外国人研修制度と技能実習制度


外国人実習生を酷使
造船関連3割で疑い/時間外、月100時間以上も


 県内の造船関連会社のうち、中国やベトナムなどから外国人技能実習生を受け入れている事業所の約3割が、実習生に長時間の時間外労働や、最低賃金を下回る時給を強いている可能性があることが、広島労働局の調査で分かった。造船業界の人手不足を背景に、実習生は労働者の約1割を占めるまでに増えており、同局は「外国人が労働条件で不当な扱いを受けないようにしたい」として指導・監督を強める。
(本文略)(読売新聞H20.4.5)

 この記事は、平成20年1月に広島労働局が広島入国管理局と共催した「造船業における外国人労働者雇用管理適正化セミナー」(呉と福山)での実態調査結果を報告したものです。この調査で把握された技能実習生の人数は725人(1事業所平均4.5人)ですが、技能実習生になる前の労働者と見なされない研修生が別に521人いると報告されています。この技能実習生や研修生は発展途上国から一定の制度の下に日本で技術や技能を身につけ、それを母国での職業生活に役立てるとともに経済発展の原動力として活用しようとする制度ですが、現実は、「女工哀史」の世界との報告も多数あります。最近、広島フィリッピン人協会が私の遊び仲間に加わったことから、外国人の労働に係わる問題を随時見ていきたいと思います。
 この制度は関心もなかったことから漠然と一定の法律の下に運用されている制度かとも考えていましたが、そうではなく、海外に進出した企業が独自に実施していた研修制度が元になり、広く中小企業にも拡大され、平成5年には、「技能実習制度推進事業運営方針」(平成5年4月5日構成労働大臣公示)が作成され、外国人研修・技能実習制度が確立したといえます。これを運営しているのが財団法人国際研修協力機構(JITCO) (注1)となります。研修及び技能実習が認められる職種は62職種で114の作業に限られています。外国人が日本で活動するためには「出入国管理及び難民認定法第2条の2」に規定されている在留資格(注2)に基づいて活動することになりますが、研修生は「研修」、実習生は「特定活動」という在留資格で研修や技能実習を行うことになります。
 研修生はこうした職種について最長1年間技術、技能、知識また日本語などの研修を受けることになり、終了後、技能検定試験に合格すれば、引き続いて実習生として2年間の職業訓練に移行します。両者の大きな違いは、「研修」という在留資格は、労働することが認められていないため研修先から研修手当をもらいながら研修生活を送ることになります。従って、労災保険、雇用保険等の適用を受けることができないため国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。大きな怪我や病気をしたとしても研修生にはそれを支払えるだけの資力がないため、受け入れ機関に対して「外国人研修総合保険」への加入が義務付けられています。国民年金については、所得が無いので、放置せずに免除申請をしておく必要があるといえます。
 実習生になると在留資格は「特定活動」に変更され、労働者として働くことになりますので、日本人労働者と同じ扱いを受けることになります。実習期間は2年間となります。
 現実にこの制度を担っているのは、外国人研修生や技能実習生の受け入れを斡旋している公的また民間の機関ですが、制度の普及に伴いこれを悪用する事例が急増しています。「研修生および技能実習生の入国・在留管理に関する指針(平成19年改訂)」をみると、「研修生・技能実習生を受け入れている機関の中には、この趣旨を理解せず、研修生や技能実習生を安価な労働力として受け入れる機関が存在し、このような受け入れが様々な問題を引き起こしています。」と述べ、不正を行った機関が平成15年には92機関であったものが、平成18年には229機関と過去最高となったと報告し、不適正事例への社会批判の高まりとして、「研修生・技能実習生を受け入れている機関の中には、他人名義の旅券を使用させて「研修生」として入国させ稼動させていた機関や、研修生に月100時間を超える所定労働時間外作業を行わせていた機関があるほか、劣悪な環境の宿舎に居住させたり、旅券等を強制的に取り上げる等の研修生・技能実習生の人権侵害に至るような事例も指摘されています。また、研修生が受け入れ機関の職員を殺害するという、不幸な事件も発生し、新聞等で大きく報道されるなど、制度の不適正に運営に対する社会的な批判も高まっています。」と述べ、また「鳩山法相は24日の参院予算委員会で、外国人研修・技能実習制度が安価な労働力として外国人を雇用する隠れみのとして使われていると指摘されていることに関して、「『研修は労働ではなく、技能実習になって初めて労働』という考え方は改めるべきだ」と述べた。外国人研修生に最低賃金法などの労働関係法令を適用すべきだとの考えを示したものだ。」(2008年3月25日読売新聞)との報道もありました。
 指針の中でここまで記述し、法相がここまで言明する状況、また私自身にも同じような状況が聞こえてくる現実から考えて、外国人研修・技能実習制度のでたらめな運営実態が推察できるのではないでしょうか。関係官庁の積極的な立ち入り調査を期待せざるを得ないのかもしれません。

<注1>

  財団法人国際研修協力機構(JITCO)は、法務省、外務省、経済産業省、厚生労働省国土交通省が共同で設置している財団法人です。

<注2>

 在留資格には、外交から定住者までの27の在留資格があり、就労の可否がそれぞれ定められています。就労が認められる資格ではあっても認められた在留資格以外の活動では原則収入を得ることは出来ず、もし収入を得るのであれば「資格外活動の許可」を得る必要があります。留学の資格については就労は認められていませんが、これも「資格外活動の許可」を得れば一定の制限の下に就労が認められます。

【参考】

 コムスタカのHPにフィリピン人研修生の監視役として働いていたフィリピン人男性が研修制度の実態を述べた手記がありますので参考にしてください。「不公平な研修制度の暴露」(2008/07/30) http://www.geocities.jp/kumustaka85/intro.html