てきたがこれでいいのか。
 4.欠勤届が出ていたにもかかわらず後日年休への変更を申し出られたが変更可能か。

 まず、「1」について、休暇の届出は口頭で済ませていたり、診断書があれば休暇の理由が分かるので改めて休暇届を出す必要はないとして処理されていたら、事務担当者は欠勤で処理していいのか、年休で処理すべきかと悩まざるを得ないと思います。休暇届は賃金にも直接関係してきますので、書面で年休なのか欠勤なのかそれとも他の休暇なのか従業員の意思を明確にして証拠として残しておかなければ後日問題が発生しないとはいえません。たとえ善意から年休扱いとして通常通りの賃金を支払ったとしても、本人は、年休は後日のために残しておき、今は賃金が無くても欠勤でいいと考えていないとも限りません。次に、「2」と「3」の問題は併せてみていきます。労働基準法は「使用者は、前三項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることが出来る。」と定めています。年休は使用者が与えるものではなく、従業員の当然の権利として発生するものですから、使用者は、従業員の申出によって年休の行使を認めるということになり、従って使用者が善意であっても欠勤とするか年休とするかについて勝手に決めることは出来ません。最後に、「4」の後日年休とすることが出来るかとの問題ですが、条文には請求する時季に与えるとありますが、これは将来に向かっての話ですから過去に遡ってまで使用者は年休を与える必要は無いことになります。過去に遡るとなれば賃金計算のやり直しが生じますし、傷病手当金をもらっておればその精算もしなければなりませんし、年をまたがれば年末調整のやり直しといった事態も発生することになります。この遅刻欠勤等の年休への振替については次の判例があります。「遅刻その他で就業にさしつかえた日を労働者において任意に年次有給休暇に振替えることはできないが、使用者においてこれが振替えを承認した場合は、あらかじめ与えられた休暇と同じく、始業時刻当初から休日となるのであるから労働者の右遅刻などの就労態度を通常の出勤日と同様に評価してその責任を問うことは相当ではない。」(新潟地37.3.30)したがって、使用者が認めれば可能ということになりますが、これが慣習的に使用者も了承した形で行われているのであれば就業規則で明確にしておく必要があります。

 別な側面から、年休と欠勤の問題を見ていくと、年休を行使することによる昇進・賃金等について不利益な取扱いをすることは禁じられていますが、欠勤についてはこうした規制はありません。従って、人事記録簿に欠勤と記録されることは、ボ−ナスの査定や昇進考課などの面において不利益を被るという面があります。特に、大会社になればなるほど昇進については数年の遅れも覚悟せざるを得ないのではないでしょうか。