身近にある労働の法律−10
こどもの労働基準


 「労働者とは」と聞かれると答えは簡単なようで難しいところがあります。野球の選手は労働組合を結成しているので労働者なのかと言うとどうなのでしょうか。労働者であれば労災保険や雇用保険に球団は加入させなければいけませんがそういうことは無いはずです。またクラブのホステスさんが労働者かどうかの裁判も行われています。またテレビに出てくる子役をみて幼稚園に行っている子が労働者とはなかなか考えづらいところもあります。以前は技能実習生も最初の1年間は労働者ではなく研修生として扱われており、残業代や解雇の問題が発生すると労働基準法に基づく労働者性が有るかないかが裁判で争われてきました。労働者であるか否かは年齢や労働の形態を問わず労働の実態に着目して労働基準法や労働組合法で定める労働者に該当するかどうかで判断されることになります。小学校に通っている子役も雇用主の指揮命令下のもとに演技をしその働きに見合った対価を得ていれば労働者とみなされますし、高校生がアルバイト(注1)をすると当然労働基準法上の労働者として見做されることになります。
 しかし18歳未満の労働者に対する労働基準法の適用は第6章年少者で一部制限が加えられています。こうした規則があることは社労士の資格を取るための勉強でしただけで、原則的なことしか分かっていませんと言うよりは既に忘れているところに、「18歳未満の者を足場の上で塗装の仕事をさせても問題ないか。」との問い合わせがあり、急遽調べてみましたら、年少者労働基準規則の第8条が「満十八歳に満たない者を就かせてはならない業務」について定めており、第24号に「高さが五メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務」がありました。18歳未満の者を雇用すると時には雇用される側よりも雇用する側が注意しておかなければ思わぬ問題を抱えることにもなりません。下手に説明をすると分かりづらくなるため条文ごとに要点をまとめてみました。

最低年齢

(第56条)

【原則】
 満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、使用禁止。
【例外】
@ 行政官庁の許可があれば13歳以上は非工業的業種以外で修学時間外使用可
A 映画の製作又は演劇の事業では13歳未満も前号条件で可

年齢証明等
(要事業場備付)

(第57条)

@ 満18歳に満たない者については戸籍証明書(住民票記載事項証明書でも可)
A 満15歳未満の者については学校長の証明書と親権者の同意書

労働契約

(第58条)

@ 未成年者の労働契約は本人がしなければならない。
A 親権者や行政官庁は労働契約が未成年者に不利である場合には将来に向かって解約できる。

賃金の請求権

(第59条)

 本人以外のものは賃金を未成年者に代って受け取ることはできない。

労働時間

(第60条)

@ 変形労働時間制は原則認められない。
A 15歳未満は就学時間を通算して1週間40時間、1日7時間が原則

深夜業
(第61条)

 交替制により勤務する満16歳以上の男性のみ深夜業(午後10時〜午前5時)か可能。

危険有害業務の就業禁止  
(第62条)

 満18歳未満の者には年少者規則第8条で定める有害業務への終業が禁止されている。

坑内労働の禁止
(第63条)

@ 鉱山の構内での労働や建設中のトンネル内での労働は禁止
A 公道と同程度の安全衛生が保障され、坑内夫以外の者の通行可能なトンネル内での労働は可能

(注1) 高校生等のアルバイトは原則禁止で例外として許可が必要のようです。またどんな職種でも良いと言うことは無いようです。実際に賃金未払の問題があったときには、学校の許可を得ているのか、高校生のアルバイトとして問題が無い職種かを校則等とチェックしたうえで対応しないと、雇い主から「学校に通報する。」と逆に脅かされれば、停学処分も考えられるため引き下がらざるを得なくなります。インターネットで校則を検索してみると下記の様な校則がありました。

8.アルバイトについて
8−1 アルバイトは原則として禁止する。
8−2 本人および保護者が特にアルバイトを希望し,次の条件をすべて満たす場合,特別に許可する。
 ・ 家庭において経済的事情があり,アルバイトで得たお金は学費等に使用する目的があるとき。または,保護者が特にその理由を示し
   文書をもって申し出たとき。
 ・ 成績が良好で,担任が勉学とアルバイトを両立できると判断したとき。
 ・ アルバイトが深夜にわたらず,高校生としてふさわしい職種であるとき。
 ・ 遅刻・早退や服装・身だしなみ等,日常の基本的生活習慣に問題がないとき。