ここ1ヶ月の実習生問題について


 前回、1年単位の変形労働時間制を取り上げたのは、研修生時代の残業代やその他の賃金未払の問題で交渉中の会社から1年単位の変形労働時間制を取り入れており、祝日は勤務日で、土曜日も月2回は休日としたカレンダーによって勤務日を決めているとのことがあったからでした。労働契約書を交付していないためその申し出が正しいのかどうかも分からない状態で、関係資料を送付するよう依頼しても送付されず交渉当日受け取ったため十分検討する間も無かったのですがザット見ただけでもとても成立するとは思えない内容でした。簡単にこの内容を報告します。
 その前にこれと同時進行した実習生の問題が1件あり、受入機関のいい加減さに憤りを感じましたので紹介します。研修生時代に仕事で腰を痛め、帰国することになった実習生1ヶ月目の人ですが、研修生時代の残業代(1年分)は単価500円で実習生になってから支払うとの取り決めとのことでしたが、これについては当然最低賃金で計算して受領し、帰国時の航空券代は会社負担ということで第1次受入機関と話がまとまっていました。しかし福岡空港で搭乗直前になって「航空券代を請求された。」との電話がかかってきてきました。請求したのはフィリピンの送り出し会社の福岡駐在の通訳で、直ぐ電話を替わってもらい、「会社が負担することで話は済んでいる。」と伝えても、「何も聴いていない。」と応えるのみで、「私の方で支払うから、本人から徴収せず、振込先を連絡するよう」に伝え、その場は納まりました。直ぐ第1次受入機関に電話を入れると「こちらで切符を買った場合は会社で負担するという話をしたのであって、送出会社が切符を購入したのでどのように処理するかは先方の勝手である。」との回答でした。しかし少し時間がたって福岡から電話があり、「連絡が旨く行っておらず負担してもらう必要は無い。」との電話がありました。私が支払うと言うとは考えていなかったのでしょう。商売としてやっているのならその通りかもしれませんが、フィリピン人労働者の支援をボランティアとして行っていると当初から言っている意味を理解していなかったためでしょう。また、研修生時代の残業代については後2名残っていましたが、最近500円の単価で支払われた模様です。本人達が、戦う姿勢を示さなければどうしようもありません。この会社でフィリピン人の研修生導入は初めてのようであり、以前から中国人とベトナム人がいると聞いており、入管への申告等何らかの対策を採っていく必要があると考えています。
 本題の方に戻りますが、この会社は自動車部品を製造している会社で先の会社と同じ黒瀬町にあります。この会社での問題点は次の通りです。
労働契約書  本人達にサインさせているが交付せず。日本語のみで記載されている。
 (30万以下の罰金)
所定労働時間  契約書には「始業時間9時00分〜終業時刻18時00分うち休憩時間60分」なっているが、実際は10時と15時に10分の休憩を与えているので7時間40分が所定労働時間であり、8時間で賃金を支払っているので1日つき20分の賃金の返還を求めるとのこと。
祝日の問題  契約書で祝日は休日と明記しながら1年単位の変形労働時間制を導入しカレンダーを作成しているので労働日と主張している。
会社カレンダー  本人達に渡しておらず、休日日数は7時間40分で計算した93日とされているが、実際の稼働状況と全く違っている。
勤務状況  月曜から土曜日の勤務で日曜のみ休日であり、残業は月曜から金曜は毎日あり、土曜日は休みのときもあり、早く終わるときもある。
年休  取得は認められず、帰国時に日数分の支払いをするとのことで、これまでの実習生たちは、帰国の前日まで残業させられていた。
 年休行使拒否(6ヶ月以下の懲役30万以下)
パワハラ 「フィリピンに帰れ」など大声での罵詈雑言で精神的に落ち込みやせ衰えた実習生も出てきている状況がある。 

 1年単位の変形労働時間制の趣旨は「労使が労働時間の短縮を自ら工夫しつつ進めていくことが容易となるような柔軟な枠組みを設けることにより、労働者の生活設計を損なわない範囲内において労働時間を弾力化し、週休2日制の普及、年間休日日数の増加、業務の繁閑に応じた労働時間の配分等を行うことによって労働時間を短縮することを目的とするものである。」(昭63.1.1基発1号)「なお、この制度は、あらかじめ、業務の繁閑を見込んで、それにあわせて労働時間を配分するものであるので、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働はないことを前提としたものであることから、時間外労働に関する限度基準(平成10年労働省告示第154号)においては、一般の労働者よりも短い基準が定められている。(〔解説〕12参照)」(労働基準法上 基準局編)とされています。上記のような状況であれば時間外手当を少なくする目的で悪用しているとしかいいようがありません。
 この会社で特に問題となるのが労働契約書を英文併記のものを使用せず、契約書上は自動車産業の最低賃金で計算した賃金を記載し、本人達、第1次受入会社を欺いていたことに尽きるといえます。実習生達も毎月の賃金明細書を計算して時間単価を692円と把握しており、8月から実習生に移行する研修生たちの契約書を計算し、自分達の時間単価と違っていることに疑問を抱いていました。
 年休についても取得は認められておらず、帰国するときにお金でと払うとのことだったようですが、実際に支払われるのか不明ですし、前日まで残業では、帰り支度をしたりお土産を買ったりする時間もありません。第1次受入会社が全ての年休を使用させることを会社に認めさせましたのでゆっくりとした長い休日を楽しんで帰ることができました。