働く人の基礎知識−3

 〜 労働基準法−2 〜

5.休憩・休日・休暇・休業
(1)休憩(第34条)
@休憩時間
 労働契約に定める1日の労働時間は8時間が限度となっており、その時間を超えての労働を必要とするときは、別途36協定により8時間を超えて働かせることが出来る時間を定めておく必要があります。8時間の労働の途中には食事の時間も必要でしょうし、私的な時間が必要な場合もあるため、労働基準法は、労働者が使用者の拘束を離れて自由に活動できる時間を休憩時間として与えるよう定めています。働き方によって1日の労働時間は人それぞれですから、労働時間に応じて休憩時間が次のように定められています。
   労働時間6時間以内の場合 休憩なし
   労働時間8時間以内の場合 45分
   労働時間8時間を超える場合 1時間
A三つの原則(労働時間の途中・一斉に・自由に利用)
 休憩時間を与える必要の無い6時間労働の契約をしているパートさんに10分の残業を命じたとすれば45分の休憩を与える義務が使用者に発生します。では、残業が終わった後に与えてもいいのかといった問題がでてきますが条文中に「労働時間の途中に与えなければならない」と規定されていますので、始業時間また終業時間に接して与えることは出来ません。ただ、休憩時間は分割して与えても問題はありません。
 休憩時間を与える場合には原則として雇用している労働者に一斉に与える必要があります。ただ、小売業や銀行、運輸交通業等のように交代でも良いとされている事業もありますし、労使協定により交代で与えることも可能となっています。
 こうして与えられた休憩時間は労働者の自由に使える時間帯である必要があります。材料が届かず仕事が出来ない「手待ち時間」は仕事はしていませんが、何時仕事になるか分からない状態ですから休憩時間ではなく労働時間と見なされます。自由に使える時間とは言っても会社の施設内にいれば当然施設管理また風紀維持の面からの制約は出てきます。また、会社の敷地から出ることを禁止している場合がありますが、これについては、事業所内で自由にくつろぐ施設がある場合に限り問題は無いとされています。
(2)休日(第35条)
@原則及び法定休日と所定休日
 休日とは、労働契約上労働の義務の無い日と定められている日を指しています。従って、労働義務のある日に休むことが出来る権利を行使した日が休暇ということになります。
 労働基準法では1週間に少なくとも1回の休日を与えることが原則として定められており、4週間に4回与えることでも良いとされています。こうして与えられた最低限度の休日を法定休日と呼びます。これに対して、1週1回を超えて与えられた休日を所定休日と呼びます。例えば土日が休みの場合の土曜日がこれに当りますし、祝祭日を休みにしておればこれも所定休日となります。祝祭日については「国民の祝日に関する法律」で休日と定められていますが、労働基準法では週1回の休日を最低条件としていますので祝祭日を休日とするかしないかは使用者の自由ということになります。
 法定休日か所定休日かの違いが問題となるのは休日労働した時に休日労働割増賃金率の35%又は時間外労働割増賃金率の25%の何れを適用するかという問題に関係してきます。従って、労働契約なり就業規則に、「所定休日に労働した場合に35%の割増賃金を支払う。」又は、「法定休日に労働した場合に35%の割増賃金を支払う。」と明確に規定しておく必要があります。
A振替休日と代休
 この両者は同じように考えられているところがありますが、全く内容が違うものです。振替休日とは本来休日であるべき日を労働日とし、他の労働日であった日を休日にするというものです。例えば、日曜日を労働日とし、月曜日に振替える場合です。日曜日の労働は休日労働としてではなく、通常の労働日として扱われることになり、休日出勤時の割増賃金を支払う必要はありません。ただし、この場合、労働契約なり就業規則で振替休日の制度があることを明記しておかなければなりませんし、事前に休日となる日(4週間以内の日)を指定して振替えなければなりません。
一方、代休とは、休日出勤の労働時間に対して割増賃金を支払った上で別な日の労働を免除するというものです。与えなくて構いませんし、代休の日に賃金を支払う必要もありません。
B振替休日と時間外の問題
 振替えた休日は4週間以内の日と記載しましたが、これは休日の与え方の例外として4週間に4回でもよいとの規定があるためです。しかし労働時間は1週40時間と定められていますので同じ週に振替えるのであれば問題ありませんが、翌週以降に振替えた場合、労働日とした休日の属する週の労働時間が40時間を超えてしまえば、超えた時間分の割増賃金を支払う必要が生じます。1週間の見方ですが、就業規則等で週の初日を定めていない場合には、日曜日が週の初日となりますので、土曜日を翌週の月曜日に振替えたとすれば土曜日の属する週の労働時間が40時間を超えてしまう可能性がありますので時間管理に注意する必要があります。
(3)休暇
@法律で定められているもの
 労働基準法で定められている休暇の内有給としなければならないのは年次有給休暇のみで、それ以外の休暇については有給か無給かは使用者が決めることになりますが立法の精神からは有給が望ましいといえます。
イ.年次有給休暇(第39条)
 年次有給休暇は正規労働者のみではなく、週1回の働き方のパート労働者にも採用された日から6ヶ月を経過すれば自動的に権利が発生しますし、年次有給休暇の行使については使用者の許可を必要としませんが、「事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」とされています。また年次有給休暇をとったことにより「賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」(第136条)とされています。
 次の表は、短時間労働者の年次有給休暇付与日数ですが、正規労働者は30時間以上と同じになります。

  
雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分に応ずる年次有給休暇の日数
短時間労働者の
週所定労働時間
週所定労働日数
(1年間の所定労働日数)
6ヶ月
1年
6ヶ月
2年
6ヶ月
3年
6ヶ月
4年
6ヶ月
5年
6ヶ月
6年
6ヶ月
30時間以上
10
11
12
14
16
18
20
30時間未満 5日(217日以上)
4日(169日〜216日)
7
8
9
10
12
13
15
3日(121日〜168日)
5
6
6
8
9
10
11
2日(73日〜120日)
3
4
4
5
6
6
7
1日(48日〜72日)
1
2
2
2
3
3
3

ロ.周産期の休暇(第65条)
 女性の妊娠出産に関して労働基準法は、産前産後の休暇(第65条)、妊産婦の労働時間(第66条)、育児時間(第67条)そして妊産婦の就業制限(第64の条3)を定めています。ここでの妊産婦とは妊娠中また産後1年を経過しない女性をさしています。
 産前産後の休暇は産前6週間(多胎妊娠は14週)については請求があった場合には休暇を与える必要があり、産後8週間については就業が禁止されていますが、産後6週間を経過した場合には労働者の請求があり、医師が認めた業務に就業させることは可能となります。なお、出産日は産前としてカウントされます。
 妊産婦の労働時間とは妊産婦が請求した場合には法定労働時間を超える労働、休日労働そして深夜労働が禁止されます。
 育児時間については、生後1年に達しない子供を育てる女性労働者から請求があった場合には、1日2回各30分の育児時間を与える必要があります。これは1回1時間として始業時間終業時間に連結さても構いません。
ハ.生理休暇(第68条)
 生理により就業が困難な女性が請求した場合に与える必要がありますが、1日単位でなくとも半日、1時間の単位でもよいのですが、取得日数を制限することはできません。ただし、有給の生理休暇の日数を制限することは構いません。
ニ.その他(第64条の2)
 妊産婦が従事する業務で重量物の取扱いや振動騒音のひどい業務については就業が禁止されていますし、一部の有害化学物質の業務については女性自身の就業が禁止されている業務もあります。
A各事業所が決めるもの
 上記以外の慶弔休暇などについては使用使者の判断で定めるものとなりますので、無くても問題はありませんし、無給の制度として設けても問題はありません。当然、病気による長期療養や私的な留学等の理由による休職についても同様となります。
(3)休業(第26条)
 前項までのものは労働者自らが労働契約上の権利を行使するものでしたが、ここでの休業とは使用者の都合による休業です。労働基準法では賃金の項目の中に休業手当として記載されているものです。仕事が減少し事業所に来ても仕事が無い場合、休業として出勤を停止することがありますが、この場合、賃金の全額を支払う必要はなく平均賃金(過去3ヶ月)の60%を支払えばよいとされています。