4月から男女雇用機会均等法が改正施行されます。

 男女雇用機会均等法、正式には「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」が昨年6月に改正され、今年の4月から施行されます。この法律は、昭和47年に制定された時から前回の改正(平成14年)まで、男性に対する差別は無視されており、女性に対する差別的取り扱いを禁止する法律でした。今回の改正で初めて男性に対しても差別してはならないとされましたので、この法律の理念(第2条)の新旧を比較してみます。
新 条 文
旧 条 文
 この法律においては、労働者が性別により差別されることなく、また、女性労働者にあっては母性を尊重されつつ充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とする。  この法律においては、女性労働者が性別により差別されることなく、かつ、母性を尊重されつつ充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とする。

 従来、法律的には男性に対する差別は容認されていたといえないこともありません。法律の趣旨は男女間の労働条件の平等を目指すことですからそういう考え方をするのは間違っているといえます。わが国の慣行として女性に対する差別が一般的に行われていたことから、ことさら女性のみに限定していたと考えられます。そう考えれば、今回、女性の文字が外れたことは、男性に対する片手落ちの是正というよりはこの法律も社会に浸透してきたので本来の形に直そうとしたためかもしれません。しかし、実態はそうではなく、労働局雇用均等室に寄せられる相談は過去三年間増加傾向にあり、平成17年度は19,9724件でうち7割が女性からの相談であり、そのうちの約47%がセクハラ関係の相談となっています。こうした実態を受けて、改正内容についても女性に対する差別的取り扱いがより細かく決められ、さらに都道府県労働局長が報告を求めた場合に、報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合には過料を課すことが出来るよう罰則が強化されました。
 今回の改正のうちの注意しておきたい部分について触れてみたいと思います。

1.間接差別の禁止
 「女性は採用しない」といったような女性であることを理由としての差別の解消がこれまでの均等法に規定されていましたが、さらに一歩進んで、採用等に当たって、「一定の身長や筋力があるとのこと」などを理由とし、暗に女性を排除しようとすることが間接差別として法第7条に定められました。こうした背景には、求人票などみても、就業規則をみても差別的な取り扱い表現がなくなってきた反面、形を変えた差別が増えている実態があるからだと推測されます。間接差別の定義は指針(平成18年厚生労働省告示第614号)で次のように定められています。

 雇用の分野における性別に関する間接差別とは
  @性別以外の事由を要件とする措置であって、
  A他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、
  B合理的な理由がない
 ときに講ずることをいう。


さらに間接差別について、「法第7条は、募集、採用、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種及び雇用形態の変更、退職の勧奨、定年、解雇並びに労働契約の更新に関する措置であって、@及びAに該当するものを厚生労働省令で定め、Bの合理的な理由」(青地が今回追加された)が無ければこうした措置をとることを禁止しています。@及びAに該当する厚生労働省令で定める内容は次の三つです。

 イ 労働者の募集又は採用に当たって、労働者の身長、体重又は体力を要件とすること
 ロ コース別雇用管理における「総合職」の労働者の募集又は採用に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること
 ハ 労働者の昇進に当たり、転勤の経験があることを要件とすること

 法律上は省令以外のものであれば法律違反とはなりません。しかしこれ以外にもいろいろあることを予想して、「間接差別は厚生労働省令で規定するもの以外にも存在しうるものであること、及び省令で規定するもの以外のものでも、司法判断で間接差別法理により違法と判断される可能性があることを広く周知し、厚生労働省令の決定後においても、法律施行の5年後の見直しを待たずに、機動的に対象事項の追加、見直しを図ること。」との衆議院付帯決議がなされています。

2.妊娠中・出産後1年を経過しない女性労働者に対する解雇は無効
 「妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。」との条文が新たに加えられました。この規定は、労働基準法で定められている産前産後の期間またその後30日間は解雇できないとの規定とは異なり、解雇の理由が、妊娠・出産をしたこと、また産前産後の休暇をとったり、育児休業をとったり労働基準法等で認められている権利を行使したこと以外の理由での解雇であることが証明できれば解雇も可能となります。

3.セクシャルハラスメントの関係
 「雇用管理上必要な配慮をしなければならない。」から、「雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と努力規定から義務規定に変わりましたので、就業規則の服務規定また懲戒規定に記載するなどの何らかの措置をとっておく必要が生じました。