会社の経営悪化による休業や休暇等の賃金の扱いは??



 先日、久しぶりにハローワークに行って求人票を眺めてみたところ求人が非常に少なく、また新規に起業する人も見当たりませんでした。バブルが弾けたころは今より求人も多くハローワークにも元気さがあったように思いますが、最近は元気さを感じさせるものが全く見当たらないようです。しかし、フィリピン人を見ると新しく飲食店を始める人が散見されます。流川と薬研堀界隈は空いた店ばかりで家賃だけで今日からお店を始められる状況があるためですし、フィリピン人のコミュニティーの中で集客もある程度可能ということもあります。そうは言っても自分の人脈がどの程度あるかにかかっているのも事実です。これらは例外で、残業代がもらえない、定期的に年休を取らせられフィリピンに帰る年休がなくなってしまう、また解雇や休業など湿っぽい話ばかりが聞こえてきます。先々月ごろ問題となった実習生が休業させられていると話していましたし、建設会社に勤務している人からは休業の回覧が廻ってきたが賃金はどうなるのかと問い合わせがありました。会社の都合による休業ばかりでなく、慶弔・慶祝の休暇や年末年始の休日また祝日などと賃金との関係がどうなっているのか分かっていないのが実情ではないでしょうか。今回はこのあたりのことを見ていきます。
 会社を休むパターンには、@会社の都合により強制的に休ませられるもの、A法律で権利として認められているもの、B法律で強制的に義務付けられているもの、C会社の規則で権利として認められているもの、の4つです。


【会社の都合により強制的に休ませられるもの】
 要するに経営状態が悪くなり仕事が無い状態の場合です。将来的には倒産も視野に入れざるを得ないかもしれません。こうした場合とは少し違いますが、年休を強制的に使用させられるという場合もありますが、これは次の項目で説明します。会社の都合での休業の場合労働の提供がなされないため賃金の支払が受けられないかというとそうではなく、この場合、労働基準法は次のように規定しています。
 第26条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
 過去三ヶ月間に支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除した金額の60%が休業手当として支払われることになります。この場合、休業期間が1カ月とすれば「1カ月の日数×平均賃金」で計算するのではなく、「休業期間中の休日を除いた日数×平均賃金」で計算することになります。この休業手当は給与所得とみなされ所得税の課税対象になります。一方、業務上の負傷等によって休業している場合には労災保険から補休業償等を受けることになりますがこれらについては非課税所得として扱われます。さらに会社が本来の賃金額と労災給付との差額を支給する場合もありますが、これについては「労働基準法上の給付では補てんされない部分に対応する民法上の損害賠償に相当するものであり、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料として非課税所得」とされています。
 こうした会社都合による休業が続き、倒産し、未払い賃金が発生した場合には労災保険の事業の中の「未払賃金立替払制度」を利用すれば退職した日の6ヶ月前からの未払賃金の80%が支払われます。ただし退職後6箇月以内に請求する必要があり、次のように年齢区分ごとの上限額が決められています。


退職日の年齢
未払賃金の総額の上限
立替払いの上限(左記の80%)
 45歳以上
370万円
296万円
 30歳以上45歳未満
220万円
176万円
 30歳未満
110万円
 88万円

【法律で権利として認められているもの】
 これは年次有給休暇、産前の休暇や育児介護休業法に基づく休暇などがあります。これらは権利があるといっても労働者本人が請求して始めて行使できるものといえます。年次有給休暇は言葉の通り賃金の支払が使用者に義務付けられていますが、後のものについては法律では賃金の支払については触れていませんので会社にとっては支払う義務は課せられてはいません。その代りに健康保険や雇用保険からの給付を受けることができます。 年次有給休暇の5日を超える部分(前年度からの繰越分を含む)については労使協定を結ぶことによって会社が指定した時期に付与することができます。方法としては、事業場全体一斉付与、班別の交代制による付与や年休による個人別付与などがあります。社内旅行などを計画的付与として活用するのはいいかもしれませんが、会社の都合によって付与する方式では年休の完全消化が可能となる反面個人の都合が無視される面もあると言えます。


【法律で強制的に義務付けられているもの】
産後の休暇がこれに当ります。産後8週間は勤務することが認められていませんが、6週間が経過し、医師が認めた業務には復帰が可能となっています。これも賃金を支払う義務は使用者に負わされておらず健康保険から給付を受けるのが一般的といえます。


【会社の規則で権利として認められているもの】
 結婚、配偶者の出産時、忌引きなど会社が独自に設定するものです。賃金を支払うかどうかは会社の自由となります。中小企業では無給として規定しているところが多いのではないでしょうか。そうすれば年次有給休暇を取得するでしょうから有名無実となってしまいます。
 休職というものもありますがこれにはいろいろなケースがあるので一概には言えませんが、私傷病で一定期間欠勤が続いたとき休職に移行します。本来であれば解雇となるところを一定期間雇用の確保のための恩恵的な制度といえます。終身雇用制度を考えていない企業では意味の無い制度といえるかも知れません。