身近にある労働の法律−2
休日・休暇


 私達がどのような労働条件で働いているのかは、就職する際に渡される労働条件通知書(労基法第15条)と常時10人以上の労働者を使用している会社に作成が義務付けられている就業規則(労基法第89条)を見る必要があります。しかし何か問題が無い限りそこまで関心を持って調べることは無いと思います。しかし賃金、労働時間と休日辺りのことはしっかり押さえておかなければ思わぬ不利益を蒙ることになりかねませんので休日と休暇について簡単に見ていきます。

(1) 祝日
 祝日は、「国民の祝日に関する法律」によって定められているものです。第3条に「「国民の祝日」は、休日とする。」とあります。元旦に始まり12月23日の天皇誕生日まで1年間に16日の祝日が定められており、日曜日と重なったときはそれ以後の祝日でない日を休日とし、祝日にはさまれた日は休日とするとも定められているため普通のカレンダーにはこのように印刷されています。しかし現実には祝日が休日とされていない現実もあります。外国人から「カレンダーは赤で印刷されているのに休みではない。」と不満を聞く事もあります。法律で休日と定められながらもこうしたことがあるのは、労働基準法ではこの法律と関わりなく、「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。」(労基法第35条)と定め、「国民の祝日に関する法律」を否定していることに寄ります。
(2)休日(労基法第35条)
 労働基準法は前項で見たように「毎週少なくとも一回の休日」を与えるように定めています。同時に、第32条で労働時間を週40時間、1日8時間に制限していますので、これから計算すると8時間労働では週休2日、7時間労働では、2日の休日とするか、1日の休日とある日の労働時間を5時間とする必要があります。特殊な例ですが、一定期間内の労働時間の平均が週40時間であれば良いとする制度もあります。(注1)
 労働基準法が定める週1回の休日を法定休日とよび、それ以外の休日を所定休日と呼んでいます。所定休日は、労働時間との関係で必ず休みにしなければいけない日と年末年始等会社が休みと決めた休日とに分けることができます。

(注1)1年単位の変形労働時間制の場合 → 年間最低85日の休日を与える必要がある。
@1日8時間労働の場合
 40時間×(365日÷7日)÷12月=173.8時間÷8時間=21.72日×12月=260.64日(年間労働日数)

・・365日−260日で年間105日の休日が必要となる。(週休2日)

A1日7時間労働の場合
 40時間×(365日÷7日)÷12月=173.8時間÷7時間=24.82日×12月=297.84日(年間労働日数)

・・365日−297日で年間68日の休日となるが、85日の休日を与える必要がある。

(3)休暇
 前項の休日と違い労働者が請求することによってその権利を行使できる休みが休暇(産後の休暇を除く)ということになります。法律によって定められている休暇もあれば会社が独自に定めている休暇もあります。休日と休暇について代表的なものとして下記の表のようなものがあります。
法律が定めている休日・休暇
会社が独自に定める休日・休暇
 週1回の休日(法定休日)
 通常、日曜日や商店街の休みの日等
 会社が定めている休日(所定休日)
 例えば、土曜日、年末年始、お盆等
 年次有給休暇(労基法第39条)  配偶者出産時の休暇
 産前産後の休暇(労基法第65条)  結婚時の休暇
 女性職員の生理休暇(労基法第68条)  慶弔休暇
 公民権行使によるもの(労基法第7条)  病気休暇
 育児休業・介護休業(育児介護休業法)  
 子の看護休暇・介護休暇(育児介護休業法)  
※ 賃金との関係でみると、通常休日は賃金の対象とされませんが、休暇につては、年次有給休暇を除いて有給か無給かは就業規則で定めることになります。産前休暇は健康保険から標準報酬日額の3分の2が出産手当金として支給されるため無給とされることが多いといえます。このため出産直前まで勤務する例もみられます。

【年次有給休暇】(労基法第39条)
 休暇の内で最も関心が高く、問題も多いのが年次有給休暇ではないでしょうか。パートやアルバイトには年次有給休暇は無い、雇用替えになった時には年次有給休暇はリセットされる、自由に使えると言いながら就業規則には3日前までに届け出る必要があると記載されている、会社の許可がないと認められない、時間単位の行使が認められない、また会社やカレンダーの中に勝手に年次有給休暇が使用されていると言った言葉をよく聞きますのでこの辺りのことを説明します。

(1)年休の発生
 年休は、パートやアルバイトなどの名称また労働時間や労働日数を問わず全ての労働者に対して権利として付与されます。初めて付与される時点は、採用された日から6か月間継続して勤務しその内の勤務日数の8割以上出勤していれば6か月を経過した日に付与されます。週5日以上勤務している人なら10日、週1日勤務の人なら1日と勤務日数に応じて定められています。2回目に与えられる日は6か月経過した日から1年経過した日になります。週5日以上勤務している人は、11日、翌年は12日その後はプラス2日与えられ、20日になったらそれ以上増えることはありません。(下表参照)
勤続年数
0.5
1.5
2.5
3.5
4.5
5.5
6.5
付与日数
10
11
12
14
16
18
20

(2)雇用形態が変更になった時
 パートから正職、定年退職から嘱託として再雇用された場合には、それまでの勤務期間は途切れることなく通算されますので、また一から開始ということはありません。

(3)時効と買上
 労働基準法は権利の行使に関して2年間の時効を設けています。従がって採用後6か月経過した時点で発生した年休は2年以内に行使しなければ使用しなかった日数は消滅することになります。中には、時効となった年休を買い上げる会社もありますが、自由に行使させた残りを買い上げること自体問題は有りませんが、買い上げるので「使用禁止」とすることはできません。

(4)年休の行使と時季変更権
 「使用者は、前各項の規定による有休休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」と第5項に規定されています。要するに労働者が請求すれば年休を請求した時季に与えなければならないと言うことです。年休の行使に関して使用者に認められているのは、事業に支障のある場合の時季変更の権利だけです。また変更する明確な理由が必要ですし、「仕事が忙しいからダメ。」では通用せず、変更する時季を指定する必要があります。年休を行使すれば職場の人員配置等に問題が生ずるため労働者も予定が分かっていれば早めに連絡して欲しいというのが「3日前までに届け出る」という意味と理解する必要があります。

(5) 時間単位・半日単位の年休
 年休の行使は1日単位が原則ですが、時間単位の行使については労使協定が結ばれている場合には5日を限度として認められています。半日単位の年休について労基法では何も定められていませんが、労働者が希望し、使用者が同意し場合には問題が無いものとして扱うこととされています。

(6)計画年休
 計画付与とは年休の取得率の向上を目指して導入された制度で、これを行なうためには労使協定の締結が必要となります。年末年始やお盆に併せての全社一斉の休みとして、また班や課単位での旅行等の為などの目的で使用されることが多いのではないでしょうか。利用するに当たって特に注意すべき点としては次の2つのものがあります。
 @ 5日を超える部分の有給休暇のみ対象になること
 A 従がって、新規雇用された労働者や前年度何らかの理由で全労働日の8割以上出勤が無く、有給休暇が無い労働者や5日以下の
  労働者については計画年休を適用できず会社都合による休日の扱いとして休業手当の支払いが必要になります。

 これまであった計画年休でトラブルのあった事例として技能実習生に下記の2つがありました。
  @ 元請会社のカレンダーには計画年給が組み込まれ、この期間は計画年休と記載がありましたが、計画年休の意味が分からないまま
   休日として賃金カットしていました。年休台帳への記載は当然ありませんでした。
  A あと一例は、1年単位の変形労働時間制で90日の休日設定が必要でしたが、その内の5日程度を計画年休で処理していました。
   その日数分休日を与えていなかったことになります。同時に賃金も支払っていませんでした。年休台帳上年休処理がされている確信犯で
   した。

(7)不利益取り扱いの禁止
 労働者にとって年休はなかなか行使しにくいものであり、使用者も積極的に行使を認めたくないものであり、トラブルが少なくない制度といえます。そのため労基法附則第136条で「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取り扱いをしないようにしなければ鳴らない。」と定めています。不利益な取り扱いの例として通達(昭63.1.1基発1号)で、皆勤手当や賞与の算定に関して年休を欠勤また欠勤に準ずる扱いとすることが挙げられています。