身近にある労働の法律−3
ホワイト企業や休憩時間のこと


 先日大学の外国人労働者を通して日本の社会や文化を考えることをテーマとした講座で話しをさせていただきました。前日に、バイト先での問題や外国人労働者について聞いてみたいこと等をまとめたものが送られてきました。その中に、「11時間労働20分休憩でも長い休憩と言われた。休憩室ではなく、階段での休憩だった。」という一文がありました。また、「完全なるホワイト企業は単なる幻想で、存在しないのか。社会に出る以上、多数の理不尽は避けて通れないのか。」というものもありました。改めてホワイト企業と聞かれるとどのように答えれば良いのか迷ってしまいます。何の問題も無い会社で技能実習生に良くしているとの評判を聞いていた会社でさえ、「寮規則違反で強制帰国」という問題が発生しました。技能実習生を管理するための見せしめのための措置と考えられます。こうした状態の会社をホワイト企業と考えていいのでしょうか。利益追求を目的とする企業である以上問題の芽は早く摘む必要があります。懲戒や解雇するための条文を企業の事業形態に即して考えるのが就業規則を作成する上での知恵の絞りどころですし、そうしなければ企業の秩序を守ることが不可能となるのも事実です。明文化されたものには問題はないでしょうが、その運用また明文化されてはいないが規則として常態化しているところに問題が潜んでします。11時間労働で20分休憩もその類といえます。ベルトコンベアーや班編成で同一行動をとる職種と自分の担当する仕事を遂行する事務系の職種また営業職を押しなべて単純に8時間を超えたら割増賃金が必要と規定することに疑問も感じてしまいます。職種によって労働時間内の労働密度は違いますし、自分の裁量で仕事を勧められる職種もあればそうでない職種もあります。責任を持って仕事をしたり、その仕事が好きであれば残業や休日労働など意に介さないのではないでしょうか。そうなると労務管理担当者からはクレームがついてしまいますし、労働基準監督署も文句を言ってくることになります。そうかといって自分の意志に反して法律や規則に従がってしまうとしっかりした成果を出せず心の中にわだかまりが出来てしまいます。厳格に法律を守るだけという割り切り方もあるかもしれませんし、特に期限が切られた場合のみ残業として計算するとの運用はあってもいいのかと思います。ただ問題が発生した場合には、企業が責任をとり、それ相応の補償を自発的に労働者に行うことができる体制が出来ていればホワイト企業と考えていいのかも知れません。士業の人達やIT関係またデザイナーなどその道のプロですが、プロとはお金を貰って仕事を行なうもので、お金をもらえなければ仕事はしないと言う人たちもいます。それはそれで正しいのかもしれませんが、プロはその道の専門家として金銭の授受に関係なく請け負った仕事を完璧にこなせる人達を指しているのではないでしょうか。同じように労働者はその道のプロといえます。ただ違うのは人に使われているかどうかの違いでしかありません。そうした意味では一定の制約があるのも当然でしょう。仕事が好きで、夜昼となく仕事をして病気になられれば企業の責任問題が発生してしまいますので労働者の場合にはほどほどにといった暗黙の了解も必要だといえます。

 休憩については通常であれば就業規則で定められた時間に休憩するのが普通ですが、仕事の状況に応じてそうもいかない場合もあるといえます。ただ、休日出勤の場合には、仕事の量にもよりますが休憩せずに早く仕事を終わらせようとするのが普通ではないでしょうか。しかし、学生のバイトのように「11時間労働20分休憩でも長い休憩」というのは少し話が違います。就業規則や労働条件通知書には正しい休憩時間がかかれているはずです。「60分−20分=40分」の休憩時間に対して賃金が支払われているのかとの問題以上に肉体的精神的な問題の方が大きいといえます。正規職員がこの状態で日々働いていれば身心に異常をきたすのは目に見えています。学生のバイトであってもおなじで、労働者を使い捨てのモノと見ているとしか言えません。ただこれを問題にすれば職を失う可能性もあります。それ以前に法律が休憩をどのように決めているのかの知識もなく、また問題としようとしてもどこに訴えていいのか分からないのが現実ではないでしょうか。

 労基法第34条が休憩時間について定められていますので見てみましょう。
  @休憩時間・・・・労働時間が6時間を超える場合45分以上、8時間を超える場合1時間以上
  A何時与えるか・・労働時間の途中に与える。
  B与え方・・・・・原則一斉に与える。一定の職種また労使協定があればこの限りでない。
  C利用方法・・・・自由に利用させなければならない。

 以上が労基法の定める内容ですが、材料が無くて仕事をしていない時間や商店でお客が来ないでのんびりしている時間は「手待ち時間」と呼ばれ休憩ではありません。休憩とは、完全に仕事から切り離されて労働者が自由に利用できる時間に限られることになります。