身近にある労働の法律−9
労働時間・休憩・残業時間


 皆さんも自分の賃金や労働時間に関心を持たれているはずですが、意外とそうした労働条件を定めている労働条件通知書や就業規則についてはご存じない方が多いようです。また賃金支給明細書についても保存している人がどの程度おられるでしょうか。私自身、独身時代は、貰ったらその場で廃棄していた状況で、技能実習生の問題に係るまで無関心でした。問題のある会社ではなかったからそれで良かったのかと言うと必ずしも「それでいい。」と言うことには抵抗を感じるのが今の心境です。自分で問題が無いと思っていてもいざ調べてみると賃金計算上いろいろ問題があると分かることも少なくありません。下記の表は、食品工場で働いている技能実習生のある日の出社から退社までの時間経過を表したものです。
 7:40    8:00    12:00   12:40       16:50       18:00
  
  20分  
 4時間 
 40分  
 4時間10分  
 1時間10分 
 9時間20分労働 
    契約→所定労働時間=8時間 (8時〜16時50分の内、休憩時間=12時〜12時50分) 

 始業前の20分については、後から検討することにして、実際に支払われた賃金は所定労働時間8時間と残業1時間の合計9時間分の賃金でした。20分については切り捨てられていました。よくある例として、日々30分未満は残業時間としてカウントしないという会社も少なくありません。また残業時間は、30分の休憩を取ってからカウントすると決めている会社もあります。会社からこうした説明をされると、正しいかどうか分からないまま納得せざるを得ないかもしれません。

【労働時間の計算】
 この会社は残業代もしっかり支払い、深夜残業に対しても50%の割増を支払っており、技能実習生たちも問題は無いといつも話していました。他の問題で相談に来たついでに賃金支給明細書とタイムカードを見せてもらうと上記のような結果が出ました。通達を見ると「30分未満を切り捨てて30分以上を切り上げる」のは良いとあります。上記の表を1カ月通して見ると日々30分未満は切り捨てられ、30分以上は切上でなく0.5時間としてカウントされていました。1時間にするのならまだ分からない気がしないでもありませんが・・。ただ、先の通達が言っているのは日々そうするのではなく、1カ月間集計して、30分未満切り捨て、30分以上切上げは良いと説明されています。この会社はこの通達を自分の都合のいい様に読み替えていたといえます。毎日同じ状況で働いていれば、

   22日×20分×(最低賃金×1.25)=22日×(20/60)×(769円×1.25)=7,048円

 の残業代が未払となります

【休憩時間】
 私たちの感覚で行くと休憩時間は1時間ではないでしょうか。たまに45分と言うところもあります。労働基準法では、「労働時間が6時間を超えるときは45分以上、8時間を超えるときは1時間以上」と定められています。所定労働時間が8時間の場合には45分の休憩で問題は有りませんが、残業するとなれば、労働時間が8時間を超えてしまうため、残業の途中で15分の休憩を与える必要が出てきます。そのため残業する前に30分の休憩をとらせるのはそうした意味があるとともに、少々の残業は支払わないと言うことだと考えられます。
 この会社は50分の休憩のところを10分短縮しています。おまけに終業時間を10分伸ばして外部から見ると切りの良い18時に終業させています。合計20分の残業を支払わないでも合法的であるかのように錯覚させて人件費を浮かせているとしかいえます。私たちは無意識のうちに休憩時間は1時間との刷り込みがあるためタイムカードを見て8時〜18時の10時間の拘束時間で、賃金支払明細書では残業が1時間支払われているから正しい計算がされていると短絡してしまいます。タイムカードと賃金台帳だけで形式的な検査をする協同組合あれば問題なくパスするのかもしれません。

【始業前の着替等】
 始業前の体操やミィーテイングへの参加を全員に義務付けていればは労働時間とみなされることになりますが、作業用の衣服に着替える場合はどうなるか微妙なところがありますが、一般の作業服・事務服でなく作業する上で安全衛生上必ずそれを着用しなければならないものであれば着用する時間とその後の時間は労働時間として算定すべきではないかと考えます。